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地球に降り注ぐ流星は1日あたり合計1トン。国内の観測結果をもとに推定

sorae.jp / 2020年11月11日 20時30分

2020年1月にイギリスで撮影された流星

2020年1月にイギリスで撮影された流星(Credit: Chris Small)

東京大学・天文学教育研究センターの大澤亮氏らの研究グループは、東京大学木曽観測所と京都大学生存圏研究所による流星(流れ星)の同時観測によって得られた観測データをもとにした研究成果を発表しました。研究グループによると、地球に降り注ぐ流星の質量は地球全体で1日あたり1トン程度と推定されるといいます。

惑星間空間には彗星や小惑星に由来するとされる惑星間塵(惑星間ダスト)と呼ばれる粒子が存在していて、地球の大気圏に突入したものは流星として観測されます。研究グループによると、地球の公転軌道付近にある惑星間塵は0.001mg~10mgほどの質量を持つ微小なものが大半を占めているといいます。こうした惑星間塵の観測は小天体の活動や微小な粒子の進化を調べることにつながりますが、空間密度が低いことから探査機を使って効率よく観測するのが難しく、惑星間塵の研究では地球の大気を巨大な検出装置に見立てた流星観測が広く用いられてきたといいます。

研究グループは、長野県木曽郡木曽町にある東京大学木曽観測所の105cmシュミット望遠鏡に設置されている広視野観測装置「Tomo-e Gozen(トモエゴゼン)」と、木曽観測所から約173km離れた滋賀県甲賀市にある京都大学生存圏研究所の大気観測レーダー「MUレーダー」を連携させ、MUレーダー上空の散在流星(流星群に属さない流星)に対する同時観測を行いました。双方の観測データを照合したところ、2018年4月18日から21日にかけての4日間で合計228個の流星を同時に捉えることができたといいます。

東京大学木曽観測所と京都大学生存圏研究所による同時観測の概念図(Credit: 東京大学)

今回の同時観測や2009年~2010年に得られた観測データをもとに、研究グループは可視光における流星の明るさとレーダーの観測結果(流星のレーダー反射断面積)の関係を分析。その結果をもとに2009年から2015年にかけてMUレーダーが検出した約15万件の散在流星のデータを解析したところ、MUレーダーは0.01mg~1g程度の物質による流星を捉えており、地球付近に存在する惑星間塵の主要な部分を調べられることがわかったといいます。また、観測された流星の数をもとに地球へ落下する惑星間塵全体の質量を見積もったところ、冒頭で触れたように1日あたり1トン程度という推定値が算出されています。

研究グループは、今回の研究によって地球付近に存在している惑星間塵の質量を見積もるための重要な指標を導き出すことができたとしています。今後は群流星(流星群に属する流星)の性質や流星の色および軌道などに注目し、惑星間塵の起源に迫る研究を進めることが計画されています。

 

関連:東京大学木曽観測所、計1億9000万画素の観測装置「トモエゴゼン」を本格稼働

Image Credit: Chris Small
Source: 東京大学
文/松村武宏

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