不健康おじさんは「スプーン1杯の油」で生活習慣病を防ぐべし

日刊SPA! / 2020年8月27日 8時50分

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 最近、「オメガ3」という言葉をよく耳にしないだろうか。最近では、料理を食べる前に「かける油」のCMも目にするように、オメガ3を含んだ油(えごま油、アマニ油など)がここ数年ブームになっている。

でも、オメガ3が体にいいとは聞くものの、そもそも何がどうして体にいいのだろう?

 そこで、オメガ3に詳しい看護師「オメガさと子」さんに、体にいいワケを教えてもらった。
 オメガさと子さんは、看護師歴20年のうち7年を血管専門治療室で働き、動脈硬化の予防効果があるオメガオイルに着目。オメガ3の啓蒙活動を行い、著書『いのちを長持ちさせる ひとさじの油』(監修:守口徹、麻布大学生命・環境科学部教授)もある。
 オメガ3は、わたしたちの体には必要不可欠の栄養素で、生活習慣病の予防にもぜひ摂取すべきだというのだ。

◆えごま油・アマニ油などを、スプーン1杯かける習慣を

 私たちが毎日摂っている「あぶら」は、大きく2種類に分けられる。植物からとれる「油」、そして、動物からとれる「脂」だ。これらをまとめて「油脂」と言う。
 体内に入った油脂は、「脂質」とも呼ばれ、タンパク質や炭水化物とともに、私たちの体に必要不可欠な三大栄養素のひとつとして、体の中でいろいろな働きをする。

 油脂は脂肪酸でできている。脂肪酸にはいくつも種類があり、まず「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」に分けられる。さらに不飽和脂肪酸は「オメガ9」「オメガ6」「オメガ3」に分類され、それぞれ異なる分子構造を持っている。

●飽和脂肪酸が多い…バターや牛肉
●不飽和脂肪酸
・オメガ9が多い…オリーブオイル、なたね油など
・オメガ6が多い…大豆油、コーン油など
・オメガ3が多い…えごま油、アマニ油、魚の油(EPAやDHA)など

「このうち、私たちの体がもっとも必要としているのが、オメガ3です。オメガ3は、体内でつくり出すことのできない『必須脂肪酸』です。だから、積極的に食事から摂っていかなければなりません」(オメガさと子さん、以下同)。

 では、どうやって摂るか? オメガ3の油を多く含む魚(サケ、サバ、アジetc.)を食べればよいのだが、現代の食生活ではなかなか難しい。
 そこで、オメガさと子さんが勧めるのは、毎日スプーン1杯のえごま油やアマニ油を飲むか、食べ物にかける方法。かけるのはサラダ、みそ汁、完成した料理、なんでもいい。ただし、オメガ3系の油は空気・光・熱で酸化しやすいので、食材を焼く・炒めるのに使うのではなく、食べる前にかけよう。

◆人間のボディや脳は油でできている

 つい数年前まで、油といえば「体に悪いもの」の代名詞だった。しかし今や、体の中で「良い油バランス」を作ることが健康や長寿の秘訣だと、国内外の研究で明らかになってきたのだ。

「どんなに『体にいいもの』を食べても、どんなに『健康にいい運動』をしても、あなたの体が『悪い油バランス』になっていたら、不調はなかなか改善しません。老化もどんどん進んでしまいます。

 なぜなら、37兆個ある人間の細胞を包む膜は、じつはほとんどが油でできているから。脳に至っては、水分を除いた全重量の約65%が油なんです」

 つまり、私たち人間は、油でできているといっても過言ではない。

「そのため、私たちの体を形づくる油のバランスが悪い状態のまま放置されると、命にかかわる重大な病気になってしまうことさえあるのです。
見方を変えれば、古くなった油を新しい油に置き変えていくことで、私たちの体はいつまでもベストな状態を維持することができます。このことは、昨今の最新医学や栄養学の世界で、ようやく解明されつつあります」

◆健康のカギは「良い油バランス」

 私たちの体をつくっている37兆個もの細胞。油のバランスが重要な理由を、オメガさと子さんは、以下のように解説する――。

体内で「良い油バランス」が保たれていると、すべての細胞の細胞膜が「柔らかい」状態になる。これは、体の中をめぐる栄養やホルモンなどの物質を、細胞から細胞へと、スムーズに受け渡せることを意味する。

逆に、「悪い油バランス」では、細胞膜が「硬い」状態になる。細胞膜が硬いと、食べ物から栄養を摂取しても、細胞から細胞へと物質が届きにくくなり、これが、さまざまな不調や病気の一因になるという。

「認知症、うつ、高血圧、糖尿病、動脈硬化、脳梗塞、がん、ドライアイ、アレルギー、更年期障害など、食事や生活習慣に気をつかっているのに、不調がなかなか改善しないとき、もしかしたら、油バランスが良くないために細胞膜が硬くなってしまっている可能性があります」

 オメガ3が「柔軟な細胞を生み出す材料になる」という研究は、NHKスペシャル「食の起源」シリーズ(2020年1月8日放送回)でも取り上げられていた。

◆油は「控えよう」から、「選んで摂取する」時代へ

 オーガニックのオリーブオイルやココナッツオイルなど、いろいろな油が次々に登場し、そのたびに健康効果がうたわれてきた。けれども、日々の食事で摂取する「油のバランス」は、いまだ注目されていない。

「最新の研究が示しているのは、『油を控えよ』ではなく、『油は選んで摂取せよ』です」と、オメガさと子さんは提唱している。「そして、現代の日本人の食生活で、圧倒的に不足しているのが、オメガ3なのです」

 スプーン一杯のオメガ3を毎日摂る習慣。体の油バランスを整えるために、始めてみてはいかがだろうか。

【オメガ さと子さん】
日本脂質栄養学会オブサーバー。看護師歴20年、うち7年間を血管カテーテル室(血管専門治療室)に従事し、動脈硬化が原因で起こる脳梗塞や心筋梗塞の治療場面に数多く携わる。食品の中でも動脈硬化予防の高いオメガオイル普及のために活動中。著書に『いのちを長持ちさせる ひとさじの油』『最強の妊活!』

【監修:守口徹教授】
麻布大学生命・環境科学部教授。製薬会社に勤務、国立がん研究センター、東京大学薬学部に研究出向し、博士号を取得。米国国立衛生研究所で脂肪酸と脳機能に関して研究。2020年3月より日本脂質栄養学会理事長。

<文/日刊SPA!取材班>

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