いま話題の韓国ドラマ『梨泰院クラス』。主人公セロイを復讐に駆り立てる理由とは?

日刊SPA! / 2020年9月3日 6時50分

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―[魂が燃えるメモ/佐々木]―

いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるメモ」とは何か? そのヒントをつづる連載第209回

 いま話題の韓国ドラマ『梨泰院クラス』は主人公パク・セロイの復讐の物語です。セロイは高校に転入した初日に、グンウォンというクラスメイトが行なっていたいじめを咎めます。しかし、グンウォンは韓国の外食業界でトップに君臨する『長家』グループの御曹司で、彼の父親であるデヒがその権力を利用して、教師を抱き込んでセロイを退学に追い込みます。同時に『長家』グループに勤めていたセロイの父親であるソンヨルも退職に追い込まれました。

 セロイとソンヨルはこのトラブルにめげずに二人で飲食店を開こうとします。しかし、その矢先にソンヨルは轢き逃げ事件に遭って亡くなります。この轢き逃げ事件の犯人は、高校でいじめを行なっていたグンウォンでした。そして、彼の父親であるデヒが今度は警察を抱き込んで事件の真相を揉み消します。

 轢き逃げ犯がグンウォンだと知ったセロイは、彼を殺そうとします。しかし、これは未遂で終わり、轢き逃げの経緯も揉み消されたため、「勘違いの逆恨みで襲った」と判断されて刑務所に服役することになりました。こうしてグンウォンとデヒの親子によってすべてを失ったセロイは復讐を誓います。

◆やる気は理屈だけでは続かない

 やる気を引き出すのは常に「人物の影響」です。「あの時、あの人が、ああ言ったから」あるいは「あの時、あの人が、ああしたから」ということがあると、「だから自分はこうしよう」と考えて行動できるようになります。セロイの行動に影響を与えたのは、彼の父親であるソンヨルです。

 ソンヨルは自分が仕事を辞める羽目になったにも関わらず、権力に屈することなく信念を貫いたセロイに対して、「誇らしい息子だ」と慰めていました。葬式の夜、セロイはそうした父親の振る舞いを思い出しながら、「不思議と――もらった記憶しかない。当たり前だと思ってた。なぜそう思ったのか。バカだよな」と呟きます。

 この時のセロイの心情は「発見」です。人間は当たり前に気づくと、価値観が一変して、それまでと全く異なる思考や行動ができるようになります。父親を失って無気力になっていたセロイは、この直後にグンウォンが轢き逃げ犯だと知り、彼を殺そうとします。そして、15年という長い年月をかけた復讐を始めます。

 家族のために父親が仕事をすることや、母親が家事をすることは、普段は「当たり前」にしか感じられません。しかし、父親や母親を亡くした時に、実はそうした行動の一つ一つが愛情そのものだったと気づきます。このように私たちは「複雑で特別なこと」ではなく、「シンプルで当たり前のこと」に気づくことで成長します。

 セロイの場合、その当たり前が因縁のあるグンウォンとデヒによって奪われたからこそ、それが復讐をやり遂げようとする強烈な原動力になっています。しかし復讐に限らずに、自分の父親と母親に対する当たり前に気づくと、それが何かしらの原動力になってくれます。

 一般的に父親は仕事に対する価値観に、母親はプライベートに対する価値観に影響を与えています。親がいない場合は、親代わりになった人物がその対象になります。つまり、自分を育ててくれた人物は、自分の生き方や考え方、行動や発言に強い影響を与えているということです。

 やる気は「理屈」や「行動」では生まれません。なぜなら、やる気の正体は人と人の結びつきで生まれる心情だからです。そして、自分を育ててくれた人物の影響は、とりわけ重要です。『梨泰院クラス』は「復讐心」という強烈な心情として表現することで、このことを教えてくれます。話題になるだけあってとても面白いドラマなので、気になったらぜひご覧になってみてください。

【佐々木】
コーチャー。自己啓発とビジネスを結びつける階層性コーチングを提唱。カイロプラクティック治療院のオーナー、中古車販売店の専務、障害者スポーツ「ボッチャ」の事務局長、心臓外科の部長など、さまざまな業種にクライアントを持つ。現在はコーチング業の傍ら、オンラインサロンを運営中。ブログ「星を辿る」。著書『人生を変えるマインドレコーディング』(扶桑社)が発売中

―[魂が燃えるメモ/佐々木]―

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