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海外での所得はどの国で課税される?短期滞在者免税の183日ルールとは?

相談LINE / 2018年6月15日 19時0分

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国際課税においては、稼いだ所得をどの国で課税するかが問題になります。日本の居住者であれば、全世界の所得に対して日本で課税されますが、その反面、例えば海外のA国の会社からもらう配当金に関しては、A国の会社のビジネスから生じたものでもありますので、A国も税金をかけたいと思います。こうなると、日本でもA国でも二重に税金を取られることになりますから、どっちの国が優先的に税金をかけるのかなどのルールが設けられています。
給与に関しては、原則としてその給与に係る労務を提供した国で優先的に税金をかけることができるとされています。このため、海外に出張した場合、海外で行う仕事に関しては、海外でも課税されることになります。

■短期滞在者免税とは?

海外でも税金を取られるとなると、給与所得者としては負担が大きくなりますし、給与を支払う会社も源泉徴収などの手間が大きくなります。このような事態を踏まえて、日本が結んでいる租税条約によっては、短期滞在者免税という制度が設けられている場合があります。

短期滞在者免税とは、一定の要件を満たす場合に、労務を提供する国での課税が免除されるというものです。要件は租税条約によっても変わりますが、例えばアメリカとの租税条約は以下のとおりです。

■アメリカとの租税条約

(1)当該課税年度において開始または終了するいずれの12カ月の期間においても他方の国に滞在する期間が合計183日を超えないこと

(2)報酬が他方の国の居住者でない雇用者またはこれに代わる者から支払われるものであること

(3)報酬が他方の国に存在する雇用者の恒久的施設によって負担されるものでないこと

(1)について。1年の半分超である183日を超えて外国にいないことが要件です。それを超えて外国にいるとなると、むしろ外国が自分の本国という判断にもなります。

(2)について。短期滞在者免税は労務を提供する国で稼ぐ給与を免税とするものですから、言い得れば労務を提供する国の税収を減らす制度です。このため、仮にその国の会社から支払われる給与についてこの制度の対象とすると、会社の経費としながら税金も取れないという不都合が生じます。このため、労務を提供する国ではなく、海外出張のように、自国から支払われる場合に限った取扱いとなっています。

詳細割愛しますが、(3)は(2)と同じ趣旨です。海外支店などに出張する際、支店が出張者の給与を負担していれば、それは短期滞在者免税の対象になりませんので注意してください。

■専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

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