私は本気で人を好きになったことがありません…女性40歳の悩み

日刊SPA! / 2019年3月18日 15時51分

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※写真はイメージです

― 連載「佐藤優のインテリジェンス人生相談」―

“外務省のラスプーチン”と呼ばれた諜報のプロが、その経験をもとに、読者の悩みに答える!

◆私は本気で人を好きになったことがありません

★相談者★バツナシ(ペンネーム) 会社員 女性 40歳

 私は自分から人を好きになったことがありません。結婚していますが、夫に何度もアプローチされて付き合いだし、年齢的なものもあって結婚をしました。数人の男性とお付き合いした経験がありますが、すべて男性からのアプローチでした。40歳になって、そんな自分がつまらない人間に思えてきました。死んでもいいと思える恋を経験していない自分が、非常に薄情で人間味がないようにも思えます。

 心の底から一つのことに熱中できる人や、周りが見えなくなるほどの恋をしている人がうらやましいです。子供はいませんので、一人で夕食の準備などをしながら、そんなことを考えています。つまらない私が、もっと人生を謳歌するにはどうしたらいいでしょうか? このまま何もしないで年だけとっていくことは想像したくありません。

◆佐藤優の回答

 実を言うと、私の周囲でも、「結婚しているけれど、相手に対して特別の想いがあるわけではない」という悩みを抱えている人が少なからずいます。そういう人に私は「恋愛至上主義のような発想は捨てたほうがいい」と言っています。

 結婚の基準に恋愛が重視されるようになったのは、比較的最近のことです。特に日本では、太平洋戦争で敗れ、民法が改正される前までは、結婚は家族を維持するために、家と家の間で行われるものでした。そのことの是非についてはともかく、結婚は2人の人間が生きていくための互助システムと考えることもできます。

 あなたが結婚した理由には、心の底のどこかに、結婚することで将来の不安を軽減できるという要因があったと思います。そのことを恥じる必要はありません。人間は、一人で生きていくことは難しいので、同居するパートナーを見つけるという選択はきわめて合理的だからです。あなたたち夫婦は、生活共同体を形成しているのですから、それでいいのだと思います。

◆恋愛にも適正がある

 その上で、自分の死について考えてみましょう。イスラエルのヘブライ大学で歴史を教えているユヴァル・ノア・ハラリ教授は、世界的に有名なベストセラー『ホモ・デウス』の中で、こんなことを言っています。

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 過去一○○年間に平均寿命が倍に延びたとはいえ、それに基づいて、今後一○○年間で再び倍に延ばして一五○年に達することができると見込むわけにはいかない。一九○○年には、世界の平均寿命は四○年にすぎなかったが、それは多くの人が幼いうちや若いうちに、栄養不良や感染症や暴力のせいで亡くなっていたためだ。それでも、飢饉や疫病や戦争を免れた人は、優に七○代、八○代まで生きられた。それがホモ・サピエンスの自然寿命だからだ。

(『ホモ・デウス テクノロジーとサイエンスの未来 上』40頁)

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 人生100年時代と言われていますが、実際にそこまで健康寿命を維持できる人は、圧倒的少数派です。あなたは40歳ですので、そろそろ人生の折り返し点に近づいてきていることを自覚したほうがいいと思います。40年間の人生で、死んでもいいと思える恋を経験したことがなかったという事実から推定すれば、残りの人生でもそのような大恋愛を経験することもないと思います。

 スポーツや仕事には適性があります。それと同じように恋愛にも適性があります。恋愛の適性がないからといって、それで幸せになれないと思い込んでしまうのは、恋愛至上主義という神話にとらわれているからです。何か自分の趣味を見つけて、それに満足を覚えるという方向で、自分を誘導してみましょう。

 旅行でも、華道や茶道でも、読書でも、写真でも、あるいは犬や猫を飼うことでも、何でもいいです。楽しいと思う趣味が見つかれば、愉快に年をとっていくことができるようになります。

★今週の教訓……仕事と同じように恋愛にも適性があります

【佐藤優】

’60年生まれ。’85年に同志社大学大学院神学研究科を修了し、外務省入省。在英、在ロ大使館に勤務後、本省国際情報局分析第一課で主任分析官として活躍。’02年に背任容疑で逮捕。『国家の罠』『「ズルさ」のすすめ』『人生の極意』など著書多数

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