“松ちゃん似”の中島イシレリが語る「ラグビーW杯日本大会とその後」

日刊SPA! / 2019年11月30日 15時54分

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ラグビー日本代表・中島イシレリ

 金髪&ヒゲのゴツいいでたち。ダウンタウンの“松ちゃん似”。お茶目な言動もあり一躍人気者に。トンガ出身の陽気で熱い男が日本中を熱狂させた日々を振り返った。

◆2023年は優勝を狙う! ラグビー日本代表・中島イシレリ

 先のW杯で史上初のベスト8入りを果たしたラグビー日本代表。準々決勝で惜しくも優勝した南アフリカに敗れたものの1次リーグではアイルランドやスコットランドなど欧州の強豪を連破し、4戦全勝と快進撃を見せた。

 その盛り上がりは日本全土に広がり、大会後は“ラグビーロス”という言葉が生まれるなど、主将としてチームを引っ張ったリーチマイケルやトライゲッターの福岡堅樹、「笑わない男」として無表情キャラを貫いた稲垣啓太らが一躍時の人となった。そんななか密かに話題を集めているのがトンガ出身の中島イシレリ(30歳)である。

 ポジションはスクラム第1列の左プロップ。186cm、120kgの恵まれた体を生かし、W杯では流れを変えるインパクトプレーヤーとして全5試合に出場するなど日本の躍進に貢献した。一方で、金髪の髪とヒゲがトレードマークでダウンタウンの松本人志似の風貌と陽気なキャラクターが評判で、口癖のトンガ語と英語が交じった造語「イヤボイ(Yeaboii)」もSNSなどを通じて一気に広まるなどの人気ぶりである。

 W杯後はテレビ出演も続き、すっかりその名が全国区となった中島イシレリ。W杯前はファンに声をかけられることなどはなかったが、いまでは少し街を歩けば気づかれるという。

「金髪で体も大きいから、すぐバレる(笑)。ただ、『感動しました。ありがとうございました』ってめっちゃ言われるし、うれしいですね。W杯前は正直、『ホントに盛り上がるの?』って感じだったけど、いままでラグビーをやってきてよかった!」

◆「スコットランド、舐めすぎでしょ」

 最後は南アフリカのパワーに屈した日本だが、史上初の8強入りは紛れもない快挙。1試合勝つごとに、“にわか”と呼ばれるファンも増え続けていったが、この結果は大会前に想像できたのだろうか。

「1次リーグを全勝で突破するのがチームの目標だったし、個人的には優勝は無理だとしても、ひょっとしたらベスト4はあるかもと思ってた。ただ、みんな頑張ったけど1次リーグで力を出しすぎて南アフリカ戦は疲れてしまっていたかも(苦笑)。もちろん、南アは大会前にやったテストマッチとは全然本気度が違って、スクラムもモールもめっちゃ強かった」

 一大会での4勝は過去最多。とりわけ試合時世界ランキング2位だったアイルランド、ベスト8入りをかけガチンコ勝負となったスコットランドから奪った勝利は、格別だったと振り返る。

「アイルランド戦はスクラムの強い相手に押し負けなかったし、スコットランドはやっぱり1次リーグ突破がかかっていたから。ただ、スコットランドは『台風で試合が中止になったら(法的に)訴える』とか、舐めすぎていたでしょ(苦笑)。だからオレは絶対に試合をやりたくて、ずっと神様に祈っていた。(開催が)決まったときはうれしかったし、みんなハンパなく気合が入っていた。スコットランドには4年前に負けていたし、当時のメンバーはなおさらね」

 そして、スコットランド戦で同じプロップの稲垣が逆転トライを決めた瞬間、ベンチ前でぴょんぴょん跳びはねて喜ぶイシレリの姿がテレビで抜かれると、その姿が「可愛すぎる」と話題となった。

「オレは稲垣をリスペクトしているし、普通、ああいう場面でトライを決めるのはバックスかバックローの選手。なのに、あそこにサポートに入ってたのが稲垣だった。だから、『わぁー! イナガキッ!』って。ジャンプしたときは、テレビに映ってるなんて気づいていなかった。でも、なぜかあれが人気になって、テレビで、オレのいいプレーが流れているのかなと思うと毎回あのシーンだからね(笑)」

◆負けた南ア戦の翌日は朝・昼・晩ケンタッキー

 W杯でプロップとして見事な役割を果たしたイシレリだが、実は代表にデビューしたのは29歳だった昨年11月のこと。昨季のトップリーグではナンバー8(フランカー)として「ベスト15」にも選ばれていた。しかし、代表ではそのポジションの層が厚く、招集される可能性が低いという理由で、今年1月に異例ともいえるプロップへのコンバートを受け入れて代表の座を手にした苦労人でもある。ただ、運動量よりパワーが求められるプロップは彼にとって天職だったのかもしれない。フランカー時代には大好きな食事も制限しなければならなかったが、プロップでは体重も武器になったからだ。

「やっぱりラグビーをやってていちばん楽しいのは、試合のあとにみんなでワイワイやりながら食べたり飲んだりできること。W杯の間も週に1~2回はチーム全員で焼き肉やステーキを食べに行って、ビールを飲みながら試合中に誰があそこでどうだったとかイジり合ったりしてたからね」

 W杯期間中は海外出身選手を中心に頻繁に寿司店に通っているということが噂になった。だが、イシレリが好むのは寿司より肉。大好物はケンタッキーフライドチキン(KFC)と公言している。

「オレが寿司屋に行ったのは1回だけ。ラファエレ(・ティモシー)とかレメキ(・ロマノラヴァ)らは、毎日よく行くなと思ってた。だってサーモンしか食べないし。まだウルフパック(日本代表候補チーム)の頃に、みんなでサーモンを食べすぎて売り切れになったこともあったからね(笑)。オレはW杯が終わった次の日にKFCに行って、その日は朝・昼・晩ともKFC。ケンタッキーめっちゃ好きなんだけどCM来ないかな?」

 ラグビーファンのビール好きは有名だが、選手たちが飲む酒の量も尋常ではないそうだ。

「夜飲みに行ったら、だいたい次の日の昼まで。W杯の打ち上げのときも、みんなでハイネケン10ケースくらい飲んだんじゃないかな。いつもはビールを飲んで赤ワインからウィスキーにいって、もう1度ビールに戻ってから最後は酎ハイ。30杯くらいは飲むね(笑)」

 ’14年に妻・理恵子さんと結婚し、’15年8月には日本国籍を取得。2人の子供にも恵まれたが、シーズン中は神戸と千葉で家族と離れて生活する時間が長い。W杯後のオフは家族と束の間の時を過ごしているが、理恵子さんの悩みはアイランダー(太平洋諸島の人々)らしいイシレリのイージーゴーイングすぎる性格とか。

「普段、一緒にいられないのに、彼はたまに合宿から帰ってくる日などもよくわかってないんです。ある時、海外遠征から日曜日に帰ると言ってたので空港まで迎えに行こうと思ったら、その日の便がなかったり。精神年齢は、たぶん幼稚園児くらいですね(笑)。ただ、子供の面倒はよく見てくれて、家族ともうまくやってくれているのは助かってます」

 4年後のフランスW杯では34歳となるイシレリ。集大成に成り得る大会で、今回以上の成績を目指したいと誓う。

「次はもっと自信を持って戦えるし、そこまで頑張って、狙うのはベスト4か優勝。ただ、その前に来年1月12日にトップリーグが開幕するので、応援に来てほしい。せっかくファンが増えたし、大事にしないと。写真とか一緒に撮るのも全然大丈夫だし、声かけてほしいね」

【中島イシレリ】
’89年、トンガ生まれ。リアホナ高卒業後に流通経済大に入学。NECを経て、’15年に神戸製鋼に移籍。’18年11月に代表デビュー。’15年8月に日本国籍を取得し妻・理恵子さんの名字である中島姓に。2歳のロニー君、5か月のアンドリュース君の2児の父でもある

取材・文/栗原正夫 撮影/ヤナガワゴーッ!

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