すばる望遠鏡が発見した「ファーファーアウト」観測史上最も遠くで見つかった太陽系の天体と確認される

sorae.jp / 2021年2月12日 10時44分

「ファーファーアウト」こと「2018 AG37」(右下)を描いた想像図。左上で輝いているのは太陽(Credit: NOIRLab/NSF/AURA/J. da Silva)

アメリカのカーネギー研究所、ハワイ大学、北アリゾナ大学の研究者らは、国立天文台ハワイ観測所の「すばる望遠鏡」によって2018年1月に発見された天体について、太陽系の天体としては観測史上最も遠くで発見されたものだったとする研究成果を発表しました。

今回の研究対象となったのは「2018 AG37」という仮符号(新天体に付与される仮の名前)が与えられた天体です。研究者からは「Farfarout(ファーファーアウト)」の愛称でも呼ばれていますが、これは同じ研究グループが発見し、これまで観測史上最も遠くで見つかった太陽系の天体とされていた「2018 VG18」の愛称が「Farout(ファーアウト)」だったことに由来します。

カーネギー研究所のScott Sheppard氏は発見当時のファーファーアウトこと2018 AG37について「とても遠くにあるということしかわかりませんでした」と語りますが、その後の数年に渡る追加観測によって、研究グループは2018 AG37の軌道を割り出しました。

研究グループによると、現在2018 AG37は太陽から約132天文単位(※)離れています。これは太陽から冥王星までの距離の約4倍に相当する遠さです。ファーアウトこと2018 VG18は発見時の距離が約120天文単位だったので、2018 AG37はさらに1割ほど遠くで見つかったことになります。

※…1天文単位=約1億5000万km。太陽から地球までの平均距離に由来する

2018年1月15日と1月16日にすばる望遠鏡が観測したファーファーアウトこと2018 AG37。背景の星々に対して移動していることがわかる(Credit: Scott S. Sheppard)

2018年1月15日と1月16日にすばる望遠鏡が観測したファーファーアウトこと2018 AG37。背景の星々に対して移動していることがわかる(Credit: Scott S. Sheppard)

研究グループは2018 AG37の直径について、明るさ、距離、予想される組成をもとに約400kmと推定しており、仮に準惑星であればその下限に近いとされています。また、2018 AG37の軌道は太陽から最も離れる位置(遠日点)が約175天文単位で、太陽に最も近づく位置(近日点)が約27天文単位であることも明らかになったといいます。

近日点が海王星(太陽からの距離は約30天文単位)の軌道よりも内側にあることから、研究グループは過去に2018 AG37と海王星が相互作用したことがあると考えています。北アリゾナ大学のChad Trujillo氏は「海王星に近づきすぎたために、太陽系の外側にはじき出されたのでしょう」と語るとともに、今後も2018 AG37が海王星と相互作用する可能性に言及しています。

ファーアウト(2018 VG18)の記録を塗り替えることになったファーファーアウト(2018 AG37)ですが、観測技術の向上によって太陽から遠く離れた太陽系の天体の発見は続いており、研究グループではそう遠くないうちに記録が更新されるとみています。Sheppard氏はファーファーアウトについて「太陽系の果てに存在する天体のなかでは氷山の一角にすぎないのでしょう」とコメントしています。

なお、研究グループはすばる望遠鏡を用いた観測を通して、海王星よりも外側を公転する太陽系外縁天体の軌道に影響を及ぼしていることが予想される未知の惑星「プラネット・ナイン(第9惑星)」の探索を行っています。ファーファーアウトこと2018 AG37は海王星の影響が強いためにその軌道からプラネット・ナインの存在を調べることはできないようですが、今後より多くの太陽系外縁天体が見つかることで、その存在に迫ることができるかもしれません。

 

関連:太陽系で最も遠い準惑星を「すばる望遠鏡」が発見。ボイジャーの旅した果てと同等の遠さ

Image Credit: NOIRLab/NSF/AURA/J. da Silva
Source: 国立天文台 / NOIRLab
文/松村武宏

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