「持続化給付金100万円」従業員に不正受給させる経営者。手数料は20万円…

日刊SPA! / 2020年8月28日 15時50分

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個人事業主やフリーランスは最大100万円の給付金が振り込まれる。審査は簡易なため、不正受給が横行しているとみられている

 新型コロナの影響を受けた人たちを支援するため、中小企業には最大200万円、個人事業者やフリーランスには最大100万円を給付する「持続化給付金」。「この持続化給付金を狙った不正受給や詐取がSNSで拡散され、逮捕者が相次いでいます」と話すのは、新型コロナ関連詐欺などに詳しいフリーライターの奥窪優木氏。

『ルポ 新型コロナ詐欺 ~経済対策200兆円に巣食う正体~』(9月2日発売)では、新型コロナに関連した給付金や補助金を不正受給する連中を取材し、その巧妙な手口に迫っている。

◆◆飲食店キャストが受け取った100万円から店長が手数料を徴収

 奥窪氏によると、都内の「接待を伴う飲食店」で、持続化給付金100万円の不正受給と思われる行為が行われていたという。飲食店で働く女性が明かす。

「うちの店では、キャストの女の子はみんな従業員扱いで給与をもらっていたんですけど、社長がある日、『みんな業務委託だったことにして、給付金で100万円もらえるようにしてやる』って言ってくれて。給付金の申請までぜんぶ店がやってくれました。

 それから2~3週間以内にほとんどのキャストが100万円振り込まれたようです。私も受け取りました。4~5月はほとんどシフトに入れてもらえず、出勤してもお客さんは全然来なくて、ほぼ無収入だったから助かりました。

 でも、申請代行手数料として20万円を微収されたのは納得できない! グループ店舗合わせたらキャストは60人近くいる。社長はなんだかんだで1000万円以上巻き上げたんじゃないでしょうか」

◆◆業務委託契約に移行させ、持続化給付金100万円を詐取

 社員を業務委託契約に移行させ、組織ぐるみの不正を行うケースは多いようだ。奥窪氏が取材したのは、関東に複数店舗を展開するエステサロングループで働く篠原明日香さん(仮名・32歳)。

「例年なら春から梅雨にかけては夏に備えて脱毛に来られるお客さまで忙しい時期なのですが、今年はサッパリでしたね。緊急事態宣言の最中は、店の売上は例年の10分の1以下。解除直後にはその反動で数日だけ予約がいっぱいになりましたが、今はまた落ち着いて、売上は例年の3分の1くらいの状況です。お店の経営もかなり厳しい状況のようで、社員のスタッフも5月からは2日に1回の出勤に減らされています。

 そんな状況で本部から出されたのが、『希望者は年初から業務委託だったことにする』という通達です。昨年末の日付の退職届にサインすれば、業務委託契約で働いている個人事業主ということになり、持続化給付金で100万円もらえるように申請も代行してくれるというのです。5月以降、1か月分の給与が未払いになっていましたし、給付金欲しさにこの話に乗ったスタッフはうちの店だけで3人いました」

 こうした会社ぐるみの不正により、グループ全体では数千万円の給付金が詐取された可能性があるが、さらに悪徳なことに、この会社はスタッフまでも欺いていたというから驚きだ。

「これは会社側のワナだったんです。当初の説明では『業務委託に切り替えてもこれまでと同じように働いてもらう。条件的にも同じだ』と言っていたにもかかわらず、これに応じた3人のスタッフは、その後、まったくシフトに入れられなくなりました。

 社員のままクビを切ることは手続き上難しく、解雇通告から1か月分の給与は支払う必要があるし、社内規定の退職金を支払わなければならないので、自己都合で退職させ、そのままフェードアウトさせるほうが、都合がよかったのでしょう」

 現在、不正受給の調査が始まっており、7月には虚偽の申請で100万円を騙し取ったとして、埼玉県の19歳の男子大学生が詐欺の疑いで逮捕された。その後も全国で持続化給付金の不正受給を巡る摘発が続き、これらの報道を見た不正受給者から、「私も不正受給をしたから返金したい」といった連絡が増えているそうだ。

 不正受給が判明した場合、延滞金を加えた金額に2割を加算した額の返還などが求められるだけでなく、刑事告発されることもあるといい、厳しい刑事罰が科される可能性もある。

「“やったもん勝ち”の不正受給は許されるべきではありません。不正受給をした者、そしてそれを指南した者まで摘発されるべきです」(奥窪氏)

 このほかにも、奥窪氏の最新刊『ルポ 新型コロナ詐欺 ~経済対策200兆円に巣食う正体~』では、新型コロナによる混乱の渦中で不正を働く連中を取材し、その手口を明らかにしている。新型コロナ経済対策の税金はどこに消えたのか、日本国民として税金の行方に関心を持ってほしい。

<取材・文/SPA!編集部>

【奥窪優木】
1980年、愛媛県生まれ。上智大学経済学部卒。ニューヨーク市立大学中退後、中国に渡り、医療や知的財産権関連の社会問題を中心に現地取材を行う。2008年に帰国後は、週刊誌や月刊誌などに寄稿しながら、「国家の政策や国際的事象が末端の生活者やアングラ社会に与える影響」をテーマに地道な取材活動を行っている。2016年に他に先駆けて『週刊SPA!』誌上で問題提起した「外国人による公的医療保険の悪用問題」は国会でも議論の対象となり、健康保険法等の改正につながった。著書に『中国「 猛毒食品」に殺される』(扶桑社刊)など。最新刊『ルポ 新型コロナ詐欺 ~経済対策200兆円に巣食う正体~』(扶桑社刊)発売

―[新型コロナ詐欺]―

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