強力な「重力レンズ」の効果。銀河団の重力に歪められた遠くの銀河の像
sorae.jp / 2021年4月13日 17時1分
こちらは「ちょうこくしつ座」の方向にある銀河団「Abell 2813」(エイベル2813、ACO 2813)を捉えた画像です。銀河団とは、数百から数千もの銀河が集まっている天体のこと。画像に写る天体の多くがAbell 2813に属する銀河であり、それぞれの銀河に何百億、何千億もの星々が存在するかと思うと、宇宙の途方もないスケールに圧倒されてしまいそうです。
画像をよく見ると、歪んだ銀河のような天体が幾つも写っていることがわかります。これらはAbell 2813に属するものではなく、さらに遠くに存在する銀河の像です。本来はこのような形の銀河ではないものの、銀河と地球の間に存在する銀河団の強い重力の影響によって、私たちからは引き伸ばされて湾曲したような姿として見えています。
遠くにある天体(銀河など)を発した光の進む向きが、その天体と地球の間に存在する別の天体(銀河や銀河団など)の重力によって曲げられることで、地球からは歪んで見える。このような現象は「重力レンズ」と呼ばれています。重力レンズはアルベルト・アインシュタインの一般相対性理論によってその存在が予言されていました。
重力レンズの効果を受けた遠くの天体の像は歪むだけでなく拡大もされているため、本来よりも高い解像度で天体を識別することができます。現在ではこうした重力レンズの性質を活かして遠方天体の観測を実施したり、太陽による重力レンズ効果を利用した系外惑星観測用の宇宙望遠鏡が検討されたりしています。
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画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡の「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」と「広視野カメラ3(WFC3)」の観測データをもとに作成されたもので、ハッブル宇宙望遠鏡の今週の一枚としてESAから2021年4月12日付で公開されています。
Image Credit: ESA/Hubble & NASA, D. Coe
Source: ESA/Hubble
文/松村武宏
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