梨泰院クラスのセロイはなぜ店の名前を「タンバム(甘い夜)」にしたのか?

日刊SPA! / 2020年9月10日 6時50分

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―[魂が燃えるメモ/佐々木]―

いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるメモ」とは何か? そのヒントをつづる連載第211回

 日本でも大ヒットした韓国ドラマ『梨泰院クラス』の主人公セロイは、自分が作った飲食店にタンバムという名前をつけます。タンバムは韓国語で「甘い夜」という意味で、劇中で映る店の外装や内装には、「HONEY NIGHT」という文字看板が飾られています。

 商品名や会社名には、開発者や創業者の思いが込められているのが一般的です。セロイも「タンバム」という店名に自分の思いを込めています。彼はなぜこの店名に決めたのか。やる気や決断には常に「人物の影響」があります。「あの時、あの人が、ああ言ったから」あるいは「あの時、あの人が、ああしたから」ということがあって、人は「だから自分はこうしよう」と考えて行動できるようになります。

 セロイの店名に影響を与えたのは、父親のソンヨルです。セロイは高校生だった時にクラスメイトのいじめを咎めたところ、理不尽な形で自分が退学することになります。また、いじめを行なっていた生徒の父親がソンヨルが勤める会社の会長だったため、ソンヨルも同時に理不尽な形で退職をすることになります。

 セロイが退学になり、ソンヨルが退職することになった夜、二人は居酒屋で酒を酌み交わします。この時はじめて酒を飲んだセロイはその味を聞かれて「甘い」と答えます。するとソンヨルは「今日が衝撃的な一日だった証拠だ」と笑い、「俺の酒も甘い」と呟きます。ソンヨルは信念を貫いていじめを糾弾したセロイのことを誇りに感じていました。

 その後、ソンヨルはひき逃げにあって命を落とします。しかし、そのひき逃げの罪も、自分たちを退学と退職に追い込んだ親子にもみ消されてしまい、報復しようとしたセロイは刑務所に服役することになります。それから15年にわたるセロイの復讐が始まります。

◆苦い夜を少しでも甘くしたい

 セロイは自分の人生について「苦い」と評しています。だからこそ、彼は甘い夜を願って、タンバムという名前を店につけたのです。この「人生の苦さと甘さ」は梨泰院クラスという物語の重要なテーマの一つになっています。

 この時のセロイの心情は「自覚」です。私たちには常に頭に浮かんでくる思考が何かしらあります。その思考を自覚できてアクションを起こせれば人生を変わり始め、自覚できずにアクションを起こせなければ、同じ状態に留まり続けることになります。そして、その思考の自覚を促してくれるのは、他人の言葉です。

 セロイの場合、何年も前に父親と酌み交わした酒の甘さが、自分の人生の苦さから抜け出すことの象徴になっています。このように人物の影響が年単位の時間をかけて作用することは珍しくありません。だからこそ、人物の影響は継続して努力するための原動力になるのです。

 仕事には「ただお金をもらうための仕事」と「人生を表現するための仕事」の二種類があります。もし後者の仕事を望んでいるのなら、自分の商品やサービスや会社に名前をつけることが、そのまま自分の人生の羅針盤になってくれます。そして、その名前の由来になるフレーズには、誰かとの思い出が関わっているはずです。

【佐々木】
コーチャー。自己啓発とビジネスを結びつける階層性コーチングを提唱。カイロプラクティック治療院のオーナー、中古車販売店の専務、障害者スポーツ「ボッチャ」の事務局長、心臓外科の部長など、さまざまな業種にクライアントを持つ。現在はコーチング業の傍ら、オンラインサロンを運営中。ブログ「星を辿る」。著書『人生を変えるマインドレコーディング』(扶桑社)が発売中

―[魂が燃えるメモ/佐々木]―

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