発達障害と診断を受けた人々…その後の生き方は?

日刊SPA! / 2019年3月14日 15時54分

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左から三村さん、山尾さん、森下さん

 発達障害の当事者たちは、その特性からさまざまな場面で困難に直面している。過去2回にわたり大特集を展開した発達障害。その取材をきっかけに生まれた『発達障害グレーゾーン』(姫野桂著)も発売即重版となるなど、大きな反響を呼んでいる。第3弾となる今回は「発達障害という診断がされなかった人々」の苦悩を追った。

◆元グレーゾーンがクロになった今、感じていること

 発達障害と診断をされて「クロ」となった当事者たちは「グレーとクロの違い」をどう考えるのか? それぞれ20~40代で発達障害に気づいた山尾亮平さん(仮名・28歳)、森下智司さん(35歳)、三村謙さん(仮名・51歳)の3人に当事者としての率直な意見を求めた。

<発達障害と診断を受けた参加者のプロフィール>

●山尾亮平さん(仮名・28歳)……障害者雇用の会社員。元小学校教員。既婚。教員をしていた25歳のとき、過労がもとで体調を崩し、ADHD(※)の診断を受けることに

●森下智司さん(35歳)……大学卒業後、飲食店等に勤務。34歳でADHDの診断を受ける。今年、フリーランスとして独立し、農業やゲストハウスなどの事業を行う

●三村謙さん(仮名・51歳)……介護サービス事業所に勤務するかたわら、プライベートでは音楽活動を行っている。既婚で48歳のとき、ADHDとLD(※)の診断を受ける

森下:僕は大学卒業後、飲食店で10年以上問題なく働いてきて、店長にもなれました。でも、管理職になってみると、早々に度重なる失敗で信頼を失い、落ち込み、病院に駆け込んだところ、34歳でADHDが発覚しました。

三村:私はバイトを転々としながら、絵を描いてきました。40代で定職に就こうと試みたものの、適応できず、「自分はダメ人間だ」と思いつめた末に精神科に行ったら、発達障害の診断が出ました。

山尾:僕は今、28歳で会社員です。小学校の教員をしていた25歳の頃に診断されて、“クロ”になりました。新卒から常に仕事量の多さにパンク寸前で、事務でミスを連発していました。心身ともに疲れきっていましたが、当時は周囲の目が怖くて休めませんでした。

三村:診断を受けたときの心境はどうでしたか?

山尾:僕は正直、ホッとしました。「自分でもなぜできないのかわからない」という苦しさが軽減されたので。ようやく休むことが許されたような感覚がありましたね。

三村:私も同じです。「ダメ人間だったわけではなく、生まれつきの障害なら仕方ない」と。

森下:僕の場合は、障害だろうと何だろうと逃げる理由になるなら何でもいいかなと思いましたね。会社にはすぐに伝えて、店長を降りさせてもらいました。昔はバリバリの体育会系でしたが、今は仕事への向き合い方を変えました。

◆発達障害でも気づくタイミングはまちまち

山尾:発達障害でも気づくタイミングはまちまちですよね。転職や結婚、身内の死などを機に障害に気づく人もいると聞きます。

森下:僕も店長になっていなければ気づかなかったかもしれません。

山尾:得意な部分で人並み以上にやれてしまう部分があると、できない部分が「怠け」だと捉えられてしまうのもツラいですよね。

森下:得意なことなら異常に集中してやれたりするので、上司によっては「おっちょこちょいなところもあるけど、やればできるヤツ」みたいな評価になって、期待に応えようと頑張った結果、つぶれるという状況が生まれてしまいます。

三村:私は発達障害だと診断されてから、介護職に転職しました。訪問先が自宅から徒歩圏内なのがともかく楽。満員電車がとにかく苦手だったので。

森下:僕は発達障害の診断をされたものの、服薬しなかったこともあって、今はもう通院をやめています。“グレーゾーン”だったときはずっと一般人としても障害者としても中途半端な存在だなって思いを抱えていましたね。

山尾:僕は結局、障害者雇用で一般企業に転職しました。教員の仕事は常に恋しいですが、あの働き方は僕にはできません。グレーゾーンを経て、クロになったことで無理してもできないことが理解でき、できることとできないことがクリアになったのはよかったです。

◆※「発達障害」の主な特徴

●ASD(自閉症スペクトラム障害)……相手の目を見て話せない、冗談や比喩が通じないなど、コミュニケーションにおいて困難が生じる。また、特定分野に並々ならぬこだわりを持っている場合もある

●ADHD(注意欠陥・多動性障害)……不注意や、多動・衝動性がある。予定のダブルブッキングや遅刻など、ケアレスミスが発生しやすい。また、思ったことをすぐ口に出してしまうケースもあるため、人間関係のトラブルに繫がることも

●LD(学習障害)……知的な問題がないにもかかわらず、読み書きや計算に困難が生じる

― 発達障害グレーゾーン ―

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