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「容疑者宅で大量のアニメを押収」ーーこれって裁判の証拠に使われるの?

相談LINE / 2015年11月19日 20時0分

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12日に東京の江戸川区で女子高校生(17)が殺害された。逮捕されたのは女子高校生が働くコンビニの元同僚だったという青木正裕容疑者(29)。
青木容疑者は12日、女子高校生と共通の趣味であったアニメで自宅に誘い出し、その後首を締めて殺害。報道によると青木容疑者の自宅からアニメのDVDなど、約420本が押収されたことが分かった。
「容疑者宅には大量のアニメDVDが見つかった…」ーー若い女性を対象にした殺人事件で、容疑者がアニメ好きだった場合によく聞くフレーズだ。しかしこの報道は「アニメ好き=犯罪者」という印象を与えかねない偏見報道だと批判を集めている。ところでこの押収したアニメDVD、押収したということは、当然一つの資料として使用されるのだろうが、その後はどうなるのだろうか。つまり、実際に裁判で証拠として使用されることがあるのかどうかという意味である。今回はこれについて刑事事件を専門としている荻原邦夫弁護士に寄稿していただいた。

■証拠として使われることもあるが、極めて例外的

結論としては、証拠として使われることもあります。
しかし、使われるべき事件というのは、極めて例外的でなければならないと考えます。

刑事事件では、すべての事実認定は証拠に基づいて行われます。そして、刑事事件で採用できる証拠は、証明する事実との最小限度の関連性があり、判断を誤らせるおそれ強くないものでなければなりません。

被告人の自宅に漫画やアニメがあることを証拠として裁判所で示す場合、それによって何を証明しようとしているかを検討しなければなりません。

被告人が犯罪行為を否認している場合に,漫画やアニメを所持していることによって,犯罪が立証できるでしょうか。

性的な描写がある漫画やアニメを持っているのであれば、犯罪もしたのだろうという推論は、絶対におかしいとは言えませんが、人が犯罪を行ったと断定する証拠としては、極めて弱いというべきです。かえって、そのような推論は、偏見と紙一重であり、判断を誤らせるおそれが強いというべきです。

■証拠として採用される可能性があるいくつかのケースとは?

ただし、描写の内容が、実際の事実と酷似しているような場合には、証拠として採用されることがあるかもしれません。そのような場合でも、それらの漫画やアニメを持っている人は他にも大勢いるわけですから、その証明力は慎重に評価されなければなりません。

被告人が犯罪を行ったことについては、他の証拠により立証できる場合に、被告人の動機を推察したり、被告人の日頃の性格を立証したりするために証拠として採用されることも考えられます。

このような場合は、犯罪行為そのものを立証する場合と比較して、証拠の採用の柔軟さが増しますので、アニメや漫画を所持していることが立証されることはありえるでしょう。

しかし、この場合も、事件そのものとどのように結びつくのか十分に検討する必要があります。

漫画やアニメを所持していることは、何ら非難されることではありませんから、犯罪を行ったとしても、漫画やアニメを所持することが被告人に過度に不利益に評価されるべきではないでしょう。

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