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タイタンのクレーターから有機物と水の氷の混合物を発見

sorae.jp / 2020年11月8日 21時12分

土星の衛星タイタン

土星の衛星タイタン(Credit: NASA/JPL-Caltech/University of Arizona/University of Idaho)

ヨーロッパ宇宙機関(ESA)のソロモニドゥ博士などからなる研究チームは9月1日、土星最大の衛星タイタンのクレーターから有機物と水(H2O)の氷の混合物を発見したと発表しました。研究チームはNASAの土星探査機カッシーニに搭載された可視・赤外線マッピング分光計(VIMS)と呼ばれる観測装置から得られたデータを分析することによって、この発見を成し遂げました。

タイタンのクレーター

タイタンのクレーターの画像(Credit: NASA/JPL)

タイタンの地形は緯度によって特徴があります。乾燥した赤道地方には砂丘が多く、湿潤な極地方にはメタンなどでできた海や湖が集中し、中間の中緯度には平原が広がっています。研究チームは、このような赤道地方のクレーター4個と中緯度地方のクレーター5個を調べました。

すると、赤道地方のクレーターからは主に暗い色の未知の有機物がみつかりました。これに対して、中緯度地方のクレーターからは有機物と水の氷の混合物がみつかりました。

ところでなぜこのような違いが生まれるのでしょうか?

タイタンでは、地球における水のように、メタンなどが循環しています。メタンなどからできた海や湖から、メタンなどが蒸発し、雲になり、雨となって降りそそぎ、川となって流れ、また、海や湖に戻ってきます。

研究グルーブはこのように循環するメタンなどの液体による浸食作用がクレーターの化学組成の地域差をつくりだすのではないかと考えています。つまり、中緯度地方では、クレーターが形成されたときにつくられた、有機物と水の氷の混合物が、液体のメタンなどによって、洗われますが、赤道地方では、このような浸食作用が働かないために、すぐに砂によって覆われてしまうというわけです。

ところで、NASAでは、現在、タイタン探査計画「ドラゴンフライ計画」を進めています。ドラゴンフライ計画では2027年にドローン型の探査車を打ち上げタイタンに送り込みます。探査車がタイタンの空を飛びます!

タイタンには、今回ふれたようにメタンなどが液体の状態で存在し、循環し、地表を侵食しているなど、ある意味で地球とよく似た環境が存在しています。もしかしら、何かしらの生命が存在するかもしれませんね。ドラゴンフライ計画による探査がとても楽しみです!

 

Image Credit: NASA / JPL-Caltech / ASI./NASA/JPL-Caltech/University of Arizona/University of Idaho
Source: SCI-NEWS/論文
文/飯銅重幸

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