男は52秒に一度セックスのことを考える…男と女の“生物学的“違い/鴻上尚史

日刊SPA! / 2020年7月29日 6時50分

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―[連載「ドン・キホーテのピアス」<文/鴻上尚史>]―

◆刺激的なデータが示す、無視できない男女の生物学的“違い”

「男と女の友情は成立するのか?」という人生で誰もが一度は考えたことがある(どちらかというと青春の)疑問に対して、橘玲さんはこう答えました。

 友情は成立する。「ただし、男女の『友情』にはひとつ条件がある。その男が、もっと魅力的な女と性愛関係にあることだ。その関係が破綻し、ほかに性愛の対象となる女性がいなければ、友情はたちまち欲望へと変わるだろう」

 つまり、愛とセックスに満足している男がいて、現在つきあっている女性よりも魅力が少ないと思える女性となら、男は友情関係を築くことができるというわけです。

 ……男達、どうですか?

『週刊文春』の連載で、この文章を読んだ時には、唸りました。

 いやもうミもフタもないとはこのことかと。

 その連載が一冊の本になりました。

『女と男 なぜわかりあえないのか』(文春新書)

 橘さんは冒頭、こう書きます。

「『男女平等』の世の中では、『男と女は同じでなければならない』とされている。これは一般に『政治的正しさ(Political Correctness/PC)と呼ばれている。

 これについて私の意見はシンプルで、『男と女は生物学的にちがっているが、平等の権利を持っている』になる。多様性を無視し、『同じ』でなければ人権は与えられないという考え方が差別的なのだ」と書きます。

 とは言え、この時代に、「男らしさ」「女らしさ」の違いを追求するのは、かなりの冒険と言えます。

 橘さんは、その「危険さ」をようく分かった上で、想定されるさまざまな批判、例えば「男らしさ、女らしさは文化的・社会的につくられた」という立場の、「社会構築主義」などに、生物学や心理学の実験結果から、エビデンスをひとつひとつ積み重ねて、男と女の違いを説明していきます。

 それは、「アメリカにおいてすら1970年代まで心理学者のほとんどは男で、男の被験者を対象に研究が行われていた」からで、その結果、「男女には生殖器以外なんのちがいもなく、女は『小さな(あるいは劣った)男』とみなされていた」という理由です。

 だからこそ、橘さんは、その後の多くの女性研究者の実験を引用し、「女は男の(劣化した)コピーではない」という科学的事実を証明していくのです。

◆性的に興奮するスイッチは、男と女でおおきく異なる

 という、かなり固い「はじめに」の文章の後は、「そ、そんなあ」という科学的データが山盛りです。

 テストステロンは性欲に関係するホルモンですが、男性のテストステロン・レベルは最大で女性の100倍にも達するそうです。

 で、この「高濃度の性ホルモンに“酩酊”することで、男は思春期以降、セックスのことしか考えられなくなる」ですと。

 被験者に男女が会話をしている場面を見せながら脳の活動を観察すると、「女性は(当然のことながら)2人の人間が会話していることだけを認識するが、男性ではただちに脳のセックスに関する領域が発火した」そうで、ある研究によると「男は平均すると52秒にいちど性的なことを考える」という研究データがあるそうです。わはははは。52秒ですぜ。忙しーい!

 さまざまな実験から、男は「ポルノトピア」に住んでいて、(その王国がアダルトビデオで、若くてかわいくて胸の大きな女の子が、どんな男とも喜んでセックスしてオーガズムに達するという現実世界では存在しない男の夢)。

 一方、女性は、さまざまなデータから「ロマントピア」に住んでいるとされます。

「男の『ポルノトピア』であるAVでは、なんの脈絡もなく男と女がセックスを始める。一方、ロマンス小説で重要なのはセックスではなく、そこにいたるまでの物語だ。男の裸体をいくら見せられても、『ロマンス』がなければ女は興奮しない」

 たぶん、この本は、男が男について書いてる部分を読めば「そうそう。俺だけじゃないんだ」とうなずき、女が女について書いている部分を読めば「そうなのよ。そういうことなのよ」と納得するのではないかと思います。

 いやあ、刺激的な本でした。

―[連載「ドン・キホーテのピアス」<文/鴻上尚史>]―

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