Uber Eats配達員の嘆き、「鎌倉」が1日約4000円しか稼げないワケ

日刊SPA! / 2020年10月10日 8時50分

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所持金3万円、「Uber Eats」の配達で旅費を稼ぎながら自転車で旅する筆者・小林ていじ

―[40代日雇い男「Uber Eats」自転車出稼ぎ旅【東京発沖縄行】]―

 コロナは一向に収束の気配を見せない。僕は普段、日雇い派遣の仕事などで稼ぎつつ、時間を見つけてはタイなどの東南アジアを中心に旅をしてきた。

 海外旅行に行けるのはまだかなり先になってしまいそうだが、日本国内ならば比較的自由に旅できるようになってきている。僕も旅がしたかった。しかし、社会の底辺で生きる僕にはお金がない。そこで、「Uber Eats」の配達で旅費を稼ぎながら国内を自転車で旅するという方法をとることにした。

 その配達エリアは東京をはじめ、静岡、名古屋、京都、大阪、愛媛、福岡、沖縄……と日本各地に徐々に広がってきているのだ。

 旅立ちの前に試しに東京で少しUber Eatsの配達をやってみたのだが、1日でだいたい1万円くらいは稼ぐことができた。他のエリアでもこのくらい稼げるのかどうかわからないが、最低でもその日の宿泊費と食費くらいは稼げるのではないだろうか。

◆所持金3万円で東京を出発

 2020年10月5日、僕は自分の荷物の入ったバッグとUber Eatsのバッグを背負い、東京の両国をクロスバイクで出発した。ゴールは沖縄。所持金は3万円である。あとの旅費は旅の先々で稼ぎながらやりくりする。初日はとりあえず鎌倉を目指すことにした。鎌倉もUber Eatsの配達エリアなのである。

 横浜を過ぎたあたりから流れていく景色に徐々に変化が現れはじめた。高層ビルがその姿を消していき、代わりに緑が増えていく。トンネルを抜け、急勾配の坂道をぎゅんぎゅんと猛スピードで駆け下りていく。

 沿道にショップの建ち並ぶ大通りに出た。通りの中央部分は石垣で高く盛り上げられ、その上に街路樹と石灯籠が並んでいる。鶴岡八幡宮から長く伸びる参道である。

 そこを真っ直ぐ進んでいくと波の音が聞こえてくる。やがて視界に広がる海。真っ暗な砂浜に夕日の色を微かに滲ませた波が打ち寄せ、海岸沿いの山は夕焼けの空を背景にしてそのなだらかな稜線を露にしている。その麓に鎌倉の街の明かりが散りばめられていた。

 この日から5泊予約してあった「IZA鎌倉ゲストハウス&バー」はこの海岸のすぐ近くに位置していた。レンガの外壁で内装や調度品はヨーロピアン調でまとめられたオシャレなゲストハウスである。この日、二段ベッドの並ぶドミトリールームには僕以外に宿泊客がいなかったので部屋を独り占めすることができた。

 館内にはバーを併設していた。そこで宿のスタッフと旅の話などをしながらかなり夜遅くまで酒を飲み、それから就寝した。

◆店まで約30分もかかる配達リクエストばかり

 翌日、Uber Eatsの営業開始時間である午前9時から稼働をはじめた。飲食店の多い鎌倉駅の前でUber Eatsの配達アプリをオンにする。これだけですぐに配達リクエストを受けられるようになる。さあ、この鎌倉エリアではいったいどのくらい稼げるのか……。

 最初のリクエストが入ったのは稼働開始から約30分後のことだった。商品の受け取り店舗は逗子のマクドナルドだ。というか、逗子……! いきなりの隣町である。まじかよ。ふざけんじゃねえぞ、バカ野郎……。心の中でさんざんに文句を言いながら必死に自転車を漕いだ。Uber Eatsの報酬は配達の距離によって決まるのだが、それは店で商品を受け取ってからお客さんのところに届けるまでの距離。店に向かうまでの距離は報酬にならないのである。店に着くまでは約30分もかかった。そして商品を受け取り、それをお客さんのところに届けて最初の配達をなんとか無事に完了した。

 またすぐに次のリクエストが入った。受け取り店舗は横須賀の吉野家。またさらに隣町である。また約30分もかけて店に向かって商品を受け取り、それをそこから約10分のお客さんのところに届ける。あまりにも効率が悪すぎる。

 そこからはこの横須賀エリアでリクエストが続いた。しかし、そのどれもが店まで約30分もかかるようなものばかり。さらに悪いことにこのあたりは丘陵地が多く、急勾配の坂を何度も上り下りしなくてはならない。配達先の住所はアプリの地図にピンで表示されるのだが、このピンはたまにズレていることがある。長い長い心臓破りの坂を上がり、そこでピンがズレていると気付いたときはあまりの徒労感でその場にへたり込んでしばらく動けなくなってしまった。

◆綿のように疲れて稼ぎはたったの3659円

 午後4時頃に配達アプリをオフにした。仕事を終えるにはまだ早すぎる時間だが、体力の限界にきてしまったのである。フラフラの体で自転車を漕いでゲストハウスに戻り、シャワーを浴びてすぐにベッドに横になった。

 この日の稼ぎは3659円。こんなに綿のように疲れるまで走ってたったのこれだけである。この先もこの程度しか稼げないようであればこの旅の継続はかなり厳しい。台風も近づいてきているようだし(※10月8日執筆時)、これからいったいどうなってしまうのだろう……。

【1日目】
<収入>
0円

<支出>
5日分の宿泊費:6932円
食費:4605円
合計:1万1537円

残金:1万8463円

【2日目】
<収入>
3659円

<支出>
食費:1266円

残金:2万856円

<取材・文/小林ていじ>

【小林ていじ】
バイオレンスものや歴史ものの小説を書いてます。詳しくはTwitterのアカウント@kobayashiteijiで。趣味でYouTuberもやってます。YouTubeで「ていじの世界散歩」を検索。

―[40代日雇い男「Uber Eats」自転車出稼ぎ旅【東京発沖縄行】]―

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