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ADW社の販売用マンションの仕入控除訴訟について元国税の見解

相談LINE / 2020年10月22日 19時0分

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去る9月3日、税務の専門家にとって驚くべき判決がなされました。この判決、現在大きな問題になっている販売用マンションの消費税の取扱いに関するもので、ADW社が提訴しているものです。販売用マンションの消費税について、数年ほど前から国税は従来の見解を改め、その消費税の全額を控除することはできないと指摘し、多くの税金を追徴してきました。
このような課税を不当として、ムゲンエステート社が訴訟を起こしていますが、その裁判では現状国税が勝訴しています。にもかかわらず、ADW社については東京地裁で国側敗訴と180度異なる判断となっている訳で、大きな注目を集めています。

■まだ地裁レベルなので慎重に

この判決はまだ地裁段階ですので、今後の高裁などで変更する可能性も大きいと考えられていますが、それでも大きな影響を及ぼすことは間違いありません。現に、ADW社の判決を基に、国税に対して消費税の還付請求ができるのではないか、といった質問が私のところにもすでに寄せられています。

報道によると、国税は控訴するか検討中ということですが、控訴をあきらめることはまずないと思われます。税務調査で有無を言わさず課税をしていますから、控訴をあきらめるとなると相当の金額を納税者に還付しなければならないからです。このため、仮にすでにADW社と同じ理由で課税されている会社については、今後の動向に注意すべきでしょう。

■問題の所在は隠ぺい体質

ADW社について、東京地裁が先行するムゲンエステート社の裁判と異なった判決をした理由は明確ではありませんが、私見としては、国税のあからさまな隠ぺい体質と責任逃れに怒りを覚えたのではないか、と考えています。この問題が大きくなっているのは、もともと国税は販売用マンションの消費税について、その全額を控除していいと説明しておきながら、唐突にその取扱いを見直して巨額の消費税を課税したからです。

このことは明確な国税の手落ちですが、「解釈を変えた事実はない」などとあからさまな隠ぺいに走っています。残念なことに、この「解釈を変えた事実」を示す資料が一般公開されているために、国税の露骨な隠ぺいは日本中に知れ渡っています。

国民に嘘をつく組織を許してはいけない。このような心証を裁判所が持ったのではないでしょうか。いずれにしても、今後の動向に注意が必要です。

■専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。

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