“使えない中年社員”の特徴は? 人事関係者100人に聞いたリストラ予備軍の実態

日刊SPA! / 2019年12月11日 15時53分

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 大企業を中心に、45歳以上に対してリストラの嵐が吹き荒れている。’19年の上場企業の早期退職者募集数は1万人を突破し、年内にリーマン・ショック直後の数を抜くとの予想も。余剰人員をはじき出したい会社と、しがみつきたい40~50代社員たちの実態とは。

◆人事関係者100人が証言する我が社の「リストラ予備軍」の姿

「働きアリの法則」という言葉がある。集団のうち2割は一生懸命に働き、6割は普通に働き、残りの2割は怠ける――よく会社組織にも言われる法則だが、今はもはや最後の2割に入れば即「リストラ予備軍」になる時代かもしれない。

 かつてのリストラは主に業績悪化⇒人件費削減という構図だった。しかし、現在進行形で進んでいるのは、業績がいいうちに“使えない社員”を切って組織を強化しようという動きだ。そして、そのターゲットになっているのが、人数が多く人件費が高い45歳以上だ。

 SPA!は今回「自社に45歳以上のリストラ予備軍がいる」と答えた人事担当者や管理職100人を対象にアンケートを実施。すると「自社のリストラ予備軍の特徴は?」(Q①)という質問に対し、最多だったのは「能力不足でまかせられる仕事がない」という意見だった。

「職級は高いが能力や意欲がイマイチで、取り扱いに困るベテラン社員が多くいる。特に役職定年後だと何をやらせれば有効活用できるのか微妙で、もともとは上司だったりするのでアンタッチャブルな存在になっている」(40歳・金融)

◆Q① あなたの会社の「リストラ予備軍」の特徴は?
(複数回答)

1位 能力不足でまかせられる仕事がない 50票

2位 就業中に何をしているかわからない 45票

3位 仕事の質に対して給料に割高感がある 39票

4位 目標未達や仕事上の手抜きが目立つ 33票

5位 これ以上出世できないのが公然の事実 28票

6位 職場でのネガティブ発言が多い 24票

7位 若手社員と思考にギャップがある 18票

8位 その人がいなくても仕事が進む 15票

9位 身だしなみに無頓着 9票

10位 キャリア研修などの対象になっている 6票

11位 本業よりも副業に精を出している 3票

対象/人事部署および管理職として勤める男女100人(調査期間:11月18~21日)
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 こんなベテラン社員はあなたの職場にもいるはず。人材育成支援企業代表の前川孝雄氏が話す。

「例えば大企業だと社内システムがネットワークですべて繫がっていて、勤怠管理や進捗管理、会議の運営なども全部ネットワークを通じて行われていたりします。使いこなせないと仕事そのものが成り立たないわけです」

◆リストラ予備軍が生まれる背景は?

 Q②で「リストラ予備軍が生まれる背景は?」を聞いた結果でも、やはり「昔からの業務スキルが通用しなくなった」という意見が最多だった。

「今は産業構造が変わって昔の仕事のしかたが通じなくなり、ベテラン社員にとって武器だったはずの経験が、むしろ足かせになっています。大企業にはそんなバブル入社組が多く、これまで通りの退職勧奨では追いつかず、近年の大規模リストラに繫がっているんです」

◆Q② あなたの会社で「リストラ予備軍」が生まれる背景は?
(複数回答)

1位 昔からの業務スキルが通用しなくなった 42票

2位 問題社員を放置しがちな社風がある 38 票

3位 給料の高い40~50代が多すぎる 31票

4位 会社の制度・体制が時代に合っていない 30票

5位 会社の事業や体制が変化した 23票

6位 社員のスキルアップの機会がない 20票

7位 ポスト不足で昇進させられない 17票

8位 合併や統廃合など経営に変化があった 13票

9位 外注や自動化など業務効率化が進んだ 11票

10位 IT化やAI導入で事業部がなくなった 10票

対象/人事部署および管理職として勤める男女100人(調査期間:11月18~21日)
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 また、Q①の2位が「就業中に何をしているかわからない」だったように、戦力外社員たちは仕事すら振られず“社内失業”状態に陥る人も多い。特に中小企業だと大規模リストラをするほどの体力もなく、社内失業状態でも放置せざるを得ないのだろう。

「隣の席の50代社員は、操作方法がわからないのか、よくPCの前で固まっている」(43歳・金融)

「朝から退社するまで何をしているかわからず、誰も気にかけようとしていない」(32歳・メーカー)

 そんな社員が生まれてしまう裏には会社側の問題もある。人事コンサルタントの平康慶浩氏が話す。

「まず、多くの会社ではいまだに年功序列の給与体系で、40代が一番高くなる形に設計されています。そして、大半の会社では給料が下がる仕組みがない。だからパフォーマンスが低くてもほぼ年齢で給料が決まり、若手と比べてどうしても割高感が出ます。

 それを変えたい人事は多いのですが、意思決定をするトップが従来のメンバーシップ型雇用を維持したいがために改革を先送りしてしまった。結果、逆にリストラせざるを得なくなっているのは大いなる矛盾です」

 ただ、富士通が今年、上場企業で最多の2850人のリストラを行う一方で中途採用数を倍増させたように、人材の入れ替えの波は待ってはくれない。そのなかで「リストラの影」に怯えながらも会社に居続けようとする人はどのような心境なのだろうか。

【FeelWorks代表取締役・前川孝雄氏】
「上司力研修」「50代からの働き方研修」などで400社以上の人材育成を支援している。新著『50歳からの逆転キャリア戦略』(PHPビジネス新書)が発売中

【人事コンサルタント・平康慶浩氏】
セクションアンドバリエーション代表。現在までに150社以上の人事評価制度の改革に携わる。著書に『出世する人は人事評価を気にしない』など

取材・文/週刊SPA!編集部 アンケート協力/エコンテ
※週刊SPA!12月10日発売号の特集「OVER45リストラ回避術」より

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