GW、海外旅行に行く人は必見!スリ、詐欺、暴行にあわない安全対策

日刊SPA! / 2019年4月26日 8時50分

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これまで世界83か国を旅してきた旅行ジャーナリストの筆者(嵐よういち)

 長い人は10日間もある、今年のゴールデンウィーク。この休みを利用して海外に遊びに行く人も多いはずだ。楽しみにしている海外旅行で一番心配するのは治安面だろう。

 今回はこれまで世界83か国を旅してきた筆者が、海外で気を付けるべき点をレクチャーする。また、実際に被害に遭ってしまった事例も紹介したい。

◆今も昔も日本人は犯罪者のカモ

 日本人はカモだ。昔から言われていることだが、世界中の犯罪者やスリにとって日本人がカモであることは今も変わらない。基本的に犯罪に遭うのは世界を股にかけているビジネスマンやバックパッカーよりも、ごく普通の旅行者である場合が多い。自称“元犯罪者”のフランス人男性が言う。

「日本人は現金をたくさん持っているし不注意なのでラクだね。だから一人でいる旅行者を狙うよ」

 海外の治安が良くない場所でもリュックなどのカバンを後ろにかけている日本人を筆者は多数見てきた。ちなみに地元の人はスリ、ひったくりの被害を防ぐために前にかける場合が多い。もっと驚いたのは、パスポートや財布、貴重品をリュックのポケットにそのまま入れているのである。

 海外で知人や仕事関係の人が、「財布やカードを無くした、落とした」とか言っていたことがあるが、間違いなくこれはスラれていると思う。

 なぜなら、普段日本ではそんなミスしないのに、海外に来たら突然、無くしたり落としたりするわけがない。スラれたに決まっているだろう。被害に遭ってしまった人には特徴がある。

・自分が被害に遭うとは全く考えもつかない。

・たとえスラれても、どこで落としたかを懸命に考えてしまう。

・カバンの中に貴重品を不用心に入れている。

・街中には人も多いことから安心してしまい、日本と同じ感覚で警戒していない。

 現に、筆者の知人は東南アジアの某国で「財布を落とした」と騒ぎ、警察に行って紛失したと思われる場所の防犯カメラを確認してみると、自分のカバンからスリが盗るのが映っていた。

◆スリや詐欺の被害に遭わないための基本

 では、次に基本的な対策を教えよう。いたって簡単だ。

1.パスポートなどの貴重品は腹巻型の貴重品袋に入れる。スリ多発地帯や、窃盗団に囲まれた時も筆者は無事であった。

2.カバンに大事なものが入っていたら前にかける。ただ、水やガイドブックぐらいしか入っていなかったら後ろで構わない。

3.常に警戒は怠らない。疲れていたり、街にも慣れて安心している時が要注意だ。

4.逃げるが勝ち。時には犯罪者が集団で囲んでモノを奪ってくる場合もある。声を出してもほとんどの場合、周りの人は助けてくれない。筆者もそんな場面に何度も遭遇したが、なりふり構わず、いや、正確には人が多い場所、広い道、警察がいそうな場所、レストラン、カフェに逃げるのである。実際に筆者もそうして助かっている。

5.日本語や英語で馴れ馴れしく話しかけてくる人は基本的に信用しない

 日本語や英語で声をかけてくる人は筆者の経験上、90%は犯罪者、悪い奴である。その中には、旅行者を装っている場合もある。

 たとえば、2年前にトルコのイスタンブールでこんなことがあった。

 繁華街で同年代の友人と夕食を食べた後、自称“スペイン人”旅行者が英語で話しかけてきた。男は20代で、オヤジ二人に声をかけてくるだけでも怪しいのだが、しばらくとりとめもない会話をしていると「一緒に飲みに行こう」と誘ってくる。

 筆者はスペイン語がわかる。試しにスペイン語で話しかけてみると、相手はキョトンとしている。全然理解していないようだ。詐欺師決定である。それからもしつこかったが、誘いを断った。

 この男は旅行者に「日本のことをいろいろと教えてほしいから知っているバーに行こうよ」と声をかけ、ぼったくりバーに連れていく。会計の時に法外な額を請求する詐欺師なのだ。被害報告も筆者の耳に入ってくる。こうした善意を装った詐欺は少なくない。

◆“善意のフリ”をしたトルコ・イスタンブールの靴磨き詐欺

 ここまで偉そうな講釈を垂れてきた筆者もトルコのイスタンブールの新市街で詐欺の被害に遭ったことがある。その手口がどうだったのか紹介しよう。

 この日は8月の炎天下で、汗が噴き出すような暑さだった。日曜で新市街のオフィスは休みで人通りもかなり少なかった。歩いていると靴磨きセットを両手で抱えている男が前方を歩いていた。すると男は靴の表面の汚れを拭くブラシを落とした。男はそれに全く気がついていないようだ。筆者は反射的にブラシを拾い、大声で叫ぶが気がつかない。

 そこで筆者は、肩を叩いて教えてあげた。近くで見ると、その男は口ひげを生やし、目が優しそうな50代ぐらいの男だ。彼は笑顔で礼を言ってくる。俺が行こうとすると、引き止められた。

「ミスター、あなたはジェントルマンで優しい人だ」

「当然のことをしただけですよ」

「お礼にあなたの靴を磨かせてくれないか?」

 

 著者はスニーカーを履いていて、磨かれても困る。断ったが、磨かせてくれとしつこく食い下がってくる。

「どうせ後からカネでも取るんでしょう?」

「いや、あなたからはカネは取らない。無料でいいよ、礼をしたい。さあ、ここに靴を置いてくれ」

 すでに怪しいとは思っていたが、“旅行作家魂”でこれからどうなるか試してみるのも悪くない。現地通貨で約300円の紙幣もポケットに入っているので、もしも本当に善意ならチップとしてあげて、カネを請求されたらこれを渡して逃げよう。

 靴を台に置くと、ブラシで磨き始め、水で濡らす。男は饒舌になる。

「僕はアンカラ出身でイスタンブールには出稼ぎに来ている。君、子どもはいるか?」

「独身だよ」

「僕は子どもが二人いる。家族が腹を空かしているから大変なんだ」

 男はかなり早口で話しかけてくるが、悪いことを企んでいる人間はやたらと饒舌になり、自分のペースにしようとする。これは世界共通だ。

 

◆事前に治安情報を調べておくべき

 

 両方の靴を磨いた後、今度はクリームを塗り始め、その3分後、男が言う。

「さあ、終了だ」

「ありがとう」

 筆者が笑顔で返した途端、男の表情は一変した。目を吊り上げ、ドスの効いた声で脅迫してくる。

「カネを払え」

「は? あの、あなたはカネはいらないって言ったよね?」

「そんなわけはないだろ。腹が減っているし、子どもたちも飢えている。カネをくれ」

 いくらカネに困っているからといって、人を騙して、善意を利用することは許されん。喧嘩でもしてやろうかとも考えたが、もともと「詐欺かどうか」の実験でもある。たとえ詐欺でも少しは払おうと思っていたので、当初の予定どおりに300円分の紙幣を出すと、思わぬ答えが返ってきた。

「それじゃねえ、10倍のカネをよこせ」

 

 さすがに頭にきてブチ切れそうになる。

「今、なんて言った?」

「10倍よこせ!」

「そんな価値はねえよ、ふざけんな!」

 この時、道を通る人は皆無だった。もしも男の仲間が集まってきたら、大声を出しながら逃げるだけである。だが、男は一人だけだ。

「俺はこれしか渡さない。もう行く」

 立ち去ると、後ろから罵声が聞こえたが無視した。結局、追ってくることはなかったが、もしもこれ以上しつこく付きまとってきたらどうするべきか。考えられるものは3つだ。

 

1.「お前、しつこいからポリスを呼ぼう。そこで話そう」と言う。

2.近くにホテルや店があれば、入って助けを求める。

3.徹底的に口論をして通行人がいたら味方につける。

 現実的には1と2がいいだろう。3は相手が逆上する可能性もあるので上級者向きかもしれない。

 

 ホテルに戻ってネットで調べてみると、「靴磨き詐欺」はイスタンブールで問題になっていて、被害に遭った人のコメントがたくさん寄せられていた。手口は筆者の時とほぼ同じだが、中には仲間がたくさん来て囲まれた例もあるようだ。

 基本的なことだが、ゴールデンウィークにどこか海外に行く予定の人は、事前に治安面でも下調べをしておくといいだろう。くれぐれも注意して楽しい旅行を過ごしてほしい。<取材・文/嵐よういち>

【嵐よういち】

旅行作家、旅行ジャーナリスト。著書の『ブラックロード』シリーズは10冊を数える。近著に『おそロシアに行ってきた』(彩図社)がある。人生哲学「楽しくなければ人生じゃない」

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