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アルマ望遠鏡による金星観測データ、一部の再解析を終えて公開される

sorae.jp / 2020年11月22日 9時30分

金星探査機「あかつき」の観測データをもとに作成された金星の画像(疑似カラー。Credit: PLANET-C Project Team)

国立天文台は11月18日、日本も運営に参加しているチリの電波望遠鏡群「アルマ望遠鏡」による金星の観測データの一部における再解析が完了し、アルマ望遠鏡科学データアーカイブにて公開されたことを明らかにしました。

金星については2020年9月、大気中に20ppb(10億分の20)の割合で存在するホスフィン(リン化水素、PH3)が検出されたとする研究成果がカーディフ大学のJane Greaves氏らの研究グループによって発表されています。

関連:未知の化学反応? 生命が関与? 金星の大気からホスフィンを検出

地球におけるホスフィンは、人類の文明活動を除けば嫌気性微生物によって生物的に生成される物質です。木星や土星などのガス惑星では大気の奥深くの高温高圧な環境で生成されたとみられるホスフィンが検出されていますが、岩石質の惑星において非生物的な作用でホスフィンが生成される過程は知られておらず、金星大気中のホスフィンは未知の生成過程あるいは生命の存在を示す可能性があるとして注目されています。

Greaves氏らは2017年にハワイの「ジェームズ・クラーク・マクスウェル望遠鏡(JCMT)」を使って金星を観測した際に、大気中にホスフィンが存在する兆候を発見。アルマ望遠鏡ではGreaves氏らの観測提案に基づいて2019年に金星を観測しており、Greaves氏らはこれらのデータを用いて先の研究成果をまとめています。

しかし、国立天文台やヨーロッパ南天天文台(ESO)などによると、アルマ望遠鏡のスタッフによる検証の結果、解析の過程で観測データの一部に天体起源ではない波形が生じているのが見つかったといいます。加えて、データの解析に用いられたソフトウェアにも軽微な問題が見つかっています。

発表によると、金星のような強い電波を放つ天体から微弱な信号を検出するのは容易なことではなく、観測装置を厳密に調整しなければなりませんが、金星を観測するための特定の設定とこのソフトウェアが組み合わさることで、観測データに人為的な波形が生じてしまうことが明らかになったといいます。

この検証結果を受けて、該当のデータは問題があった場合の標準手順に従ってアーカイブから一旦削除され、再処理が行われていました。ホスフィンが検出されたとする研究成果に対しては反証も相次いでおり、Greaves氏らは再処理された金星の観測データを使った研究を進めています。

金星の地表は気温が摂氏約480度、気圧が約90気圧と過酷な環境。人間はもちろん無人の探査機でさえも活動は困難ですが、大気中に生命が生息する可能性が指摘されており、高度50~60km付近に生息する仮想の「微生物」のライフサイクル(生活環)を想定した研究成果も発表されています。

関連:金星の雲に存在するかもしれない生命のライフサイクル

注目を集めた金星大気中のホスフィン検出、今後の進展からも目が離せません。

アルマ望遠鏡と満点の星空(Credit: Sangku Kim/ESO)

 

Image Credit: PLANET-C Project Team
Source: 国立天文台 / ESO
文/松村武宏

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