レジーねえさんは勝つと決めたらちゃんと勝つ人である――フミ斎藤のプロレス読本#133[ガールズはガールズ編編エピソード3]

日刊SPA! / 2017年11月15日 8時41分

『フミ斎藤のプロレス読本』#133 ガールズはガールズ編3は、ひょんなことから総合格闘技“なんでもあり”にトライしてみることになってしまったレジー・ベネットの気持ち(Photo Credit: BILL OTTEN)

 199×年

 レジー・ベネットは口が悪い。強調したい部分があると、どんな単語にでも“ファッキン”をつける。怒りはじめると、こんどはそれが“マザー・ファッキン”になる。

 状況はマザー・ファッキン・バッドである。レジーねえさんは、あまり深く考えずに“U★TOPトーナメント”にエントリーしてしまった。

 あまり深く考えずに、というのは適切な表現ではないかもしれない。ようするに、なんとなくタイミングが合ってしまったということらしい。

 なにか新しいことにもトライしてみたいなんて考えていたら“なんでもあり”への出場のオファーが舞い込んできた。レジーねえさんはふたつ返事でこれに応じた。

 UFC(アルティメット・ファイティング・チャンピオンシップ)だったらビデオで何度も観たことがある。そういう闘いをじっさいにやってみたいかどうかは別にして、たいていのアメリカ人レスラーはUFCにイカれちゃってる。

 “なんでもあり”の闘いへの強い関心。ほんとうにそれをやってしまったらどうなるか、という素朴な疑問。

 レジーねえさんは、オトナになってからゲンコツで他人(ひと)の顔をぶん殴ったことがない。ふつうに生活していたら、フツーはそうである。

 非日常的なスポーツであるプロレスでもクローズド・フィスト(握りこぶし)によるパンチは反則とされている。

 プロレスでは5カウント以内の反則が認められているから、その気になれば4回くらいは握りこぶしで相手をひっぱたける計算になる。でも、レジーねえさんはそういうプロレスはあまり好きではない。

 日本でプロレスをやるようになっていちばんびっくりしたのは往復ビンタの習慣だった。アメリカ人の感覚では、ビッチ・スラップ(平手打ち)は侮辱のなかの侮辱ということになる。

 試合中にあんまりバチン、バチンとほおを張られたらやっぱりムカッとくる。レスリングにも文化のちがいみたいものがある。

 アメリカ人にとってファイト(ケンカ)とは殴りっこのことだ。ボクサーとファイターは同義語。顔をぶん殴るときはクローズド・フィストに決まってる。

 レジーねえさんはプロレスらしいプロレスが大好きなハッピーなプロレスラーで、“なんでもあり”はプロレスとはまったく異なる競技だ。

 全日本女子プロレスの事務所のすぐ上の1DKのアパートメントはやたらと暑い。エアコンが壊れているから修理に来てくれといくら頼んでも、あいまいな返事しか返ってこない。

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