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青色申告特別控除は修正申告によって控除の増額が認められるか?

相談LINE / 2021年12月21日 19時0分

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所得税の確定申告において、個人事業主には青色申告特別控除という特別な控除が認められています。これは、適正な記帳を要件に、税務署長の承認を得て認められる青色申告で申告する納税者に認められる特典です。この青色申告特別控除は、二パターンあり、一つは10万円の控除で、これが原則です。もう一つは、貸借対照表を添付して期限内申告をするような青色申告者に認められる控除で、要件を満たせば控除額が55万円(電子申告をするなど、所定の行為を行えば更に上乗せで65万円)となります。

■修正申告による増額の可否

実務上、よく問題になることの一つに、最初の申告では10万円で控除を受けておきながら、後日その控除額を55万円に増やせるか、ということが挙げられます。具体的には、55万円控除を受けることを目的に、貸借対照表なども添付していたが、誤って控除額を10万円とするケアレスミスを行った、といった事例があります。

この場合の取扱いですが、税務署から明確な見解は出ていないものの、専門書などでは原則として青色申告特別控除の増額は認められないとされていますので注意が必要です。この理由として、税法上は、55万円控除を受ける場合、その旨を申告書に書いておく必要があるとされているからと説明されます。少ない金額の10万円の控除を受けている以上、その旨は書かれていない訳ですから、適用も受けられない、という訳です。

■青色申告の取消しとの関係性

ところで、青色申告には取消しという取扱いがあります。これは、不正取引がたくさんあるような、青色申告という特典を与えることが不適切と認められる場合に、税務署の権限でその取消しを行える、というものです。この青色申告の取消しがなされる場合として、法令上、納税者の記帳が信頼できないような場合が挙げられています。

その一方で、青色申告の取消しは納税者の特典を奪うという意味で非常に強硬的な制度でもありますので、実際に上記のようなケースに該当しても、取消しを行うことは実は多くありません。この点、最高裁の判決でも、青色申告の取消しは慎重に行うべきとされています。

しかし、青色申告の取消しがなされなかったとしても、適正な記帳がなされていなければ、55万円控除を取り消して10万円の控除とする、といった処理はよく行われますから注意が必要です。

■専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。



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