火星にできた小さな新しい衝突クレーター、AIを活用して発見

sorae.jp / 2020年10月3日 21時2分

火星探査機「マーズ・リコネッサンス・オービター(MRO)」が撮影した火星の新しいクレーター(Credit: NASA/JPL-Caltech/University of Arizona)

こちらは火星にできた新しい衝突クレーターを捉えた画像です。巨大な火山が3つ並んだタルシス三山の東側にあるノクティス・フォッサという地域で見つかりました。撮影したのはNASAの火星探査機「マーズ・リコネッサンス・オービター(MRO)」です。

クレーターが形成されたのは2010年3月から2012年5月までの間だといいますから、できてからまだ8~10年しか経っていないことになります。画像には複数のクレーターが写っていますが、NASAのジェット推進研究所(JPL)によると、これらのクレーターは隕石が分裂しながら落下したことで形成されたようです。クレーターのサイズは比較的小さく、直径4mとされています。

地表にできた新しいクレーターからは火星にどれくらいの頻度で隕石が落下しているのかを知る手がかりを得ることができますが、小さなクレーターほど見つけ出すのは難しくなります。MROに搭載されているカメラのひとつ「CTX(Context Camera)」を使って撮影された画像を研究者が入念にチェックするには、画像1点につき40分ほどの時間が必要とされています。

そこでJPLの研究者は、新しいクレーターを分類するためにAI(人工知能)を活用した自動化ツールを開発しました。人間だと40分かかる作業も、AIなら平均5秒でこなすことができるといいます。AIが検出したクレーターの候補を研究者がチェックする必要はあるものの、時間短縮に貢献するサポート役としては十分です。JPLのKiri Wagstaff氏は「科学的な発見を促進する人間とAIの共生」と表現しています。

冒頭の小さなクレーター群はAIによってCTXの画像から検出されたもので、2020年8月26日にMROの高解像度撮像装置「HiRISE(The High-Resolution Imaging Science Experiment)」を使って確認されました。自動化ツールを開発したチームによって、さらに20個以上の追加候補が選び出されているといいます。

今はまだ地球上で動作している自動化ツールですが、JPLでは同様のツールを火星探査機に搭載することを目指しています。インターンとしてツールの開発に携わったジョージア工科大学のMichael Munje氏は「将来、研究者の注意を引きそうな画像をAIが優先して扱えることを願っています」とコメントしています。

 

関連:NASAの探査機「マーズ・リコネッサンス・オービター」が撮影し続けてきた火星の素顔

Image Credit: NASA/JPL-Caltech/University of Arizona
Source: NASA/JPL
文/松村武宏

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