「すべてはアベが悪い」「安倍さんはすべて正しい」と主張する者たちを同時に葬り去れ/倉山満

日刊SPA! / 2019年8月5日 9時30分

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7月22日、参議院選挙を終え、記者会見する安倍首相。「日本の明日を切り拓く。」、この言葉を本気で実践しようとしている人間が一体どれだけ自民党にいるのか(写真/時事通信社)

―[言論ストロングスタイル]―
◆アベノセイダーズとアベノシンジャーズを同時に葬り去れ!

 世界は分断と対立の方向に向かっているらしい。要するに、「分断と対立を煽るアメリカのトランプ大統領により、世界は分断され対立が広がっている」そうだ。

 かなり極端な評価だが、三分の理はある。マスコミの表層的な批判を無視して、トランプの言動を少し検証すれば、事態は実に分かりやすい。

 トランプが掲げるのは、第二次世界大戦後の秩序の見直しである。今の世界の大国は米英仏中露だが、中露両国の発言権が不当に大きすぎないか。英仏をはじめ自由主義諸国は、価値観が相容れない中露に対し甘すぎないか。特にアメリカのウォール街の一部の富裕層は、裏で中露とつるんで甘い汁を吸いすぎていないか。そのしわ寄せが善良なアメリカ国民にいっていないか。トランプは、これを見直すと宣言し、実行してきたのだ。

 当然、反発は大きい。だが、トランプは世界で孤立しながら、本気で戦ってきた。

 では、我が国ではどうか。時流に便乗した言論で日銭を稼いでいる売文業者たちも、「日本も分断と対立の世界に向かっている」との表層的な言説を撒き散らしている。

 一方の主張は「すべてはアベが悪い」とする、アベノセイダーズ。もう一方の主張は「安倍さんはすべて正しい。一切批判するな」とする、アベノシンジャーズ。左右の対立のように見えるが、真剣味が足りなさすぎる。

 世界は分断され対立しているかもしれないが、日本では左下のアベノセイダーズと右下のアベノシンジャーズがじゃれ合っているにすぎない。

 もし、このグダグダの日本を立て直したいなら、真っ先にやることがある。アベノセイダーズとアベノシンジャーズを同時に葬り去れ!

 今次参議院選挙は、多くの人が悩んだはずだ。「投票したい政党が無い」と。たとえるなら、安倍晋三率いる自民党(創価学会傀儡)は死刑執行人。枝野幸男率いる野党連合は前科者。これから増税で日本国民を苦しめるぞと宣告している与党と、過去に日本国民を地獄に落とした野党。現実的な選択肢がこの二つだが、今回に限り棄権もできない。組織票に優る与党を有利にさせ、増税に承認を与えるようなものだからだ。

◆自民党もひどいが、野党はもっとひどい

 結果は、安倍自民党(創価学会傀儡)は議席を減らしながらも過半数を維持。「これで増税は承認された」と与党の幹部たちは嘯く。増長は自民党のお家芸だ。

 そもそも、民主政治とは何か。有権者が選挙により、自分たちの代表を選ぶことである。少なくとも、まともな選択肢が二つ以上なくては、選挙をやる意味がない。三つ以上必要かどうかは知らないが、選択肢が一つしかないのなら、ファシズムで構わない。今の日本には選択肢ゼロだが、どうしてこうなったか。

 本来は時限政党だった自民党が、賞味期限をとっくに切れても、ゾンビの如く腐敗しながら、政権与党に居座り続けているからである。

 1955年(昭和30年)、自由党と日本民主党が合併して、自由民主党(自民党)が結成された。当時は米ソ冷戦の真っ最中で、ソ連の代理人である日本社会党に対抗するために保守二大政党が合同した。

 保守合同を推進した自民党幹部は「この党は20年持てば御の字だろう」と語り合ったらしい。現に20年で自民党の全盛期は終わった。自民党は思想も理念も政策も何もないと揶揄されたが、それでも「資本主義と日米安保体制」だけは、党の共通見解だった。そして、高度経済成長を実現した。

 ところが約20年目に田中角栄という大売国奴が現れ、以降は中国共産党の手先が自民党を牛耳るようになる。こうなると、「資本主義と日米安保体制」すら、ド~でもよくなった。バブル崩壊後はまともな経済運営すらできなくなり、2度ほど政権から滑り落ちた。しかし、短期間で与党に返り咲いた。

 自民党もひどいが、野党はもっとひどいからである。ずっと。

 今次選挙で安倍自民党(創価学会傀儡)は「民主党の悪夢に戻りたいか」と有権者を脅した。もはや、それしか言うことが無いのだろう。確かに地獄の東日本大震災の不手際とデフレ不況の記憶は生々しい。それに対して安倍内閣は災害対策だけはマトモだし、不十分とはいえ景気は回復している。

 ただ、それも終わりだ。景気は既に悪化している。消費税が10%に増税される秋にはさらに悪くなるだろう。東京オリンピックが終わる来年の夏には、地獄が来るだろう。

◆愚策と白痴の二択では、安倍政権に対するマトモな批判が封殺される

 そうなったとき、自民党は何と言うか?「災害対策だけは何とかしてやる」だ。どこまで我慢しなければならないのか? 自民党を甘やかす限り、マトモな野党が出てこない限り、無限大だ。

 これまで「政治とは、よりマシな選択の連続だ」と、国民がニヒルを気取っていたツケなのだ。

 自民党は劣悪である。しかし、野党はもっと劣悪である。そんな自民党を許してきているのだから。

 昔の社会党にしても、今の枝野幸男にしても、政権を担う意思が無い。そんな政党が野党第一党でいたら、マトモな野党の邪魔になる。むしろ自民党にとっては、立憲民主党が野党第一党でいてくれるのは、大歓迎なのだ。

 私とて、安倍内閣(創価学会傀儡)の政策には反対である。経済政策では金融緩和をもっと徹底しろと思うし、あんなゴミのような改憲案など実現可能性ゼロだから無視するが、本当に実現されたら困るので反対だ。

 ところが、枝野以下野党の批判の頓珍漢なこと。景気回復の原動力である金融緩和をさっさとやめろと言い出すし、日本国憲法の条文を一字一句変えるなと主張する。正気か? 野党も本音では消費増税に賛成だから、わざと自民党を勝たせたのではと疑いたくなる。

 愚策と白痴の二択である。これでは、安倍政権に対するマトモな批判が封殺される。そして正論が通ることはない。

 これが、「安倍枝野共犯関係」である。冷戦で米ソが対立しながら、日本国内では自社両党が談合を繰り返していた。ソ連の回し者の社会党は論外だが、自民党にも闘争精神は無かった。

 やっていることは同じだ。これのどこが、分断と対立なのか。日本には、共犯関係があるだけだ。

【倉山 満】
憲政史研究家 ’73年、香川県生まれ。’96年中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程を修了。在学中より国士舘大学日本政教研究所非常勤職員として、’15年まで同大学で日本国憲法を教える。’12年、希望日本研究所所長を務める。同年、コンテンツ配信サービス「倉山塾」を開講、翌年には「チャンネルくらら」を開局し、大日本帝国憲法や日本近現代史、政治外交について積極的に言論活動を展開。ベストセラーになった『嘘だらけシリーズ』など著書多数
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