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士業が報酬以外の交通費等の実費について請求する場合に気をつけるべき点

相談LINE / 2020年8月27日 19時0分

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個人である税理士などの士業に報酬を支払う場合、原則としてその報酬に対して源泉徴収が必要になります。この場合に問題になることの一つに、その士業が立て替え、顧客に報酬と別途請求する交通費の実費の取扱いがあります。
実費で報酬ではありませんので、常識的な感覚としては、その交通費部分については源泉徴収の対象にならないと考えがちです。しかし、国税庁の見解としては、その交通費部分も原則として源泉徴収になるとしています。

■実費部分の取扱い

国税庁のホームページによると、実費にあたる交通費については、「通常必要な範囲内の交通費、宿泊費等を支払者が直接、交通機関やホテル等に支払う場合」には、源泉徴収の対象となる報酬から除くことができるとされています。支払者が直接払わなければならないため、支払者がホテルや交通機関を手配するような場合は別にして、後日精算になるとその部分を含めて源泉徴収が必要で天引きする必要があるということになります。


■取扱いが見直されるという情報

しかし、立替にすぎない交通費についても源泉徴収がされるとなると、確定申告して還付を受けるまで、士業としては源泉徴収される部分の自腹を切らざるを得ず、資金繰り的にも望ましくはありません。

加えて、実費部分は報酬ではないというのが一般常識ですから、それを報酬として源泉徴収するのはなかなか納得できません。実際のところ、税務実務でもこの点ミスが多い事例として報告されており、不経済な取扱いと思われます。

このような点が考慮されたのか、税理士向けの権威ある税務雑誌において、この取扱いが緩和されるという情報がありました。

■見直しの方向性

その雑誌によると、国税庁の取材とした上で、支払者が直接交通機関に支払った場合と同視できるような立替であれば、その交通費は源泉徴収の対象から除くことができるとされるようです。具体的には、交通費の領収書のあて名を支払者とした上で、その領収書と引き換えに生産を受ける、というやり方がこの立替に当たるようです。

言い換えれば、交通費の領収書が個人士業の名義のままであれば、従来と同様の取扱いになるとも言えます。加えて、日当と同様に、交通費の領収書をもらわずに実費精算する、といったことも現状あると思いますが、このようなケースについてもこの取扱いの対象にはならないと考えます。

今後は、領収書の名義と保存について、注意したいところです。

■専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。



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