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「スペースシャトル」初打ち上げから40年。ハッブルの打ち上げやISSの建設にも貢献

sorae.jp / 2021年4月13日 20時58分

【▲ 1981年4月、スペースシャトル「コロンビア」によるSTS-1ミッションの打ち上げ(Credit: NASA)】

ソビエト連邦(当時)の空軍パイロットだったユーリ・ガガーリンが搭乗した「ボストーク1号」による人類初の有人宇宙飛行が行われてから、日本時間2021年4月12日で60年目を迎えました。実はこの4月12日は、アメリカの宇宙開発においても忘れられない記念日となっています。

■述べ852人を乗せたスペースシャトル計画最初の打ち上げ

今から40年前の日本時間1981年4月12日21時、フロリダのケネディ宇宙センター第39A発射台からアメリカ航空宇宙局(NASA)のスペースシャトル「コロンビア」が打ち上げられました。これは2011年までの30年間に渡って運用されることになるスペースシャトル初のミッション「STS-1」の打ち上げであり、1975年7月の「アポロ・ソユーズテスト計画」以来6年ぶりとなるアメリカの有人宇宙船打ち上げとなりました。

STS-1ミッションはスペースシャトル計画における有人飛行試験の位置付けでした。コロンビアにはアポロ16号で月面を歩いたジョン・ヤング飛行士(船長)と、これが初の宇宙飛行となったロバート・クリッペン飛行士(パイロット)の2名が搭乗。安全な打ち上げ、軌道の周回、そして帰還の実証を目的に54時間の飛行が行われました。

【▲ STS-1ミッションでコロンビアに搭乗したジョン・ヤング飛行士(左)とロバート・クリッペン飛行士(右)(Credit: NASA)】

スペースシャトルは乗員が搭乗する有翼式の宇宙船「オービター」、打ち上げ中にオービターへ液体水素と液体酸素を供給する「外部燃料タンク(ET)」、打ち上げの途中まで使用される「固体燃料ロケットブースター(SRB)」から構成されていて、このうちオービターとSRBは再利用が前提でした。

最大8名が搭乗できるオービターの機体中央には長さ約60.3m、幅約4.6mの貨物室が設けられていて、与圧式の宇宙実験室「スペースラブ」や合成開口レーダー(SAR)といったペイロード(搭載物)を積み込むことで、地球周回軌道における様々なミッションに対応できました。30年間に計135回実施されたミッションでは延べ852人の宇宙飛行士がスペースシャトルに搭乗しており、その中には本稿執筆時点で国際宇宙ステーション(ISS)に滞在中の野口聡一宇宙飛行士をはじめとした日本の宇宙飛行士も含まれています。

【▲ 1990年4月、スペースシャトル「ディスカバリー」から放出された「ハッブル」宇宙望遠鏡(Credit: NASA)】

スペースシャトルは人工衛星や探査機の打ち上げ(放出)も可能で、たとえば1990年には「ハッブル」宇宙望遠鏡がスペースシャトル「ディスカバリー」によって打ち上げられています。また、1998年に建設が始まった国際宇宙ステーションのうち、日米欧のモジュールで構成されるアメリカ区画の主要な構成要素はスペースシャトルによって運搬され、軌道上で組み立てられました。

スペースシャトル計画では悲劇的な出来事もありました。1986年1月には打ち上げ時に「チャレンジャー」が、2003年2月には帰還時に「コロンビア」が事故で失われ、合わせて14名の宇宙飛行士が命を落としています。NASAは毎年1月末頃に「Day of Remembrance(追悼の日)」を設けており、1967年1月に地上試験中の火災で命を落とした「アポロ1号」の3名の宇宙飛行士も含め、宇宙開発に携わるなかで命を落としたすべての人々を偲ぶセレモニーなどを催しています。

【▲ 2021年の追悼の日セレモニーで献花するNASA長官代理のスティーブ・ユルチク氏(Credit: NASA/Bill Ingalls)】

ボストーク1号からわずか20年で登場したスペースシャトルが切り開いた宇宙船やロケットの「再利用」は、引退から10年を経て再び花開きつつあります。

民間宇宙企業のスペースXは「ファルコン9」ロケットの第1段や有人宇宙船「クルードラゴン」の回収・再利用を実用化させただけでなく、大型の再利用型宇宙船「スターシップ」と再利用型ブースター「スーパーヘビー」を開発中。欧州宇宙機関(ESA)や米シエラ・ネヴァダ社も小型の再利用型宇宙船を開発しています。また、ロケットの回収・再利用は打ち上げコストの低減だけでなく宇宙ゴミ(スペースデブリ)の削減にもつながることから、欧州、日本、ロシアなどでも再利用型ロケットの開発・検討が進められています。

 

関連:人類初の宇宙飛行士ユーリ・ガガーリンの飛行から今年の4月12日で60年

Image Credit: NASA
Source: NASA
文/松村武宏

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