「日体大コール」の立役者“メンディー兄貴”。現在は社会人アメフト選手に

日刊SPA! / 2020年10月22日 8時52分

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(c)パナソニックインパルス

◆2020年の隠れたブーム『日体大コール』の主役はパナソニックの社会人アメフトチームに入っていた

 2020年、4年前にTwitterに投稿されてネットを大いに賑わせた「日体大コール」動画の人気が再燃している。今年9月時点で、本家がアップし直したYouTubeにおける公式動画の再生回数は約160万回。コラ動画や関連動画の再生回数を合算すると1000万回再生を優に超える。

 合いの手の「うっ!」というリズムの良さと、「日体だ~い!」と音頭を叫ぶ圧倒的迫力は一度聞いたら忘れがたい。この動画で「日体大コール」の音頭を取り、動画の“顔”とも呼べる存在が通称“メンディー兄貴”ことイグエ ケリー 祥一さんだ。

 今回、現在は企業勤めの傍ら社会人チームでアメフト選手として活躍し、さらにはYouTuberとしても活動しているというイグエさんにインタビューした。ネットで“本物の陽キャ”と称される彼の現在と素顔に迫った。

◆「日体大コール」との運命的な出会い 社会人チームでアメフトをするまで

 ナイジェリア人の父親を持つイグエさんは、東京都練馬区の出身。中学、高校と私立の全寮制の学校に通い、軟式野球部に所属。その後、体育の教員の免許を取得するため日本体育大学に入学した。大学で硬式野球部に所属したいというのも、彼が入学を決めた理由の一つだった。

「野球は小学校3年生から始めました。高校、大学でのポジションはサード。それでも、憧れた大学の硬式野球部では、すぐに練習についていけなくなってしまいました。大学の練習は辛かったですね……。高校生のときは軟式野球部だったし人数も少なくて、のびのびとやっていたんで(笑)。結局、硬式野球部にいた間は、一軍から三軍があるなかでずっと三軍でした」

 そんな彼に大学2年生の春、転機が訪れる。アメフト部のコーチからスカウトを受けたのだ。当時を振り返りイグエさんは以下のように語る。

「スカウトを受けたというのも入部に踏み切った理由の一つですが、実は野球部に所属していたとき、アメフト部の練習を見たことがあったんです。ちょうどアメフト部がウォーミングアップをしていたときでした。偶然、そのときに聞いた掛け声が『日体大コール』で。変な話ですけど、それを見て『格好いいな』って思ったんです」

 アメフト部との出会いは、彼を一躍有名にする「日体大コール」との出会いでもあった。「元々アメフト自体に興味があったわけではなかった」と語るが、それでも日々の練習を積み重ねること1年、60人を超えるメンバーの中からレギュラーの座を掴み取り、大学3年生の夏ごろから試合に出場できるようになった。そこから、アメフトを心の底から好きになっていったという。

◆「日体大コール」の裏側 キャプテンから譲り受けた魂の音頭

 アメフト部のウォーミングアップの掛け声に過ぎなかった「日体大コール」が、インターネットミームとしてネット民に親しまれるまでの裏側はどのようなものだったのか。4年前、Twitterに某動画をアップした経緯を聞いた。

「毎年卒業式が終わった後、アメフト部の卒業生が集まり『日体大コール』をするんです。これは自分たちの代が始めたわけではなく、代々続く伝統行事でした。この年は、友人がたまたま僕たちがかけた『日体大コール』の動画を撮ってくれていたので、僕が何の気なくTwitterにその動画をアップしたんです。そうしたら、ものすごい勢いで『リツイート』と『いいね』が……。あのときは驚きましたね」

 わずか30秒にも満たない動画でありながらその圧倒的な勢いは、それ以降の年の「日体大コール」と比べても群を抜いている。それもそのはず、2016年の「日体大コール」の音頭は、イグエさんあってのものだった。

「卒業式での『日体大コール』は毎年キャプテンが担当するものなのですが、自分たちの代は普段から声量と勢いを買われて僕がいつも音頭を取っていたので、キャプテンにその座だけ譲ってもらったんです。今思えば、譲ってもらったのは好判断でした(笑)」

◆本人も驚くほど、ネット民の反応も良かった

 最後の記念行事のときでも、音頭の座を譲ったアメフト部キャプテンの判断も素晴らしい。そして当時のブームから4年が経過し、2020年の再バズについてどう考えているのだろうか。

「コラ動画や関連動画も含めて、今の状況を楽しんで眺めています。動画に出演しているメンバーも、わりかし喜んでいますね。知り合いや友達もYouTubeからレコメンドされるみたいで、『動画を見たよ』とよく言われます。特に、アンチがあまりいないことに対してすごくありがたいと思っていますね」

 イグエさん曰くお気に入りのコラ動画は、サカナクションの楽曲「新宝島」と「日体大コール」動画をミックスしたものだという。ちなみに、詳しい方なら知っているかもしれないが、関連動画でアフリカの子供たちが「日体大コール」をするものがある。イグエさんは、「この動画は自分やアメフト部とは無関係ですが……」と、詳しく教えてくれた。

「実は『日体大コール』は、アメフト部以外の部活動にも広まっていて日体大では有名です。日体大の卒業生の中には、卒業後アフリカの国にスポーツを教えに行く人も結構いて。おそらくそうした卒業生が、自分の教え子たちにコールを教えたんじゃないでしょうか。個人的にはとてもいい動画だと思います」

◆現在は社会人アメフトチーム パナソニックインパルスに所属

 現在、イグエさんはアメリカンフットボールの社会人チーム、パナソニックインパルスに所属している。大学2年からアメフトを始めたプレイヤーが、社会人チームに所属することは珍しいケースだ。

「大学3年生の秋になって就職活動が始まり、僕もほかの就活生と同じく、多くの企業にエントリーしていました。アメフトはまだまだ下手だったので、最初は社会人でアメフトを続ける気はなかったのですが、一念発起して社会人アメフトチーム『パナソニック インパルス』を有するパナソニック株式会社の採用試験を受けたんです。そうしたら、ありがたいことに採用してもらえました。

 大学生当時のアメフトをしている身からすると、社会人チームでプレイできるというのは非常に光栄なこと。ですから、採用してもらえたことはすごく嬉しかったですし、頑張ろうと思えました。ちなみに、自分で言うのもなんですが、監督からは僕の人間性を評価したと聞いています(笑)」

◆今年8月にYouTubeチャンネルを開設。動画活動をする目的とは

 イグエさんは現在社会人4年目だ。昼はパナソニック(株)の照明部門で営業企画職として働き、仕事後はアメフトの練習に参加。練習が終わっても、ウエイトトレーニングなど、夜中まで自主練をする。

 そんな多忙を極めるなか、今年8月、YouTubeチャンネルを開設してYouTuberとしての活動も始めた。初投稿した動画「メンディー兄貴が香水を歌ってみた!?」は同年10月時点で、59万回再生されている。好調なスタートを切った彼だが、一体なぜこのタイミングでYouTuberになろうと思ったのだろうか。

「始めた理由の一つは、身も蓋もありませんが『目立ちたいなと思った』からです(笑)。もう一つは真面目な理由で、登録者数が増えて有名になれば、そこからアメフトに興味を持ち、アメフトの試合を観に来てくれる方が増えるかもしれない。この状況を利用できるのは、自分しかいないと思ったからなんですよね」

 アメフトのリーグ戦が始まれば土日にも試合が入って来る。動画を撮影する時間はなかなか確保できないが、それでも彼は少しずつ動画を投稿していくつもりだと語る。

「現在は土日の空いている時間を利用して、なんとか動画を撮影しています。動画撮影のノウハウも全然知らないので大変ですが、クオリティが低くても視聴者さんが嬉しい反応をしてくれるので頑張れています。

 ゆくゆくは、自分をきっかけにぜひ視聴者の皆さんにアメフトの試合に足を運んでいただきたいですね。去年のアメフトのリーグ戦は、会場が満員になることはほとんどありませんでした。来てくださる方も、大変ありがたいのですが、会社の人といった身内の人間がほとんどです。もっと観客を増やしたいというのが、アメフトに関わっている人全員の願いだと思います」

◆今後の個人的な目標

 今後の構想としては、チームの許可を取り今後は、自身のチャンネルでアメフトのルールを説明する動画をあげていきたいと語るイグエさん。アメフトを愛する彼に、自身のフットボウラーとしての今後の展望についても語ってもらった。

「個人の目標としては、まずはスタメンを取りたいですね。アメフトは試合中、自由にメンバーを入れ替えられるスポーツなので、スタメンじゃない僕でも試合に出られることはあります。でも、やはりスタメンを勝ち取って、最初から試合に出続けたいという思いはずっと持っています。

 その次は、アメフトの日本代表として海外のチームと試合をしたいですね。選手でいるうちは、日本代表を目指すつもりです」

 “自分で決めごとをしてそれを継続する”のがイグエさんの今年の抱負だ。目標通り、新型コロナの自粛期間の間に課した毎日のストレッチは、ここ3ヶ月月継続しているという。「日体大コール」の動画からは想像もつかないほど愚直で誠実な態度が、ネット民からも彼が愛されているゆえんだろう。

◆本物の陽キャラと呼んでくれる皆さんへ伝えたいこと

「本当の僕は、動画とは全然違ってけっこう地味で地道な性格なんです。“本物の陽キャラ”なんて一部のネットの人たちからは呼ばれたりもしますが、人間ですから繊細な部分もあります。変に真面目だったり、考えすぎちゃったり。

 ですから、自分のチャンネルで新たに配信している動画を見てくださった方は、『日体大コール』のキャラクターとギャップを感じるかもしれません。それでも、場を盛り上げるのは大好きなんですけどね(笑)。職場の飲み会や今のアメフトチームでは声を出したり、一発芸をしたりして、雰囲気作りに一役買えたらと頑張っています」

 こうした彼の人柄が伝わるのか、「日体大コール」動画のコメントは愛に溢れたものが多い。動画に付いたコメントでイグエさんが特に嬉しかったものを教えてくれた。

「『お前が思っている以上に、日本人はこれで元気もらっているからな』というコメントです。これは特にグッと来てしまいました(笑)。これのみならず、今まで動画を観て下さった方には『ありがとうございます』と伝えたいですね。

 また、これから僕の動画を見てくださる方には伝えたいことが2つあります。1つ目は『チャンネル登録お願いします』。2つ目は、今シーズンのアメフトの開幕戦(10月24日(土)vs東京ガスクリエイターズ@富士通スタジアム川崎)が10月24日に開催される、というお知らせです。XリーグのWEBサイトでもライブ配信されるはずなので、ぜひ5分だけでも観に来てください。よろしくお願いします!」

 イグエさんは派手さの裏に隠れた誠実な人柄で、これからのアメフト界を大いに盛り上げてくれるだろう。なんといっても彼は、盛り上げることにかけてはすでに超一流のプレイヤーだからだ。今後の活躍にも期待大!

〈取材・文/大田コトラ〉

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