『鬼滅の刃』人気No.1は我妻善逸。ヘタレなのに魅力的な理由

日刊SPA! / 2020年10月29日 6時50分

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―[魂が燃えるメモ/佐々木]―

いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるメモ」とは何か? そのヒントをつづる連載第225回

 劇場版が公開10日で興行収入100億円を記録し、大ヒット中の映画『鬼滅の刃』。その第2回人気投票の結果が発表されました。前回1位だった主人公の竈門炭治郎を抑えて1位になったのは、炭治郎の戦友である我妻善逸です。

 善逸の性格はヘタレです。普段の彼は敵の鬼に怯え、「死ぬ」と泣き喚き、逃げようとします。鬼を倒せるのも、極度の緊張で気絶し、本来の戦闘力を発揮できる睡眠状態になるからです。そのため、最初の頃は「自分が鬼を倒した」という自覚すらありません。

 しかし,そんな善逸も男気を見せて戦う場面があります。戦う相手は「獪岳」という鬼です。善逸は獪岳の存在を知った瞬間から雰囲気が変わり、実際に対峙した時も眠らずに目を開けたまま、己の意志で戦おうとします。

 臆病だった善逸が、なぜ獪岳に対しては毅然とした態度で挑むのか。人は誰かに心を揺さぶられることで、決断や行動ができるようになります。それが人物の影響です。善逸が影響を受けたのは、彼の師匠である桑島慈悟郎です。

 慈悟郎はもともと鬼を狩る組織「鬼殺隊」の隊士でした。「柱」というリーダー格の一人でしたが、戦闘により片足を切断。現役を引退して、後進の育成に当たるようになります。善逸と獪岳はそんな彼が育てた弟子で、二人は兄弟弟子の関係でした。

 ところが、獪岳は強大な力を持つ鬼「黒死牟」と遭遇し降伏します。この時、黒死牟は獪岳に鬼になることを要求しました。獪岳は慈悟郎が自分と善逸を同等に扱うことにもともと不満を感じていて、さらなる力を手に入れるために、この要求を受け入れて鬼になりました。

 自分の弟子から鬼が出たことで、慈悟郎は責任を感じて自害します。この顛末に善逸は憤怒し、獪岳は自分が殺さなくてはならないと考えるようになります。だからこそ、獪岳に対しては怯えずに戦えるのです。

 この時の善逸の心情は「敵討ち」です。彼は自分のためではなく、自分の師匠のために怒り、行動しています。自分のためには本気になれなくても、自分の大切な人のためには本気になれる。『鬼滅の刃』はフィクションですが、これは現実にも当てはまります。

◆誰かの顔が浮かぶ

 私たちの「心」や「気持ち」は、目の前にいる相手だけでは成立しません。自分が影響を受けている人物を自覚してはじめて、自分の心情を把握し、決断や行動ができるようになります。その際にポイントになるのが「顔」です。

 人物の影響を受けていると、影響を受けた相手の顔が頭に浮かんできます。特に悩んでいる時に、誰かの顔がぱっと浮かんでくると、「自分はこうするんだ」という思いが強くなったり、飛躍的な成長を遂げたりします。

 善逸は慈悟郎のことを思い出しながら獪岳と戦います。それに対して、他の鬼と戦って怯えている時は、「死ぬ死ぬ」と自分の心配をしています。この描写は「勇気」や「怒り」や「情熱」が単なる観念ではなく、人物の影響によるものだということを物語っています。

 ただ「勇気を出そう」と思うだけでは、勇気は出てきません。ただ「怒ろう」と思うだけでは、怒りは出てきません。ただ「情熱的に生きよう」と思うだけでは、情熱は出てきません。それは私たちの心が人との結びつきによって生まれているからです。

 普段はヘタレだけれど、やる時はやる男。このギャップが善逸の魅力の一つです。そして、その魅力の源になっているのは、彼を育てた師匠の慈悟郎です。「敵討ち」というのはあまり現実的ではありませんが、決断や行動の理由が「何か」ではなく「誰か」であることは、その人を魅力的にします。

【佐々木】
コーチャー。自己啓発とビジネスを結びつける階層性コーチングを提唱。カイロプラクティック治療院のオーナー、中古車販売店の専務、障害者スポーツ「ボッチャ」の事務局長、心臓外科の部長など、さまざまな業種にクライアントを持つ。現在はコーチング業の傍ら、オンラインサロンを運営中。ブログ「星を辿る」。著書『人生を変えるマインドレコーディング』(扶桑社)が発売中

―[魂が燃えるメモ/佐々木]―

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