38万円の中古車セルシオとイマドキの軽自動車…快適なのはどっち?

日刊SPA! / 2019年7月28日 15時50分

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総額38万円で買ったセルシオ

ー[腕時計投資家・斉藤由貴生]ー
 ドケチ快適が大好きな腕時計投資家の斉藤由貴生です。

 腕時計だけでなく、クルマも好きな私は、先日まで総額38万円で購入したセルシオに乗っていました。これまで、ロールスロイスやNSXなど数十台のクルマを所有した私は、その経験から、今の時代は格安中古車を買って乗るのがベストだと思っています。

 激安中古車は、最新のクルマに比べて燃費が悪いというデメリットがありますが、それを考慮してもお得。維持費が安いクルマといえば軽自動車ですが、実際、新車の軽と3年の支払総額を計算してみると、ほぼ同様の数値となるのです。

 しかし、私が乗っていたセルシオは2000年デビューのクルマ。来年でデビューから20年もの月日が経つわけで、最新型のクルマと比べると本当に快適かどうかは疑問が残るかもしれません。

 ということで今回私は、最新型の軽自動車ホンダN-BOXを借り、型落ち高級車よりも本当に快適かを考えみました。

◆「なんてすごいクルマなんだ!」と期待値が高まったN-BOX

 軽自動車に詳しくない私は、現行型のN-BOXという存在を認知していませんでした。

 N-BOXを知ったきっかけは、街中でやたら豪華な軽自動車が走っていると思い、ネットで調べてみたからなのですが、調べれば調べるほど「なんてすごいクルマなんだ!」とビックリ。国内販売台数ランキング1位とのことでしたが、まさに納得だと思いました。

 写真で見る前席のシートは豪華に見え、軽自動車より数ランク上のクルマのよう。後席はとても広く、アレンジも自由で、電動スライドドア仕様。まさに、アルファードといった高級ミニバンを軽自動車化したかのような内容で、日本車の強みを最大限に活かしたクルマだと思いました。

 また、外装はどことなくトヨタBB風で、マイルドヤンキーからの支持も高そう。なおかつ、内装にはいくつもの間接照明があり、まさに所有する喜びも高そうな1台だと感じたのです。

 こうしてN-BOXというクルマにとても興味を持った私は、大きな期待を持っていました。しかし、実際このクルマに触れた瞬間、いくつもの疑問を感じてしまったのです。

●実物は写真よりも質感が安っぽいと感じた

 ミニバンのようだと感じた電動スライドドアは、いざ触れて見ると、高級ミニバンとは異なる雰囲気。なんだか数年後には壊れてしまうのではないか、というぐらい華奢な印象です。また、写真で見るN-BOXの内装は、肉厚なシートで豪華な印象がありましたが、乗った瞬間、質感は高くないと感じてしまいました。

 特に後席のシートはよりチープな印象で、せっかく広い空間でも、快適とはまた別、という印象。駅の待合室がホテルの部屋より広くても、快適さが上ではないのと同じような感覚です。

●衝突実験の成績は悪くないけど安全性への疑問が……

 軽自動車といえば、その小ささから、安全性に疑問を抱く方がいる一方、国内の衝突実験の成績は悪くなく、最新型は安全性が高いといえます。

 2年ほど前まで、カーテンエアバッグ搭載車がほぼ無かった軽自動車ですが、このN-BOXにはカーテンエアバッグが装備されており、前面、側面の衝突安全性能は決して低くないでしょう。

 けれども、その一方で気になったのは、後面の衝突性能。後席のデフォルトシート位置は、かなり後方となっているのですが、その位置では、バックドアとの距離がかなり近い状態です。ヘッドレストを頭の位置に合わせると、リアウィンドウと接触するほどの状態となるため、万が一後ろから衝突された場合は、頭を直撃するのではないかと疑問に思います。

 もちろん、リアシートを前方までスライドさせれば、安全性は向上するといえるのですが、そうするとスピーカー&カップホルダー部分が隠れてしまいます。また、シートベルトの位置が遠くなり、よりきつく感じてしまうため、ユーザーとしては、荷物を詰むとき以外は、後席シートの位置を後方に設定したくなる心理になりそうです。

 ちなみに、ネットを調べたところ、N-BOXの後面衝突実験のデータはなく、実際どのぐらいの安全性能があるのかは不明でした。

●軽自動車らしい運転感覚が味わえない

 N-BOXを運転して思ったのは、小ささを感じないという点。これは、ワンランク上の運転フィーリングを感じさせるメリットとなる一方、軽自動車らしい手軽さを味わえないデメリットがあると思います。

 N-BOXを借りた当日、私は現行型の三菱パジェロで移動していたのですが、見切りの良さはパジェロのほうが上。N-BOXに乗り換えた瞬間、「本来寸法がデカいパジェロより、大きく感じるかも」と思ってしまったのです

 また、N-BOXはスピード感を感じません。それもまた、気づいたら思った以上のスピードが出てるというデメリットともなります。

●ヘッドレストの角度が不快だった

 そして、私が最も不快だと思ったのは、前席ヘッドレストの角度。前後を付け間違えたのでは、と感じるほどヘッドレストは前方下に傾いており、背筋を伸ばした状態では、頭に強くあたります。ちなみに、街中でN-BOXを乗っている人はどうしているのかと思い、覗いてみたところ、シートを倒し、頭をヘッドレストからかなり浮かせて運転している姿が目に付きました。ヘッドレストの付け根をペンチで曲げて調整している人もいるようです。

 さらに、アクセルの位置はかなり右寄りとなっており、私は30分運転しているうちに腰周りが痛くなってきてしまいました。

◆やはり38万円のセルシオは偉大だったと確信

 以上のことから私は、最新型軽自動車より、私が38万円で買った、型落ち中古車のほうがはるかに快適性が高いと思いました。特に2000年にデビューしたセルシオには、カーテンエアバッグやスマートキーなど、今のクルマに遜色ない装備がついており、運転フィーリングも今のクルマに大きく劣りません。

 2000年頃まで、クルマの進化はめざましく、新車が出るたびに新しさを感じました。その一方で、それから今にかけては、それほど大きな進化がないと思います。特にN-BOXなど、最新の軽自動車は進化したように見えますが、実際乗ってみるとそれほどの印象はありません。

 今回軽自動車に乗ってみて思ったのは、小さなクルマはガソリンエンジンより電気モーターのほうが相性が良いという点。私が借りたN-BOXはノンターボ車だったため、スーパーの駐車場スロープを登るだけでも4000回転になってしまいます。

 それに比べて、同じ軽自動車でも、電気自動車の三菱アイミーブは、全く違います。運転感覚は、まさにセルシオのようなトルク感。小さく、手軽で、質感も最高です。ただ、今の時代では、電池の交換に高額な金額がかかってしまうなどの不安があるため、多くの人にとって選択肢ではないでしょう。

 おそらく近い将来、電気自動車が一般的に普及すると思いますが、そうなったときに初めて軽自動車の商品力が普通車にも負けないぐらい高くなると感じます。

 ですから、今の時代において新車の軽自動車を買うなら、クラウンやセルシオなどの型落ち高級車を買ったほうが、安くて快適であると考えるのです。また、軽自動車を買うにしても、最近流行りの広い空間を意識した車種よりも、軽ならではの手軽さを感じるコンパクトな車種のほうが、軽自動車にしかない価値を感じられると、私は思います。

【斉藤由貴生】
1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、「腕時計投資新聞」で執筆。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『もう新品は買うな!』がある
ー[腕時計投資家・斉藤由貴生]ー

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