貧乏な人はシェアハウスで乗り切るしかない。ギャンブル狂の生命力

日刊SPA! / 2020年10月11日 15時51分

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―[負け犬の遠吠え]―

ギャンブル狂で無職。なのに、借金総額は500万円以上。
それでも働きたくない。働かずに得たカネで、借金を全部返したい……。

「マニラのカジノで破滅」したnoteで有名になったTwitter上の有名人「犬」が、夢が終わった後も続いてしまう人生のなかで、力なく吠え続ける当連載も20回。

 今回は、自他共に認める貧乏である犬さんが、今貧乏である若い人に送るエールです。

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◆初めて新宿にいったときは拍子抜けだった

 平成に生まれて良かったと思ったのは、とにかく貧乏でも基本的に生活に支障を来さない、という点だ。

 体罰やパワハラ、暗黙の暴力のような古い慣習が目に見えて駆逐され始めた時代の中で、特に日本国内においては、自ら社会の裏路地に入って行かない限り危ない目に遭うことはなくなった。僕は中途半端に進学をしたりまともに就活せずに中退したりと就職に関係する能力が低すぎたので、消えかけた古い慣習の端に轢かれてしまったが。

 もちろん、今でもブラックボックスのままの職場が多く、訴えが聞こえないだけで苦しんでる人はいるのだろうが、それでも昔よりは確実に減っていることだろう。証拠に、多重債務者の僕が返済を送らせてしまった時に渋々力技で取り立てにくる人もいない。中高時代にウシジマくんや新宿スワンを読んで都会に恐れをなしてた身からすると少し拍子抜けだった。

 さて、月々の返済が間に合わないほどの貧乏人が取り立てのような外的要因で追い詰められにくい現在、直面する問題の中で一番大きく、そして解決が難しいのが「住居」だ。

◆東京は安くても初期費用で40万円くらいかかる

 屋根を得るには金がかかる。信用も必要だ。僕は過去にホームレスを経験したこともあるが、屋根がない、安心して寝る場所がない、何より光や水など、身の回りにあった当たり前で何気ないものがない生活というのは、経験する必要がないと断言できるほど辛い。体感時間は長く長く引き延ばされるのに、仕事を探したり、より良い生活を目指して足掻いたりしてみると何もかもが足りないことに気付き、ただただ焦るだけの精神と時の無間地獄に落ちてしまう。

 幸い僕は年齢も若く友達もいたのですぐにそんな生活から脱することができたが、救いの手がすぐ近くにない場合はあまりオススメしない。人がストレスなく生きていくには思ったよりも依存しているものが多く存在する。この時代に生まれて本当に良かった。

 友達の家を転々とするにも、相手が誰とも同棲していなかったり、家賃の按分を支払う義理を信用してもらう必要があるので、見方を変えると限定的な作戦だ。

 僕はこれまで3度引越しを経験しているが、東京で引っ越すのにはざっくり40万円くらいかかる。例えば家賃が8万円だとすると敷金礼金で16万、仲介業者に1ヶ月分払うとしても8万円、前家賃を合わせるとこれだけで32万円必要になり、さらに引越し費用や足りない家電を揃えたりすると40万近くはかかるだろう。

 40万円は「貯金0円」が当たり前の人間にとって、宝くじでも当たらない限り用意できない途方もない金額だ。社会に放たれた瞬間に就職戦争に背を向けて逃げ出した人間に城は与えない。血が流れないだけで日本はずっと戦国時代なのだ。

 実家の援助もなく、貯金も0、信用情報も0、ついでに資格も0、大きな数字は借金の総額だけ……果たしてこんな人間はどうやって賃貸住宅を手に入れたらいいのだろうか?僕の場合だが、紹介しようと思う。

 時は6年前。関西のキャバクラを辞めて家が無い状態で東京の友達の家に一時的に居候し、麻雀でぼろ負けして無一文になり、朝5時の横浜西口ドンキホーテ前で首を垂れるところから始めよう。

◆今、その瞬間に無一文の人間は一ヶ月後も金に困っている

 賭ける金が一円も無い人間は素直に働くしかない。貧乏人の体は安く、アツくなった僕が血を賭けたいと言ったとしても、普通の人なら血もいらないし腎臓も別に欲しくない。そもそもギャンブルの土俵に上げさせてもらえないのだ。

 横浜の雀荘の外で僕が最初にしたのは、バイト探しだった。金と家なら先に金を確保しなければならない。家はあるだけで金がかかるからだ。僕は目に入るバイト先に片っ端から応募した。この時日払いかどうかなんてものは気にしない。気のいいバイト先なら事情次第で先に10万円貸してくれたりするので、働き始めるその瞬間までは自分の可能な限り働く用事を入れよう。

「今、その瞬間に無一文の人間は1ヶ月後も金に困っている」

 という言葉がある。僕の言葉だ。どうせ金が無い人間に大した用事は無い。未来に期待するくらいなら忙しくなってしまえ、という精神が結果的に明日の自分が進む橋となる。

 バイト先を一通り見つけ、働く先を手に入れたら次に住居だ。友達がいる場合は許される限り転がり込んで仕舞えばいいが、そうでない場合はシェアハウスをオススメする。

 今もきっとそうなのだろうが、シェアハウスは会社によっては敷金も礼金も取らない場合が多い。家を借りる時にまず見るのは家賃表示だろうが、あんなものは飾りだ。毎月払うのが6万だろうと8万だろうと、10万を超えると流石に気になってくるが、10万円以下の物件であれば1ヶ月の生活の中でいくらでも調整が効く。土曜に夜勤をすれば3万、土日で働けば6万くらいの誤差なら埋められる。

 問題は敷金、礼金、仲介手数料だ。そもそも何のきっかけもなく気付いたら金が無いような人種は貯金ができない。口座の中が10万円くらいになった段階で財布の紐が緩み始め、気付いたら月の出費がかさみ、自己責任と書かれたタスキを体にかけて恥も忘れてまた金が足りない生活に戻っていく。そんな人間が40万円という途方もない金額を貯められるわけもない。もちろん人生の転機に出会って生活の根幹から変える強い意志があれば別だが、そんな幸運が巡ってくるのをただ待っていたら平成の世が終わってしまった。

 僕が連絡を取ったシェアハウスは身分証と前金の4万があれば即入居できるところだった。ここも貧乏人に優しい。「貧困ビジネス」とはよく言われるが、それでもビジネスとして成り立つのは、やはり貧困の人間にリーチしているからだ。たとえそれが緩やかな毒だとしても、とりあえず今助かりたいからその皿を喰らう。身分証だけで、連帯保証人が必要ないのも良い。明日の金のことで頭がいっぱいになっているような人間にとって、連帯保証人が必要ない場面は非常に助かるのだ。

 4万円を握り締め、シェアハウスの会社の本社に行く。一応面接はあったが、それは「ヤバすぎるヤツでないかどうか」を見定めるだけのものに過ぎず、普通の顔をするのが得意な僕は何も問題なく鍵を受け取った。

 池袋駅の近くにあるそのシェアハウスは一軒家を改造したもので、風呂が一つにトイレが二つ。部屋は大部屋が三つあり、各部屋に二段ベットが二つ、合計12人暮らしの魔境だった。やり直すにはこのくらいがちょうど良い。周りへの音も気にするから無駄金も使わずに済む。都合の良い解釈をするならば、

「無駄遣いは余剰余白から生まれる」

 ということだ。これも僕の言葉だ。肩身の狭い生活の中で強制的に怠惰に食い潰していた時間をカットするのだ。早くこんなところから引っ越してやる、と思いながら。

 さあやってやろうぜ。そこが背水の陣だ。

〈文/犬〉

【犬】
フィリピンのカジノで1万円が700万円になった経験からカジノにドはまり。その後仕事を辞めて、全財産をかけてカジノに乗り込んだが、そこで大負け。全財産を失い借金まみれに。その後は職を転々としつつ、総額500万円にもなる借金を返す日々。Twitter、noteでカジノですべてを失った経験や、日々のギャンブル遊びについて情報を発信している。
Twitter→@slave_of_girls
note→ギャンブル依存症

―[負け犬の遠吠え]―

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