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新型宇宙望遠鏡は、地球外生命体の痕跡を発見できるかもしれない

sorae.jp / 2020年5月3日 21時9分

太陽のような比較的軽い星が恒星としての死を迎えた姿といえる白色矮星は、恒星だった頃の余熱で輝く天体です。近年ではそんな白色矮星の周囲にも太陽系外惑星が周回しているとみられる観測結果が得られていますが、もしも白色矮星のハビタブルゾーンを周回する地球に似た系外惑星が見つかった場合、その大気組成から生命の兆候を探ることが可能だとする研究成果が発表されています。

■温度が下がった白色矮星の周辺ではハビタブルゾーンが数十億年間維持される

白色矮星を周回する系外惑星の地表を描いた想像図(Credit: Jack Madden/Cornell University)

Thea Kozakis氏(コーネル大学)らの研究チームは、白色矮星のハビタブルゾーン内に地球に似た系外惑星が存在すると仮定した上で、その大気組成を観測することが可能かどうかを詳しく検証しました。その結果、系外惑星の大気を通過してきた白色矮星の光を分析することで大気組成を調べることが可能であり、オゾン、メタン、亜酸化窒素(一酸化二窒素)といった物質を通して生命の兆候を捉えられる可能性が示されました。

白色矮星は誕生当初こそ摂氏10万度近い高温で輝いていますが、自ら核融合をしないので徐々に冷えていきます。平均的な白色矮星では誕生から20億年後には6000ケルビン(摂氏およそ5700度)まで表面温度が低下し、さらに80億年かけて4000ケルビン(同3700度)まで温度が下がるとされています。

そのため、表面温度が太陽のような恒星と同程度まで下がった白色矮星の周囲では、数十億年という長期間に渡りハビタブルゾーンが維持されるとみられています。研究に参加したLisa Kaltenegger氏(コーネル大学)は「もしもそのような系外惑星に生命の兆候が見つかったなら、恒星の死を乗り越えたのか、それとも白色矮星の周囲で新たに誕生したのかが次の疑問になります」とコメントしています。

ただ、白色矮星のハビタブルゾーンに地球サイズの系外惑星が存在し得る確率は統計上28パーセント未満であることが過去の研究において見積もられており、いくつかの研究チームによって捜索が進められているものの、Kozakis氏らによる今回の研究が行われた時点ではまだ発見には至っていません。

その理由として研究チームは、地球と同じくらいのサイズしかない小さな白色矮星の場合、その手前を系外惑星が横切る「トランジット」を地球から観測できる確率が低いことや、1回のトランジットが数分程度の短時間しか続かないとみられることから、発見が困難であることを指摘しています。また、白色矮星のハビタブルゾーンは白色矮星のすぐ近くに位置しますが、白色矮星の近くでは大きな惑星ほど潮汐力によって破壊されやすい可能性が指摘されている点にも研究チームは触れています。

いまのところ該当する系外惑星は見つかっていないものの、NASAが来年打ち上げを予定している「ジェイムズ・ウェッブ」宇宙望遠鏡や、ヨーロッパ南天天文台(ESO)が建設を進めている「欧州超大型望遠鏡(ELT)」といった近いうちに登場する次世代の観測手段を用いることで、大気組成を観測できるようになると研究チームは期待しています。

 

関連:白色矮星に炙られ蒸発しながら公転する太陽系外惑星の存在

Image Credit: Jack Madden/Cornell University
Source: コーネル大学
文/松村武宏

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