今年入社のCAは大変?ANA内でささやかれている噂

日刊SPA! / 2020年6月15日 8時52分

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◆厳しいことで有名な2005年入社“05ちゃん”

 コロナ禍で過去最大級の危機に瀕している航空業界。そのため、多くの航空会社が2021年度の採用を中止を発表した。
ANAは5月に採用活動の一時中断を発表し、再開は未定としている(6月14日時点)。

 この状況下で、ANAのCAの間では1つの噂話がささやかれているという。ANAでCAとして働く福岡三咲さん(仮名・25歳)がその噂について教えてくれた。

「“05ちゃん”みたいに“20ちゃん”がなっちゃうんじゃないかと言われています。“05ちゃん”というのは、2005年入社の人たちのことなんですけど、厳しい教育を受けた結果、後輩にも当たりが強くなった世代だと社内でも有名なんです……」(福岡さん)

 “○○ちゃん”という呼び方はANAのCA特有のもので、たとえば2010年入社だと“10ちゃん(イチゼロちゃん)”、2015年入社だと“15ちゃん(イチゴちゃん)”と呼ばれる。「”イチゴちゃん”は聞こえがかわいらしくて、ほかの世代から見たらちょっとだけ羨ましいんです」(福岡さん)

 と、そんな話は置いておいて、現在のコロナ禍の状況は2003年にSARSが流行したときとよく似ている。その当時、経営が悪化したANAは2003年、2004年の新卒採用を行わず、2005年から新卒を再スタートさせた。

「シビアな状況で入社した05ちゃん世代は、今よりも遥かに厳しい倍率を潜り抜けてきたハイスペック世代。なのに、久しぶりの新卒ということもあり、先輩からは厳しいスパルタ指導が行われたみたいなんです。その結果、自分たちも下の世代に厳しく細かく指導するようになったと言われていて、同期との間では『05ちゃんと一緒のフライトは要注意!』と恐れられています。

 実際、“05ちゃん”の話もよく出ますし……。フライト中にめちゃめちゃ厳しく注意された先輩がいて、あとで社員証を見たらやっぱり05年入社だった、ということは多いです」

 久々の新人としてスパルタ指導を受けて、下にも厳しくなったらしい05ちゃん。一方、今年入社の20ちゃんは、もし来年後輩が入ってこなければ、下っ端としてやっぱりスパルタ指導を受けて似たようになるのではーーという説がささやかれているという。

◆新人には食事を選ぶ権利なし? 体育会系な“05ちゃん”

 さて、フライトのメンバーに“05ちゃん”がいたらいつもより気をつけるそうだが、ふとしたことで怒られることもある。ちなみに福岡さんが05ちゃんにこっぴどく怒られたのは、機内での食事のとき。

「CAは機内で食事するとき、ビジネスクラスかエコノミークラスの機内食を食べるんです。種類はお肉やお魚などさまざま。私が怒られたときは、“05ちゃん”の先輩から『先に好きなモノを食べていいよ』と言われたので、その言葉を信じて本当に好きだった最後の1個の機内食を食べちゃったんです。そしたら『普通に考えたらさ、先輩が残ってるんだから、数が少ないやつ食べる?』と、嫌味たらしく言われましたね」

 新人なんだから一番数が多く残っているモノを食べるべき、という先輩の指摘もわかるのだが、それなら最初に「好きなモノを食べていいよ」と言うな! という言い分もごもっともだ。ほかにも、「05ちゃん特有の“公開処刑”があるんです」と、福岡さんは語る。

◆フライト中の小さなミスをブリーフィングでわざわざ報告

 その日は10人程度のCAでのフライト。たまたま福岡さんは、フライト中に小さなミスをしてしまい、運悪くその場面を05ちゃんに見られてしまった。

「それほど大きなミスでなければ、乗務員全員が知ることはありません。ただ、そのときは締めのブリーフィングで“05ちゃん”の先輩が『福岡さんは、今日こういう事をされました』とみんながいる前でわざわざ報告するんです! 恥ずかしくて顔を上げることができませんでした……。ブリーフィングの意義としては『皆さんも気を付けましょう』という情報共有の場のはず。でも、途中から『どれほどこの人が仕事が全然できていないか』という報告になっているんですよ」

 なぜ05年入社のCAである“05ちゃん”は、ここまで嫌味たらしいのか? それには、03年、04年とANAが新卒を採用していなかったことに原因がある。

「01年入社や02年入社の先輩からすると、久しぶりに入ってきた新卒。だから、余計に厳しくしつけて、ぺーワークと呼ばれている下っ端働きを押し付けたのかなと。しかも、その時期は経営難だったので外からのプレッシャーもすごい。いろんな部分を可能な限り削減してきて、働いている人のストレスはかなり溜まっていたはず」

 ちなみに、ぺーワークとは雑用のこと。たとえば、外地に行ったときの荷物番や、チップの回収、朝のモーニングコールの時間の周知など。05ちゃんはそういった多岐にわたる雑務を一手に引き受けて、厳しい環境のなかで育ってきた。

「仕事のレベルは高いので、尊敬できるところもあるんですけどね」(福岡さん)

 もし2021年度の新卒採用がこのまま中止になれば、後輩が入ってこない2020年入社のCAがまたペーワークをこなすことになる。“20ちゃん”は、どんなカラーの世代になるのだろうか。

◆JALで教育が厳しかったのは2011年入社

 2大エアラインのもうひとつであるJALでも同じように厳しい世代はいるのだろうか? JALで働く6年目の三木まどかさん(仮名・27歳)に話を聞いた。

「うちはANAで言う05ちゃんのような怖い世代はいなくて、年齢関係なく仲がいいですね。ただ、経営破綻の影響で2011年、2012年は新卒を取っていないので、新卒社員時代が長かった2011年入社の先輩は、めちゃめちゃ厳しくしつけられたそうです。それこそ、お客様の前で怒鳴られたりとか、パイロットに厳しく叱られたりとか。でも、2011年入社の先輩は『自分たちは、そうならないようにしよう』と決めて、後輩たちに優しく指導されたと聞きます」

 ただ、50代くらいのパイロットやCAはまだバブルを引きずっていて、鬱陶しがられている人たちもいるらしい。

「痛いな……こいつバブル引きずっているなって思うのは大抵年配な方ですね。『経営破綻前の人達だろうな』ってすぐにわかります。あまり関わらないようにしていますが、時々面倒なことを言い始めるので正直ウザイですね」

 JALでは社内の人に対して雰囲気が悪いと、管理部門に報告書が上がってしまう。CAのなかで対応が悪い人がいたら、その管理している部門に報告が行き、厳重注意されることもあったと語る。

 2021年度の新卒採用については、非常に残念だと三木さん。JALは、既に内定を出している人を除いて、採用を中断すると5月27日に発表している。

「先にANAの採用一時中断と、スカイマークの採用中止というニュースが出たときに、うちは採用すると言っていたんですが、結局断念になってしまいました。CAになるために就活浪人するという人もいるので、就活生のことを考えると心配ですね」

 航空業界に限らず、21年卒の就活生は気苦労は絶えない。彼らの未来を明るくすべく、新たな社会構築が早急に必要なのは確かだ。

<取材・文/すずきおさむし>

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