巨星にブラックホールが衝突し超新星爆発が誘発された可能性が判明
sorae.jp / 2021年9月16日 20時56分
カリフォルニア工科大学は9月2日、カリフォルニア工科大学の大学院生ディロン・ドンさん率いる研究チームが、ブラックホール又は中性子星が衝突したことによって伴星の超新星爆発が誘発された可能性があることを突き止めたと発表しました。
まず、研究チームが、VLA(the Very Large Array=超大型干渉電波望遠鏡群)Sky Surveyによって得られたデータを調べていたところ、非常に明るい瞬間的な電波源(radio transients)がみつかりました。この瞬間的な電波は、巨星が超新星爆発を起こしたときに飛び散った物質とその巨星の周囲に存在していた厚く濃いガスの雲が衝突して発生したものでした。
しかし、これを普通ではないと考えた研究チームがさらに研究を進めると、同じ場所で、今度は、瞬間的なX線源(X-ray transient)がみつかりました。こちらは、相対論的ジェット(光速に近いスピードで噴き出すジェットのこと)が噴き出したことによって発生したものでした。
そこで、研究チームがさらに慎重に研究を進めたところ、この2つは同じイベントから発生したものであると考えられることが解りました。普通はこの2つは結びつくものではありません。では、この2つがどのようにして同じイベントから発生したのでしょうか?
コンピューターモデルを使って、さらに慎重に研究を進めた結果、研究チームはついに次のような最も可能性の高いシナリオにたどりつきました。
ブラックホール又は中性子星(以下、ブラックホール)がかつて連星系を構成していた巨大な伴星(a massive star)に衝突します。このときブラックホールはかつての伴星の大気などを呑み込んでジェットを噴き出しますが、このジェットに含まれている物質によって伴星の周りに厚く濃い渦巻状のガスの雲が形成されます。
その後、ブラックホールは、数百年をかけて伴星のコアに向かって落ちていき、やがて伴星のコアと衝突し、伴星のコアの物質を呑み込んで、非常に激しい相対論的ジェットを噴き出しますが、この相対論的ジェットが引き金となって、伴星はついに超新星爆発を起こします。
このとき飛び散った伴星の残骸が伴星の周りに形成された厚く濃い渦巻状のガスの雲と衝突して、上述した瞬間的な電波が発生したと考えられるというわけです。
研究チームによれば、このようなイベントは以前から理論的には予測されていましたが、その観測的に確固たる証拠が得られたのは、これが初めてだそうです。
Image Credit: Chuck Carter
Source: カリフォルニア工科大学のプレスリリース/論文
文/飯銅重幸
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