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期限切れ欠損金が経費となるかどうかの注意点を専門家が解説

相談LINE / 2017年11月30日 19時0分

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過去の赤字である欠損金は、現行制度上、将来9年(平成30年4月1日以後に開始する事業年度において生ずる欠損金額は10年。以下同じ)にわたり、黒字と相殺することができます。言い換えれば、9年超の欠損金は切り捨てられることになりますが、その例外として、一定の場合には、9年超前の欠損金(期限切れ欠損金)を経費とすることができます。

■清算事業年度に認められることが多い

この期限切れ欠損金ですが、それを経費として認めてもらえるのは、原則として解散に伴う清算事業年度についてです。会社を解散して清算結了する場合、ネックになることの一つに社長借入金があります。

解散するような会社であれば、資金繰りの都合から、社長から借金をしていることが多くあります。この借金ですが、会社は返せないため、清算結了するためにはそれを社長が免除するより他にありません。しかし、社長が借金を免除すると、今度はその免除分法人の利益が大きくなり、場合によってはその利益に対して法人税が課税されます。

こうなっては元も子もありませんから、債務免除する場合の利益を相殺できるよう、期限切れ欠損金を経費として使うことができるという制度が設けられているのです。

■残余財産がないと見込まれることが条件

ただし、この期限切れ欠損金を経費として使う制度の条件として、解散に伴う清算事業年度について、その法人の「残余財産がないと見込まれる」ことが必要になります。会社が清算結了した場合、借金を差し引いた後の財産が残っていれば、その残った財産を株主に分配する必要があります。この残った財産が残余財産であり、それがないと見込まれる必要があります。言い換えれば、借金の方が多い、債務超過でなければならないのです。

■添付書類が必要

この「残余財産がないと見込まれる」という条件ですが、期限切れ欠損金を経費として使う場合には、それを証明する書類を添付しなければならないとされています。この書類ですが、一般的にはその法人の実態貸借対照表を意味するとされています。

実態貸借対照表とは、法人の資産負債を時価ベースに換算した後の貸借対照表を言います。つまり、期限切れ欠損金を経費として使うためには、時価ベースで債務超過であることを示す必要があります。

■専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は税理士向けのコンサルティングを中心に118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開するとともに、法律論や交渉術に関する無料メルマガを配信中。

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