女優・井桁弘恵、女性ライダーに没頭した1年間で何が変わった?

日刊SPA! / 2020年8月28日 15時48分

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―[focus on!ネクストガール]―

◆#2 井桁 弘恵さん

 テレビプロデューサー「鈴木さちひろ」が“今後輝いていくであろう女優やタレント”を独自にピックアップする新連載『focus on!ネクストガール』。

 仮面ライダーシリーズ初の「スタート時点から登場する、女性ライダー」としてレギュラー出演を続けた『仮面ライダーゼロワン』(テレビ朝日系、2019年)がいよいよ最終回を迎える、女優の井桁弘恵さん。デビュー以来、モデルやグラビアなど、その活動は多岐に渡り、最近ではバラエティ番組へのゲスト出演なども増えている。マルチに活躍する彼女の素顔を知ろうと、故郷の福岡での思い出から上京後、現在に至るまでをインタビューした。

◆今はすべての仕事が繋がっているのを感じる

――井桁弘恵さんは、ここ1 、2年で、一気に目に触れる機会が増えてきた印象があって「ゼクシィ」CMガール(2018年)への抜擢とか、1年前の『週刊プレイボーイ』でのグラビアとか……もちろん、それ以前の『ZIP!』(日本テレビ系、2017年)のレギュラーなんかもあったと思うんですけど、現在、井桁さんの中で1番しっくりくるジャンルってどれですか?

井桁:うーん、しっくりくる……?いや、それが選べないからこそ、この仕事って楽しいなって思うし、やらせてもらえる内容が全然違うからこそ自分に合ってるというか、飽きないし楽しいなって思うので。しっくりくるかと言うと、全部しっくりくるから困っちゃうんですよね(笑)

――なるほど。例えば、それぞれが影響を与えあったりしている実感ってありますか?

井桁:そうですね、モデルをやっていることによって、グラビアをやった時にその違いが感じられたりします。例えば、グラビアは自分をどう見せたらどう伝わるかというのを考えるし、逆にグラビアをやることで、モデルは、より“服”を見せることが大事なんだっていうことを感じるようになって、ポージングの仕方をちょっと変えてみたりとか。

 最初モデル1本だった時は「自分を可愛く見せたい!」が先に来ちゃって、カメラ目線が多かったりしたんですよ。でもモデルの仕事は、あくまで服を綺麗に見せることが1番だというのを、グラビアをやることによって、逆に感じましたし……他にも、お芝居で演技を勉強することによって、グラビアでもシチュエーションごとに、ここはどういうテンションで、どういう雰囲気がいいのかなと想像して、ちょっと演じるじゃないですけど、イメージした人になりきれるよう意識したりとか、いろいろなところで繋がってるなあっていうことを、最近感じますね。

◆原宿を母と歩いていた時…

――そこに至るまでの話をお聞きしますが、井桁さんのデビューのきっかけはなんですか?

井桁:中学3年生の頃、母と姉が勧めてくれた『Seventeen』(集英社)のオーディションを受けるために東京へ行って、原宿を母と歩いていた時、今の事務所の方に声をかけて頂いたのが、最初のきっかけです。オーディションの方は落ちちゃったんですけど……。

――スカウトされた時に、この世界に入ろうという気持ちになったんですか?

井桁:まだ中3だったし、なんかモデルさんっていいなあぐらいの感覚で。東京へ行って事務所に入ります!みたいな気持ちまでには、まだなれなくて、高校の3年間は、福岡で過ごしながら、オーディションがある時に東京へ行って、みたいな感じです。大学に入ってから、本格的にレッスンをやったり、オーディションを受けたりという感じになりました。

――いちばん最初の演技の仕事って覚えてます?

井桁:まだ事務所のレッスンを始める前、オーディションに参加した時、ガチガチに緊張して、ただ台詞を言うことしかできずに、その時は「もう演技なんて絶対、無理だあ」と思った記憶が(笑)……結果、その時はエキストラとして歩くだけの演技で、今思うとあの時からはすごく成長したな、と。まだ楽しさも感じられないくらい、未知の世界だったのを、すごく覚えてます。

――東京に出てきてから、いちばん最初に「お芝居をするんだ」って意識した時は覚えてます?

井桁:たぶん『デスフォレスト 恐怖の森5』(2016年)っていうホラー映画に出させてもらった時です。最初にやられて死んじゃう役だったんですけど(笑)。泣き叫ぶとか、泣きわめくという感情的な役だったので、わりと思い切ってやれて、ナチュラルに“怖い”っていう感情がマックスだったので、そこだけに集中してできたなっていうのはありますね。

 たぶん普通の日常会話っぽい演技の方が難しいと思うんですけど、その時は、怖い、怖い、怖い……だけでやりきれたので。それで、なんとなく楽しいなあって思った気がします。

◆『仮面ライダーゼロワン』“刃唯阿”を演じる葛藤

――レギュラーとして『仮面ライダーゼロワン』を1年間やってみてどうでした?

井桁:あっという間だったけど長かったなぁっていう印象です。ホントに演じるということに関しても、1年間現場にいることで、役者として人としても成長できたなって思いますね。ずっと同じ役と向き合わなきゃいけないので、序盤は、なかなかその役の感情が理解できなかったりとか……私は格好よく立っているつもりでも、いざ出来上がった映像を見たらそうは見えなかったりというようなギャップがすごくあるんです。

 そのギャップをどうやったら埋められるんだろうっていうのを考えて、しかも毎話ごとに担当する監督も変わることで、その時々の監督の考える(私の役の)像っていうのも違ったりするので、臨機応変に対応しながらも、自分が想像している役としてはブレないようにするみたいなところは難しかったです。

 最終話の撮影のとき、監督や助監督、スタッフの方々から「声の出し方が変わったね」とか「最初より役がちゃんとついてきて“刃唯阿(やいばゆあ)”として見えるようになったよ」って言われた時は、すごく嬉しかった。1年間かけて、ずっと悩みながら試行錯誤しながらやってきたつもりだったので、客観的にそう言われたのは嬉しかったです。

――たしかに。『仮面ライダーゼロワン』の脚本等をやっていた筧昌也さんに、この前、話を伺ったら「井桁さんは、この1年ですごく成長して、立ち姿が格段に良くなりましたよね」って言ってたんですよね。

井桁:嬉しい!いやあ、嬉しいですね、すごく……監督にも、すごく言われましたし、自分でも映像を見て、何回悔しい気持ちになったのかっていう。でもそれも1年間あったからこそ、映像を見てやり直したり修正する時間があったと思うので、そこはすごく感謝してますね。

◆シリーズ中盤で役回りががらっと変わった

――印象に残っている撮影や大変だったと思うシーンはありますか?

井桁:うーん……シリーズの中盤に「お仕事5番勝負」というところがあったんですけど、そこで、私の役回りが前半とはガラッと変わったんですよね。

 シリーズの前半は、戦う女性、格好良い女性で、“不破諫”(ふわ・いさむ)というバディがいるという関係性があったのに、急に私の(所属する)会社が変わって(前半で所属していた会社では)上の立場でやっていた私が、急に社長の下で働く、でも“秘書”というような位置づけでもないっていう風になって……。

 自分の役回りが、いきなり変わったことで、私の存在意義とは何なんだろう?この作品で私は何をしたらいいんだろう?と思って。

 特に変身もしないし、感情もあんまり出さないし、その“刃唯阿”という役に対してどうしたらいいのかを模索しているような状況が続いて、その時はすごく不安だったし、自分自身がその役を好きになれない……。「なんでこんなことをしてるんだろう?この人は」って思っちゃったりとか、感情が分からないからどういう顔して立っていればいいか分からないというような時期が続いたのが、いちばん大変だったなという感じです。

――いよいよ迎える最終回の見どころを教えてください。

井桁:私の役としては、わりとやりきっていて、あとは主役の「飛電或人(ひでん・あると)」と「滅(ほろび)」という、悪意を持った者同士の戦いになるんですけど、想像以上の展開になると思うので、そこを楽しんで頂きつつ……最後、ZAIA(ザイア)を辞めた私が、どういう環境で仕事をすることを選んだのかっていう結末も楽しみにして頂きたいです。

 それと(『仮面ライダーゼロワン』の)映画は、私も台本をこれから頂くので、まだどうなるか分かんないんですけど、そうですね……面白くなると思います。絶対面白くなるのは間違いなしです!あと、公開時期には、たぶん放送は次の『仮面ライダーセイバー』になってると思うんですけど、100%心変わりしちゃわずに、『仮面ライダーゼロワン』のこともまだ忘れないで熱を温めておいて欲しいなって思います。

――次にやってみたい役ってあります?

井桁:今までは、ふわっとした元気な明るい女の子が多かったんですけど、今回、初めてと言っていいくらい、キリッとしたというか、芯が強い感じの役をさせてもらって、何か暗めの役もやってみたいなって思いました。それこそ、口数が少ない役だったりとか、目線で訴えるみたいな、そういう格好良い役も、今のこの流れにのって、やってみたいです。

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 とにかく良い意味で、予想を裏切られる女優さんだった。『仮面ライダーゼロワン』で見せるキリッとした厳しい表情の印象が強かっただけに、素の彼女と話してみると、よく笑うしすごく明るいことに驚かされた。その落差に、思わずギャップ萌えしそうになるくらい(笑)。

 加えて、自分の演じる役について俯瞰して捉えつつ、論理的に心情や立ち位置を考え続けるという地頭の良さ。なにより、モデル、女優、バラエティなど全てのジャンルを関連づけて取り組んでいることは、得られる成長の機会も複利的に増えていくはず。次回は、女優以外のパートにスポットをあてて、さらに彼女の芯に触れられたらと思う。(※YouTubeで公開中の、ボクが携わっている番組logirl『小川紗良のさらまわし』には、井桁弘恵さんがゲスト出演。大学時代の、クレープ屋さんでのアルバイトのエピソードなどを話しています)

【井桁弘恵(いげた・ひろえ)】
1997年2月3日生まれ。福岡県出身。早稲田大学人間科学部卒。上京後、本格的に芸能活動を開始。2017年『ZIP!』リポーター、2018年「ゼクシィ」11代目CMガールなどを務める。2019年『仮面ライダーゼロワン』に、仮面ライダーシリーズ初の「スタート時点から登場する、女性ライダー」“刃唯阿”として出演。9月21~22日には、日生劇場での舞台“三島由紀夫没後50周年企画『MISHIMA2020』”『橋づくし』への出演を控えている。

取材・文/鈴木さちひろ 撮影/山田耕司

【鈴木さちひろ】
武蔵野美術大学大学院卒。テレビ朝日にて番組等のプロデュースを行なう。ほか、作詞や脚本の執筆、舞台の演出・プロデュースなどを手掛ける。

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