月面の太陽光が当たる領域で水分子を初めて検出、月面全体に分布している可能性も

sorae.jp / 2020年10月27日 17時0分

成層圏天文台「SOFIA」(下)の観測により月のクラヴィウス・クレーターで水分子が検出されたことを示したイメージ図

成層圏天文台「SOFIA」(下)の観測により月のクラヴィウス・クレーターで水分子が検出されたことを示したイメージ図(Credit: NASA/Daniel Rutter)

予告されていた「月に関するエキサイティングな新発見」は、水についてのものでした。NASAは10月27日、月面の太陽光が当たる領域において初めて水分子(H2O)が検出されたとするハワイ大学のCasey Honniball氏らの研究グループによる研究成果を発表しました。NASAは永久影(クレーターの内部などで常に太陽光が当たらない部分)だけでなく月面全体に水が分布している可能性に言及しています。

ここ20年ほどの間に行われた探査機や地上からの観測によって、月面には何らかの形で水が存在することが明らかになっています。しかしNASAの発表によると、検出された水が水酸基(OH、ヒドロキシ基)を含む含水鉱物の形で存在しているのか、それとも私たちが水と聞いて思い浮かべるような水分子の形で存在しているのかまでは識別できていなかったといいます。

Honniball氏らはNASAとドイツ航空宇宙センター(DLR)が運用する成層圏天文台「SOFIA」を使い、月の南半球にあるクラヴィウス・クレーター(直径約230km)を観測しました。研究グループは水分子特有の波長の赤外線(6.1μm)を検出することに成功しており、100~412ppmの濃度(NASAは1立方メートルあたり12オンスボトル(約350ml)1本分にほぼ相当すると表現)で水分子が存在することを示す結果が得られたといいます。

ただ、Honniball氏が「厚い大気がなければ、太陽光に照らされた月面の水は宇宙へと失われていくはずです」と語るように、ほぼ大気を持たない月の表面になぜ水が存在するのでしょうか。研究グループは、月面に衝突する無数の微小隕石によって運ばれたわずかな水が蓄積したり、太陽風によって運ばれた水素が酸素を含む月面の鉱物と反応することで水酸基を経て水が生成されていたりするのではないかと考えています。

また、水は微小隕石が衝突した際の衝撃で形成されたビーズ状のガラスに閉じ込められたり、レゴリスを構成する粒子の隙間に入り込んだりしているために、太陽光から保護されているとみられています。研究グループは月面の別の領域についてもSOFIAで観測を行い、どのようにして月面に水がもたらされ、蓄えられ、そして移動するのかを調べる予定です。

現在NASAはアポロ計画以来半世紀ぶりに有人月面探査を行う「アルテミス」計画を進めており、2024年に予定されている最初の月面探査や将来の持続的な月面での有人活動を実現する前に、月に存在する水について可能な限り理解を深めようとしています。NASA有人探査運用局のJacob Bleacher氏は「水は科学と探検の双方にとって貴重な資源です。月の水が利用できるのであれば地球から持ち込む水を減らすことができ、新たな発見をもたらす機器類をより多く運ぶことが可能になります」とコメントしています。

 

関連:NASAが月に関する新発見を発表予告。日本時間27日に明らかに

Image Credit: NASA/Daniel Rutter
Source: NASA
文/松村武宏

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