相続で問題となる非上場株式の評価時点について実務上の注意点を解説

相談LINE / 2019年10月17日 19時0分

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相続税で問題になる、非上場の株式の評価については、大きく分けて類似業種比準方式と純資産価額方式の二つの方法があります。前者は業種ごとに、上場企業の株価を参考に一定の調整をして計算する方法で、後者は評価する会社の純資産価額を基に評価する方法です。いずれにしても、評価する会社の貸借対照表や税務申告を基にして、所定の計算で評価額を算定します。

■評価時点が問題になる

これらの方法を使う際、問題になるのは、評価時点です。建前としては、相続税は相続の開始の時価に対して課税されますので、相続開始時が評価時点となります。しかし、相続の開始は決算日に起こるとは限らないので、この建前を前提とすれば、相続の開始時点で一度決算をしなければならないことになります。となると、非常に大きな手間がかかりますから、実務ではこのような決算を組むことはまずありません。

例外の規定として、大きな変化がなければ、相続の開始前の、前期の決算書をベースに評価することができるとされています。この例外規定を使って評価するのが実務の対応です。


■直後が近い場合はどうなる?

ところで、相続の開始日が、直前の決算日ではなく、直後の決算日に近いようなケースもあります。3月決算の会社で、3月30日に相続が開始したようなケースです。相続税の申告期限は、相続開始時から10月以内ですから、それまでに直後の決算は確定します。となると、直後の決算をベースに計算したほうが、相続開始時の時価に近い金額が算定されるはずです。

このため、相続開始後の決算をベースに、評価できないか問題になる訳ですが、これについては、大きな変化がない場合に限り、純資産価額方式については問題ないとされています。一方で、類似業種比準方式については、相続開始後の決算は適用できず、必ず前期の決算をベースに評価しなければならないとされています。

■類似業種比準方式は前期の上場会社の決算が前提

この理由は、類似業種比準方式の計算要素は、前期の上場会社の決算を前提にしているからです。期間を合わせないと、適正な時価は算定できないという考え方から、直後の決算は適用できないとされていますので 国税庁ホームページをご参照ください。

純資産価額方式と類似業種比準方式で、評価時点が異なる場合がありますので、注意が必要です。


■専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ 税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

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