「はやぶさ2」カプセル地球帰還に向け準備進む

sorae.jp / 2020年10月29日 17時0分

再突入カプセルを放出する「はやぶさ2」想像図

再突入カプセルを放出する「はやぶさ2」想像図(Credit: 池下章裕)

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、2020年10月29日の記者会見で、12月6日に予定されている「はやぶさ2」の運用状況と、再突入カプセル地球帰還に向けた準備状況を明らかにしました。

「はやぶさ2」の機体は10月から最終誘導フェーズに入りました。10月22日にはこのフェーズ最初となる軌道修正TCM-1を行い、正常に終了したとのことです。化学エンジンで行われたこの誘導によって地球最接近時の高度が400kmから330kmに変更されました。TCMは5回が予定されており、第2回は11月始めになるとのこと。

再突入カプセル分離訓練・回収の準備

カプセル分離運用周辺の訓練も進んでいます。やり直しのきかない一発勝負のため、小惑星での運用訓練でも用いた「はやぶさ2運用シミュレータ」を使った運用訓練を行った後、実機を用いたリハーサルをするという慎重な対応です。実機でのリハーサルは11月4日に行われ、カプセル分離直前の姿勢にした上で手順もカプセル分離直前まで進め、様々な状況や実行するか否かの判断を練習する予定になっています。

JAXA相模原キャンパスにある管制室。「はやぶさ2」のカプセル分離の訓練もここで行う(Credit: 金木利憲)

これと並行して、地上に帰還したサンプルカプセルの回収準備も進められています。カプセル回収班は73人、これが2隊に分かれます。先発隊14名は11月1日、本隊59名は11月9日に出国し、アデレードを経由して回収地であるオーストラリア・南オーストラリア州のウーメラ砂漠に向かいます。先発隊の役割は、現地作業に入る前のあいさつや荷物の受け取りなどで、本隊到着後はともに回収作業を行います。

新型コロナウイルス感染症の影響で、出国前に1週間、オーストラリア入国後に2週間の隔離が必要なことから、先発隊は10月24日から国内での自主隔離に入りました。PCR検査を2回行い、異常がなければ出発ということになります。確実な回収を行うため、直接回収に関わる人数は極力絞らないことにしたかわりに、後方支援、広報などの人数を当初計画よりも減らしています。

回収予定地のウーメラ砂漠

回収予定地のウーメラ砂漠(Credit: JAXA)

地上観測

「はやぶさ2」が訪れた小惑星「リュウグウ」の地上観測も行われています。2020年の10月から12月は「リュウグウ」が地上から観測しやすい時期で、これまでリュウグウのように非常に暗い天体の観測例がほとんどないことから取り組みが行われています。観測内容は偏光観測、これによって小惑星表層の変更現象の仕組みが解明できるかも知れないと期待されています。これを逃すと次の観測機会は13年後になるということでした。
「はやぶさ2」ミッションマネージャの吉川真さんによれば、「はやぶさ2」は「リュウグウ」の近くから直接観測をしましたが、偏光観測は行っておらず、新たな科学データとなるとのことです。

カプセルの大気圏再突入時には、JAXAと研究者の共同研究として7件の観測が行われる予定になっています。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響で、カプセル回収班以外の研究者がオーストラリアに行くことが困難になったため、JAXAが機材を預かって代理観測したりオーストラリアの研究者との共同研究としたりする代替手段を講じ、7件のうち6件の観測を行います。

観測キャンペーン

地球帰還に向け、さまざまなキャンペーンも計画されています。直近で始まるのは「リュウグウ&はやぶさ2」お帰り観測キャンペーン」。観測好機を迎えている「リュウグウ」の観測と、地球最接近・カプセル再突入直前の「はやぶさ2」本体の観測に挑戦しようという内容です。観測者の募集は11月1日より以下のページで募集が行われます。
・https://www.city.himeji.lg.jp/atom/planet/info/campaign/haya2return/index.html(姫路科学館「アトムの館」)
・http://www.planetary.jp/Haya2-Special/projects/hayabusa2-serv.html(日本惑星協会)
ただ、「リュウグウ」は17等程度と非常に暗いので、肉眼では見えません。口径30cm以上の大きな天体望遠鏡がなければ撮影するのは難しそうです。

 

Image Credit: JAXA、池下章裕、金木利憲
Source: JAXA
文/金木利憲

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング