自主規制のパチスロ6号機導入が遅々として進まないのは警察のせい?

日刊SPA! / 2019年3月21日 15時49分

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POKKA吉田&木曽崇のギャンブル放談<11>

 ぱちんこジャーナリスト・POKKA吉田氏とカジノ研究家の木曽崇氏がギャンブルをキーワードに言いたい放題しゃべりまくり、斬りまくる『POKKA吉田&木曽崇のギャンブル放談』。第5回で取り上げた当時は業界としても押せ押せムードだったパチスロ6号機だが、その後は市場への流通が滞り、高射幸機からの切替えは足踏み状態が続く。そんな6号機を取り巻く現状について改めて語ってもらった。

◆6号機の新台を入れられないホール側の事情

──昨年4月、全日本遊技事業協同組合連合会(全日遊連=パチンコホールの業界団体)は、「高射幸性パチスロ機の設置比率を’19年1月31日までに設置台数の15%以下にする」という自主規制を打ち出していましたが、その後、半年足らずで期日の延期に追い込まれました。射幸性を抑制した新規則機であるパチスロ6号機の導入が、なかなか進んでいないようですが、何が理由なのでしょうか。

POKKA吉田:そもそも6号機の型式適合台数が少なくて販売台数が伸びないということと、もうひとつはお店側の事情だよね。年間に新台を1台でも買うことができる体力を持っているお店って、そんなにないのよ。そういう店が台替え入替をするとき、本当は6号機の中古がほしいけど、タマが出回っていない以上、中古の5.5号機とか5.9号機に入れ替えせざるをえない。

だけどこういう経過措置の機械には、必ず撤去期限があって、同じ台を2年3年使わないとやっていけない体力の店にとってはしんどいわけ。つまり、全日遊連がこの15%の自主規制ルールを維持しようとしても、それは法律上の規制ではないから、「全日遊連にはもうついていけない」と傘下組合から脱退する店や、あるいは廃業する店が出てくる。

そういう事態になるわけにはいかないので、「延期します」って話になった。今後は、6号機の市場への供給状況を見ながら、あらためて期限を設けるかどうか等も検討していくことになるよ。

木曽崇:全日遊連の自主規制ルールだと、高射幸性回胴式遊技機の設置比率は’19年1月末に15%、’20年1月末に5%、’21年1月は経過措置が終わってゼロにするっていう話だったよね。

POKKA吉田:’21年1月末時点でゼロにするっていうのは法律上の義務だから、放っておいても高射幸性の台は消えるよ。残したら違法やし。15%、5%はあくまで自主規制なんだけど、これが今年も延期がずるずる続くようなら、自然減に任せる以外になくなっちゃう。

◆型式試験が変わらないのは、警察が規則改正の手間を惜しむから?

──以前の対談時から相変わらず、型式試験に通る台は少ないままなのでしょうか?

POKKA吉田:パチンコ・パチスロの型式試験では、一定時間の出玉性能を見る試射試験をやるのね。でもそうやって実確率を見ようとすると、本来技術上の規格に適合した設計になっていても、ハズレ値は絶対に出てくるんですよ。そのおかげで適正な機械が試験に落とされる結果になるし、逆もしかりで、設計が規格に適合してなくてもたまたま通る、って可能性もゼロではないのよ。

つまり、いまの型式試験は、不適切な機械が世に出る可能性をゼロにしないどころか、適正な機械を世に出にくくしているわけ。さらにひとつ疑問なのは、技術上の規格っていうのものを法令で定められていて、行政から委託を受けた業者なりなんなりが試験をするっていうときに、その試験方法を申請者に教えない業種って、ほかにある? 車や建築業界だったらふつう教えるでしょ。

木曽崇:どうなんだろうな~。カジノの業界では教えることが多い。カジノの場合は技術試験であって、パチンコの出玉のような性能試験ではないので。パチンコの場合は確率論上、出玉性能を証明できないから一定時間打ち続けるという性能試験が必要になるけど、カジノのスロットマシーンは原則、確率論上きちっと出玉性能が全部同じなのでそういった性能試験がないんですよ。

POKKA吉田:警察側の言い分としては「お前ら、試験方法を教えたらズルするだろ?」ってことなんやろうけど、ただ、俺が思うに試験方法を教えてズルされるんやったら、その試験方法が悪いわ。その都度規則から変えるなりして対応したらええっつう話じゃないの。

──ズルされるからっていう理由だけで、規則や試験方法を変えないんでしょうか。

POKKA吉田:技術上の規格の解釈基準ぐらいなら、課長決済でいつでも改正できるけど、規則改正まで行くと、警察は嫌がるんだよね。警察庁長官まで話をあげて、国家公安委員会のハンコまで必要になるから、それは大掛かりや、言うわけ。国会も通さへんのに、そんなもん大掛かりでもなんでもない話やねんけどな。信用してへんから厳しい規則に改正しました、それにのっとって厳しい試験にしました、その試験内容は具体的にこうです、っていうのが本来正解のはずやねん。警察がエライ人まで話を通さんでもちょこちょこ好き勝手できる余地を残してる今っていうのは、行政の有り様として正しいとは思えないね。

◆パチンコ・パチスロ業界は行政に物言う時がきた

──その余地はいったいなんのためなのか……。型式試験はとうぶんの間、今の形で続いていくんですかね。

POKKA吉田:いやそれが、ちょっと潮目が変わってきたのよ。去年の11月末の風営法議連で、業界団体と警察庁の局長以下と自民党の衆議院議員の有志が集まったんですよ。そこで、ある議員が警察庁の局長にこんな質問をしたのね。「射幸性の抑制がギャンブル依存症対策になると本当にお考えですか?」って。そしたら、警察庁局長がなんて答えたと思う? 「そうは考えてません」だって!

木曽崇:おお、そうなの!? 射幸性の抑制がギャンブル依存症対策になるっていう前提の違和感に気がついたのね。

POKKA吉田:「射幸性の抑制がギャンブル依存症対策になるとは思っていないけれども、射幸性の抑制は内閣官房の強い意向なのでそこは汲んでほしい」みたいなことを言ったって話で。これを議員や業界トップたちの目の前で警察庁の局長が認めたっていうのは、かなりの大転換ですよ。政府のギャンブル依存症対策推進本部のなかで、警察庁は射幸性の抑制をいちばんの生命線にして、自分の立場を守ろうとしてたんですが、その姿勢を捨てた、ってこととほぼ同義じゃん。だから、今後は6号機の型式試験の状況は良くなるはず。

──射幸性対策を背負わされていたから、今まで型式試験は厳しかったと?

POKKA吉田:まぁ、それ以外ないでしょう。

──警察庁の方針転換によって、型式試験は今後、射幸性対策から解放されていくということですか?

POKKA吉田:内閣官房がパチンコ業界に何も言わなくなったわけじゃないので、「解放された」とまでは俺は言いませんけどね。

木曽崇:いや、射幸性を抑えろって話を内閣官房側が本当に言ってるかっていったら、ほぼ絶対に言ってないはずですよ。内閣官房の、ギャンブル依存症対策推進本部は、とりまとめをするのが機能であって、業界ごとの対策については各所管官庁側があげてくものであって、あれしなさい、これしなさいの指令はいっさい出さないんですよ。

POKKA吉田:とすると、方便として「内閣官房の意向」を持ち出したんやろね。

木曽崇:国のギャンブル依存症対策推進本部は、依存症対策基本計画を’19年4月までに打ち出す方針で動いていて、それに合わせて警察庁側は、高射幸機をどんどん削減していくっていう業界対策を前面に打ち出してきたんです。だけど6号機の導入がなかなか進まない現状を鑑みて、もう依存症対策に乗っかるのは厳しいと判断して、ああいった発言になったのかもしれない。

POKKA吉田:なんだかんだ言って、今年の後半は改正規則機がたくさん出てくると思うのよ。もしそうなったら、たとえば’19年の10月末を15%期限に、’20年の6月末を5%期限に、っていうふうに再設定せなアカンよね、スジ的には。

木曽崇:そういう自主規制もいいですが、そろそろパチンコ業界側は、彼らにとって致命傷だった「釘問題・換金・広告」の3つがここ数年でクリアーにされてきたので、業界として胸を張って行政に物を言っていくべきタイミングですよ。

POKKA吉田:木曽さんの意見にはまったく賛成やわ。まだ完全にクリアーとは言い切れないんだけど、業界は是是非非主張してええと思う。風営法の広告宣伝規制違反に罰則つけろ!って俺ずっと言ってるんやけど、罰則ついて警察が本気になれば、むちゃくちゃやってるやつらがどんどん摘発されて、真面目なやつらが生き残っていくやろ。型式試験も現象をチェックするような性能試験ではなくて、設計そのものを直接規制して射幸性を抑制すれば、依存症対策の観点から言ってもひじょうにクリーンになると俺は思う。

 グレーな部分が多かったパチンコ業界。その問題がクリアになれば、パチンコ&パチスロのゲーム性も大きく変わるのかもしれない。

構成/松嶋千春、野中ツトム(清談社)

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