謎の米空軍スペースプレーン「X-37B」6度目のミッションに向け打ち上げへ
sorae.jp / 2020年5月9日 16時30分
米空軍が運用する無人のスペースプレーン「X-37B」は、そのミッションの機密性の高さから謎めいた存在として注目されています。X-37Bは2017年9月から2019年10月にかけて780日に及ぶ長期間のミッション「OTV-5」に用いられて以来動きがありませんでしたが、6度目のミッションとなる「OTV-6」に向けて5月16日にケープカナベラル空軍基地から打ち上げられることが発表されています。
■空軍士官候補生が製作した衛星の放出や地上へのマイクロ波伝送実験などを予定米宇宙軍の発表によると、今回のOTV-6ミッションでは米空軍士官候補生が製作した衛星「FalconSAT-8」の放出が予定されています。FalconSAT-8は士官候補生の教育のために作られた衛星で、技術デモンストレーションを行う5つの実験装置を搭載するとされています。ミッションに従事するReagan Good士官候補生は「(士官候補生には)現実のプロジェクトを体験できる実践的な業務が割り当てられています」とコメントしています。
また、今回のミッションでは米海軍調査研究所による「太陽エネルギーをマイクロ波に変換して地上に伝送する」実験も行われるとされていますが、これは宇宙太陽発電に関連した実験を指しているものと思われます。宇宙太陽発電では軌道上に配置した発電衛星が太陽光から得た電気をマイクロ波に変換して地上に送信し、受信したマイクロ波を電気に変換することで電力を得る方法が検討されており、今年の2月には国際宇宙ステーション(ISS)においてマイクロ波を電力に変換する実験が行われています。電力の発電・伝送効率やコストなどに課題もある宇宙太陽発電ですが、天候に左右されにくく災害にも強いことから日本でも研究が進められています。
なお、今回打ち上げられるX-37Bの後部には、過去のミッションよりも多くの実験が予定されているOTV-6のために「サービスモジュール」が初めて取り付けられたことも明らかにされています。サービスモジュールが果たす具体的な役割にまでは触れられていませんが、ボーイング社のArthur Grantz氏によって2011年に発表された資料によると、機体内部の格納スペースしか持たないX-37Bの外部にも貨物を搭載するために用いられることが当時は検討されていたようです。
ある程度の実験内容は公開されているものの、やはりどこかに謎が残るX-37B。今回は何日間のミッションとなるのでしょうか。
Image Credit: Boeing
Source: USSF / USAFA / US Navy
文/松村武宏
この記事に関連するニュース
-
2021年にISSから投棄された人工物の一部が大気圏再突入後に米国の民家へ落下
sorae.jp / 2024年4月18日 21時21分
-
将来有望な電力源「宇宙太陽光発電」 世界に先んじて2050年ごろの実用化を目指す
ananweb / 2024年4月13日 21時0分
-
スペースX、アメリカ宇宙軍の気象衛星を打ち上げ
sorae.jp / 2024年4月13日 16時18分
-
中国、月探査用の中継通信衛星「鵲橋2号」の打ち上げと月周回軌道投入に成功
sorae.jp / 2024年4月2日 10時16分
-
JAXAを退職する若田光一宇宙飛行士が記者会見 今後は民間から宇宙開発に貢献
sorae.jp / 2024年3月29日 19時18分
ランキング
-
1納豆のタレやワサビなどの余った小袋調味料は、どう処分すればいい? 正しい捨て方と活用法
オールアバウト / 2024年4月23日 20時15分
-
2家のネット回線が遅いです。中継機かメッシュWi-Fiの導入を検討しているのですが、どちらがいいですか?
オールアバウト / 2024年4月23日 21時25分
-
3流行りの調理法も実はNG? 炊飯器が壊れやすくなる使い方5選【家電のプロが解説】
オールアバウト / 2024年4月23日 21時15分
-
4Wi-Fiルーターの寿命ってどれくらい? 買い替えを検討するべきサインはありますか?【専門家が解説】
オールアバウト / 2024年4月22日 21時25分
-
5「しまむらグループ大創業祭」を開催、豊富な商品をお得に - 4月24日よりスタート
マイナビニュース / 2024年4月24日 10時37分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください