同僚50代のセクハラに上司が対応してくれない…女性看護師の悩み

日刊SPA! / 2019年9月25日 15時51分

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―[インテリジェンス人生相談]―

 “外務省のラスプーチン”と呼ばれた諜報のプロ・佐藤優が、その経験をもとに、読者の悩みに答える!

◆同僚のセクハラに上司が対応してくれない
★相談者★イライラ(ペンネーム) 看護師 女性 40歳

 現在、同僚(50代男性看護師・独身)のセクハラに困っています。セクハラ野郎は仕事中に「キスして」「先っぽだけでも入れさせて」「俺のマグナム、見る?」などと言ってきます。ほかの女性看護師にもセクハラしているようですが、彼女たちはやんわりかわしているようで、私が被害に遭う頻度が一番高い気がします。私はセクハラされるたび、彼に強く注意しています。

 しかし、へらへらと対応されるだけです。上司(女性)にも相談しましたが、「〇〇さん(セクハラ野郎)は本気だと思う。結婚したらいい。お似合いだ」などとニヤニヤと対応されるだけでした。セクハラ野郎にモラルはありませんが、看護師としての腕はある人間です。私は穏便な解決を望んでいます。彼への適切な対処法を伝授していただけたら幸いです。

◆佐藤優の回答

 事態はかなり深刻です。この同僚のセクハラには構造的要因があるからです。以前、私はこんな指摘をしたことがあります。

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 なぜ日本では女性の地位はなかなか上がらないのでしょうか。一九八六(昭和六十一)年に男女雇用機会均等法が施行されるなど、職場の男女平等や社会への共同参画に関する法律や制度の整備は進めてきた。職場での女性の能力の高さも実証された。それなのに、相変わらず女性の経営者や管理職は少ないし、大学の教授会でも少数派のままです。「ガラスの天井」とは、英語の「グラス・シーリング(glass ceiling)」の訳で、女性の組織内での昇進や能力開発を不当に阻む「見えない障壁」を指します。日本社会における「ガラス」とは何か。

 私は、これを「文化拘束性」の問題だと考えます。人間はみな、ある一定の文化のなかで生まれ育ちます。すると、その文化のもっている価値観の傾斜や歪みについては、なかなか気づくことができない。(中略)日本はこれまでの「男性優位」の文化を、十分な自覚なしに維持しているために、その土台の上に、男女共同参画を謳う法律や制度を作ってもじゅうぶんな機能を発揮することができないのです。厄介なのは、男性優位的な文化拘束性は、男性だけでなく、女性をも縛っていることです
(『サバイバル組織術』176~177頁)

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◆「事を荒立ててもいいことはない」という職場文化へのシナリオ

 セクハラをする人が、あなたから抗議され、時には蹴られることがあっても事態の深刻さを認識しないのは、そういう文化が職場にあるからです。また、セクハラの被害に遭っている女性看護師が、身をかわしているのも「事を荒立ててもいいことはない」という職場文化があるからです。

 そのことを考えると、あなたが望んでいる「穏便な解決」は不可能です。セクハラを解消するためには2つのシナリオがあります。いずれにせよ、この男性から、いつ、どのようなセクハラを受けたかを時系列に書類にまとめ、発言はICレコーダーに録音しておく必要があります。証拠を揃えたら2つのアプローチがあります。

 第1は、職場の人事当局に証拠とともにセクハラをやめさせるために実効性のある措置をとってほしいと申し出ることです。その際に、具体的改善がないならば弁護士と相談して、法的措置に訴えることも辞さないという意向を伝えることです。状況によっては、この男性は病院から退職することを余儀なくされるかもしれません。病院内では、あなたが男性を追い出したという噂が立つとは思いますが、そういうことを懸念していては、実効性のあるセクハラ対策はできないと思います。

 第2は、あなたが転職することです。その際、理由としてセクハラの証拠を示せば、セクハラをした男性は叱責されます。看護師は需要があるので再就職の不安はありません。

 どちらのシナリオが、あなたの気持ちに合致するかよく考えてみましょう。

【佐藤優】
’60年生まれ。’85年に同志社大学大学院神学研究科を修了し、外務省入省。在英、在ロ大使館に勤務後、本省国際情報局分析第一課で主任分析官として活躍。’02年に背任容疑で逮捕。『国家の罠』『「ズルさ」のすすめ』『人生の極意』など著書多数

―[インテリジェンス人生相談]―

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