不動産取得税や登録免許税を不動産取得価額に含めるどうかの判断について

相談LINE / 2020年9月4日 19時0分

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土地や建物などの不動産を取得した場合、不動産取得税や登記に係る登録免許税が課税されます。これらの税金に関し、問題になるのは不動産の取得価額に含めるかどうかです。取得価額に含めるということは支出したタイミングでは経費にならない、ということになり、税負担が大きくなります。
この点、結論から申し上げますと、不動産取得税や登録免許税を経費にして取得価額に含めなかった場合には、その処理が認められるとされています。

■経費になるが

このため、実務でこれらの税金は法人税の経費として処理することがほとんどですが、中には取得価額に含める方もいるようです。この理由は、できるだけ決算書の利益を大きくしたいと考えるからです。

一方で、法人税の計算は、決算書の利益とイコールにならなくとも問題ありません。このため、決算書では不動産取得税や登録免許税を不動産の取得価額とし、法人税の計算ではこれらの税金を経費とする処理が認められるか、問題になります。

■決算書と矛盾する処理は認められない

この点、国税の内規を見ると、このような処理は認められないと書かれてあります。その理由は大きく二つあります。

一つは、法人税の計算は、会計基準に準拠して行うべき、という法律の定めがあるからです。会計基準に準拠する、すなわち決算書を前提に、所定の調整を行って法人税の計算を行う必要があるため、決算の処理と矛盾があるのは問題である。このような理屈なのです。

もう一つは、法人税の申告は会社法の確定した決算に基づいてやるべき、という法律の定めがあるからです。確定した決算において、取得価額に含めている以上、それと矛盾した処理を税金計算で行うのは問題である。このような解説がなされています。

■更正の請求ももちろん不可

この点、申告した後、処理の間違いに気づいて更正の請求を行うことももちろん無理です。更正の請求は、すでにした申告に間違いがあって過大に税金を納めた場合に行う還付請求ですが、不動産取得税や登録免許税を経費にすることも取得価額に含めることも会社の選択で決めることができますので、どちらを選んでも間違いではないからです。

このため、一度申告してしまえば取り返しがつきませんから、これらの税金を取得価額に含めるかどうか、慎重に判断する必要があります。

■専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ 税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。



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