欧米諸国との連携に及び腰の日本。韓国と同じ道を歩むな/江崎道朗

日刊SPA! / 2019年9月6日 15時51分

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岩屋毅防衛相とマーク・エスパー米国防長官がホルムズ海峡などでの「有志連合構想」について会談。欧米諸国が連携しアジア太平洋の安全を守っているのに、日本はホルムズ海峡への自衛隊派遣に及び腰で、怒りの鉾先は日本に向くかもしれない/写真は首相官邸ホームページより

― 連載「ニュースディープスロート」<文/江崎道朗> ―

◆欧米諸国との連携に及び腰の日本。韓国と同じ道を歩むな

 取材で今、中欧諸国に来ていて、この原稿もウィーンのカフェで書いている。北朝鮮の核開発を扱うIAEA(国際原子力機関)の本部があるウィーンだが、現地の新聞を見ると、北朝鮮や日本のことなどほとんど出てこない。報じられているのは、自国の経済と政治のことが大半だ。

 韓国の文在寅政権が8月22日、日韓で防衛秘密を共有する「軍事情報包括保護協定」(GSOMIA)を破棄することを決めたことが日本では大騒ぎになっているが、ヨーロッパでは「そんなの関係ねぇ」だ。ヨーロッパの人々にとってアジアは遠いのだ。

 そんな遠いアジアの、日本海そして東シナ海に現在、イギリスやフランスは、軍艦や航空機を派遣し、北朝鮮の「密輸」を取り締まったり、東シナ海の警備に当たったりしてくれている。

 5月24日付外務省報道によれば、北朝鮮の「瀬取り監視等」のため、在日米軍嘉手納飛行場を拠点として航空機による警戒監視活動を実施した国は、米国、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、フランスの5か国。艦艇による警戒監視活動に参加した国は、米国、英国、カナダ、オーストラリア、フランスの5か国だ。

 要するに北朝鮮の「瀬取り監視等」を名目としたアジア太平洋版「有志連合」が結成され、現在、その活動は、日本周辺だけでなく、台湾海峡警備を含む東シナ海全体に及んでいる。

◆中国海軍750隻に対し、米国海軍70隻

 イギリスやフランスにすれば、はるかかなたの日本海や東シナ海の警備に軍艦を派遣するのは大変なことだ。日本からすれば、イギリス海峡での警備に海上自衛隊の護衛艦を派遣するようなものだ。

 英仏がそこまでしてくれるのは、それだけ東シナ海が不穏だからだ。北朝鮮も密輸を続け、核開発をやめようとしないし、放置すれば核兵器の拡散が進むことになる。しかも中国海軍が南シナ海の軍事基地化を進め、香港ばかりか台湾まで脅かしつつあり、このままだと紛争が起こりかねない。

 ところが、中国海軍の横暴と北朝鮮の密輸を抑止すべく奮闘してきた米国海軍も限界にきつつある。何しろ数が足りないのだ。

 平成30年版『防衛白書』によれば、アジア太平洋地域を担当する米海軍の第7艦隊に属する艦艇は70隻で、「航行の自由」作戦を担当する第15駆逐隊に所属する駆逐艦はわずか8隻しかない。対する中国海軍の総数は750隻に及ぶ。

 横須賀に寄港する米海軍の乗組員たちは、かわいそうなほど疲れ切っていると聞く。

 そこで見兼ねたイギリスやフランスも軍艦や航空機を派遣しているわけだ。

 米軍だけでは対応できないので、欧米諸国が連携してアジア太平洋の安全を守ろうとしている。そこで同じことをホルムズ海峡警備でもやろうではないかと、トランプ大統領は提案したのだが、中東から石油を輸入しているにもかかわらず、日本政府は及び腰だ。

 韓国はGSOMIA離脱でアメリカを怒らせたが、ホルムズ海峡警備を断れば、怒りの鉾先は日本にも向かってくるはずだ。

【江崎道朗】
’62年生まれ。九州大学文学部哲学科を卒業後、月刊誌編集長、団体職員、国会議員政策スタッフを務め、外交・安全保障の政策提案に取り組む。著書に『日本は誰と戦ったのか』(ベストセラーズ)、『コミンテルンの謀略と日本の敗戦』(PHP新書)など

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