「ヒマだから来て」とは言えない京都人のプライド。コロナ、Go To、猛暑で…

日刊SPA! / 2020年8月27日 15時53分

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四条大橋

「Go To トラベル」が7月22日に開始され、1か月が経過した。直前に東京都が対象外となるなど旅行事業者や宿泊施設にとって混乱も見られたが、実際に成果はあったのだろうか?

「コロナ禍&猛暑&Go To」で観光業が大きく打撃を受けたといわれる京都の街の現状を取材した。

◆バーやチェーン店が続々と閉店も、老舗は生き残る

 例年であれば大勢の観光客で賑わっている8月の京都。全国的に熱中症の警戒が呼びかけられ、取材日(8月21日)は京都市で今夏最高の38.8度を観測した。鴨川の河川敷に人の姿はほとんどなく、川沿いには『川床』席のみが設置されている。

「京都の夏の風物詩でもある川床ですが、今年はコロナの影響でランチ休業しているお店も多いですね。私達も『京都地元応援キャンペーン』として対象飲食店を掲載しているのですが、『予約しようとした店のランチが休みだった』という問い合わせも。飲食店の営業時間は個人事業主が決めることなので、こちらとしては対応しづらい……というのが現状です」

 そう話すのは、京都の観光事業に携わる女性。聞くと、コロナ禍での京都の小売店や飲食店にはこのような事情があるという。

「報道では、京都の観光業は大打撃を受けている……といわれていますが、京都の人はそこまで気にしていないと思います。というより、京都人は『ヒマだから来て下さい』ということはプライドがあるので言わないんです。また、府からの休業支援や保障が他県よりも充実しているので『営業して利益が出ないのなら休業するほうが得策だ』と考える人のほうが多いそう。そのため、代々続く老舗の店や旅館が閉業になったという話はほとんど聞きませんね。今、厳しいのはインバウンドバブルにオープンしたバーやチェーン店でこの半年の間に続々と閉店しているようです」

◆Go Toトラベルに不満の声も

 確かに、休業している店も多少見かけるが、以前2月に訪れたときよりも日本人観光客は増加したように見える。「Go Toトラベル」の効果なのだろうか。

「『Go Toトラベル』開始から1か月なので、そこまで大きい効果はまだ感じていません。でも、国がどんなに『旅行しろ』と言っても、本当に感染を不安視している人は来ないと思うんです。旅行が元々好きだったり、京都が好きだという人はキャンペーンが始まる前でも来ていました。それに、東京の除外や東京からの旅行者に各県知事が『観光は控えてほしい』と自粛を呼びかけていましたが、京都人は違います。

 京都の人からすれば『京都にお金を落としてくれる人はお客様』なので、他県から観光客が来ることにそこまで不安視していないと思います。新年になれば、初詣の参拝客も来るし三密は避けられない。緊急事態宣言を再度出さない限り、神社仏閣まで取り締まるのは難しいと思いますね」

 世間から「Go Toキャンペーンは不発」という声も上がる中、観光事業者から見ても不満はあるようだ。

「年配の利用者からは、仕組みがよく分からないという問い合わせが多いです。給付される地域共通クーポンの詳細も協議中ですし、地元のホテルや商店街からは『どこまでサービスをして良いの分からない』『地域の相場があるので自分の店だけ安くできない』という問い合わせも多いです。他にはチェーン店のキャンペーン登録はどうすれば良いのかなど。また、『東京も大阪も感染者は増加しているのに、東京だけ対象外なのはどうなのか』という声もありますね」

◆夜の街の現在は?

 一方、夜の街はどうなのだろう。以前は外国人観光客で多く賑わっていた先斗町で働く人に話を聞いてみた。

「恐らく、京都の夜の街で最も影響を受けているのが先斗町ですね。この辺りは元々観光向けの飲食店が多く、外国人向けのバーやスナックもここ数年で急増しました。うちの近くにも外国人向けのカラオケスナックがあり、去年は夜遅くまでカラオケの音が聞こえていたのですが、今は閉めているようです。夜になると人通りはほとんどなく、閉店した店もあります。

 うちは20年以上営業していて一時は外国人観光客ばかりでしたが、最近は昔からの常連客が戻ってきたという感じです。私としては、外国人は『山崎』など入手困難な国産ウイスキーをバンバン飲みまくるので、来なくなってホッとしているところもありますが。

 それよりも、猛暑の中のコロナ対策のほうが大変です。定期的に換気しないといけないので、日没前はクーラーをつけていても暑くて……。お客さんとも『コロナの前に熱中症になりそう』なんて話しています」

 祇園祭の中止や五山送り火の大幅縮小など、京都人にとっても「異例」となった今年の夏。だが、町が閑散としていても悲壮感は感じられず、土産屋の店員とかもコロナ前と変わらない印象を受けた。コロナ禍で各都道府県の旅行客への反応が物議を醸す中、京都人のもてなしの心だけは変わらないのかもしれない……と思った。<取材・文/カワノアユミ>

【カワノアユミ】
東京都出身。20代を歌舞伎町で過ごす、元キャバ嬢ライター。裏モノ・夜ネタを主に執筆。アジアの日本人キャバクラに潜入就職した著書『底辺キャバ嬢、アジアでナンバー1になる』(イーストプレス)が発売中。ツイッターアカウントは @ayumikawano

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