「女性が飲んでも社会的にOK」って理由で大ヒットしたカクテルは?

日刊SPA! / 2019年10月18日 15時55分

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シンガポールに来たらぜひ飲んでみたいシンガポールスリング

―[30代が知らないと恥ずかしい! 今さら聞けないお酒のキホン]―

~ 第68回 ~

 シンガポールスリングというカクテルをご存じでしょうか? 日本では、ジンを45ml、チェリーブランデーを15ml、レモンジュースを20ml、砂糖ティースプーン1~2杯をシェイクし、氷の入ったグラスに入れて、ソーダを注いでマラスキーノチェリーというレシピが一般的です。ほんのりピンク色の色合いがきれいなトロピカルカクテルで、やや甘い味わいです。チェリーブランデーを最後に注ぎ、グラスの下に沈める作り方もあります。見た目はこちらのほうが美しくなります。

◆オリジナルと今のシンガポールスリングが違うのはなぜ?

 シンガポールスリングはその名の通り、シンガポールのラッフルズホテルで生まれたカクテルです。1915年当時、男性がウイスキーを飲むのは当たり前でしたが、女性が人前でアルコールを飲む風習はありませんでした。そこで、見た目がフルーツジュースのように見えるアルコール入りのカクテルを作ることにしたのです。当時、ラッフルズホテルのBARで働いていたバーテンダーであるNiam Tong Boon氏が、新しいカクテルを考案しました。

 ジンをベースにして、パイナップルジュースやライムジュース、ホワイトキュラソー、ベネディクティン、アンゴスチュラビターズなどを使い、女性らしいピンク色を出すためにグレナデンシロップとチェリーリキュールを入れました。すべての材料をシェイクし、氷を入れたタンブラーに注いで作ります。女性が飲んでも社会的にOKということで、すぐに大ヒットすることになったのです。

 今作られているカクテルとずいぶんレシピが異なります。これは、ロンドンはサヴォイホテルのバーテンダーがレシピに手を加えたうえ、レシピブックに収録したためです。『サヴォイ・カクテルブック』はカクテル本の古典とも言われ、こちらが広まってしまったのです。どちらも歴史があるので、どちらが正解ということはありません。ただ、本家はソーダを使っておらず、こってり濃厚な味わいです。

◆改装後のロングバーに行ってみた!

 10月11日に出張でシンガポールに行ったので、久しぶりにロングバーに行ってきました。ラッフルズホテルは今年の夏まで改装工事を行っており、しばらくロングバーも閉まっていました。どんなふうに変化したのかと思いきや、中の雰囲気は変わりませんでした。シックでレトロで、紳士的でありながらもリゾート感もあるという、最高のバーです。天井には、大きなうちわが稼働して、空気を動かしています。

 カウンターに座ると、目の前にピーナッツがぱんぱんに入った麻袋が置いてあります。6年前は木の入れ物だったのですが、変わったようです。これは自由に食べていいおつまみで、ロングバーの大きな特徴の1つです。食べた後のピーナッツの殻は床に捨てるのも驚きです。シンガポールで唯一ポイ捨てができるところと言えます。

 もちろん、注文はシンガポールスリング。カウンターで一人のため、きちんとバーテンダーがシェイクしてくれます。テーブル席の団体客の場合、シェイクマシーンに複数のシェイカーをセットして、機械で回すのです。

 さっそく味わうと、フルーティーでとても美味しく感動しました。6年前と比べて明らかに甘さが控えめになり、大人の味になっているような気がしました。

 シンガポールスリングの価格は33SGD(シンガポールドル)。1杯飲んで出ると、10%のサービスチャージと7%のGST(消費税)がついて、38.84SGD(約3100円)。日本の安価な価格帯に慣れているとびっくりするかもしれませんが、名門のバーだと普通とも言えます。もちろん、クレジットカードが使えます。

 半ば観光地化しており、カクテルの味も本気で感動するかといえばそうでもないかもしれません。ドレスコードもカジュアルです。それでも、発祥の地でオリジナルカクテルを飲む体験には感動すること請け合いです。筆者は6年前も先日もふらっと行ってカウンターに座れましたが、時間によっては行列ができるそうです。並びたくないなら、早い時間に行くか予約するとよいでしょう。午前11時から開いています。

【柳谷智宣】
お酒を毎晩飲むため、20年前にIT・ビジネスライターとしてデビュー。酒好きが高じて、2011年に原価BARをオープン。2年前に海底熟成ウイスキーを扱う「トゥールビヨン」を立ち上げ、現在販売中

―[30代が知らないと恥ずかしい! 今さら聞けないお酒のキホン]―

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