イヴォーク、アウディ…新型と旧型で見分けがつかないクルマが増えている理由

日刊SPA! / 2019年9月15日 8時50分

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レンジローバー・イヴォーク

―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―

 クルマを買うとき、まず大事なのは予算。買えそうな価格帯のクルマの中から、乗車人数だったり、見た目だったり、性能だったりで選ぶのではないでしょうか。っていうか新車の場合、似たような価格帯のクルマは性能差もそんなにないから、もう見た目で選ぶしかないって感じ。

 でも、見た目もどこが新しいのかわからないクルマが増えてきて、なにがなんだか……

MJブロンディ改め永福ランプ=文 Text by Shimizu Souichi

◆新型になっても見分けがつかないクルマが増えているのはなぜ?

 パンパカパーン。レンジローバー・イヴォークが新型になりました!

 んなこと言っても、貧乏人のみなさまとは無関係なことは百も承知の介ですが、それでもまあ、レンジローバーというブランド名を聞けば、「雲上界のSUV」くらいのイメージは沸くでしょう。

 そんなレンジローバーにあって、イヴォークは一番コンパクトでお安いモデルですが、デザインは一番美しい! カーマニア的には「カッコだけで鼻血ブー!」でした。

 そういう傑作のモデルチェンジは、往々にして難しい。あえて変える理由はないけれど、少しは変えないと新車効果が出ない。戦前、GMが「計画的陳腐化」というマーケティング手法を取り入れ、世界最大の自動車メーカーにのし上がりましたが、今でもその流れは死んでいない。

 で、新型イヴォークはどんなだったか!?

 見分けがつかん……。

 カーマニアでも、どこがどう変わったか説明するのが不可能つーレベルで変わってない! これで中身はほとんど全部新しくしてるってんだから、豪気というか職人気質というか。あ、職人じゃなく芸術家ですね。芸術にマーケティングなどない! あるのは美への探求だけ! そんな感じッス。

 運転してみると、乗り心地がとってもよくなってる! でも、その他は微小な差でした。これだったら新車に700万円出すより、7年落ちの中古車を250万円で買ったほうがダンゼンおトク! そのような計算を瞬時で弾き出すのが、われわれカーマニアであります。

 同時にイヴォークは、ボディタイプが5ドアだけになった。先代は3ドアやコンバーチブルもあったけど、残念ながら消滅。開発の予定もない。実はジャガー・ランドローバー社は、中国での販売不振やブレグジットの影響で、いま業績が悪いのです。デザイン的には武士は食わねど高楊枝を貫きつつ、バリエーションは売れるモデルに集約したということか。是非もなし。

◆もはやカーマニアも見分けることを放棄

 それはともかく、近年、旧型と新型の見分けがつかないモデルが増えている。計画的陳腐化というマーケティング手法はもう時代遅れ、無駄にカッコを変えすぎると、かえってブランド価値が下がるようになったともいわれているからです。

 見分けがつかないモデルチェンジの代表は、欧州の高級車ブランドが中心だ。チャンピオンはアウディか? アウディのデザインは精緻を極め過ぎ、なにもいじれなくなってしまった! A6なんて本当にどこがどう変わったのか真剣にわからん! AKBや乃木坂もまったく見分けがつかないが、それとは話が違うレベルでソックリすぎる。もはやカーマニアも見分けることを放棄! 仮に買うとしたら絶対死んでも中古車ッスね!

 そのほか見分けがつかないのは、フェラーリやアストンマーティン、ポルシェ、ミニなど。国産車ではセンチュリーが代表かな。これらのブランドでは、デザインは築き上げた財産そのもの。それをキープするのは金持ちの資産運用のようなものであると言えましょう。

 でも最近は、金持ちじゃなくてもケンカしなくなってきている。

 たとえば日産のミニバン・セレナ。’05年に出た3代目から、3代にわたってキープコンセンプトを貫いている。もちろん中身もちょっとずつ良くなってるんだろうけど、ミニバンにあんまり興味がないので、何のためにモデルチェンジしてるのか、カーマニア的にはよくわかりません。

 その他、スバルのフォレスターやダイハツのタントも、己の信じた道を貫いている。そんなにカッコ良くなくても継続は力なり! そのブレない姿勢を世間はきっと認めてくれる! そういうことなのでしょうが、われわれとしては、イマイチなデザインは継続していただかなくてもけっこうですので、どうかよろしくお願いします。

【結論!】
 クルマに興味のない人には「キープコンセプト」は見分けがつかないわけですが、形をまるで変えちゃっても、これまた何のクルマだかわからなくなるわけで、どっちがいいのか、野次馬的に頭を悩ませるのであります。

【清水草一】
1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中。清水草一.com

―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―

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