名古屋で稼げないUber Eats配達員。時給保証のfoodpandaがうらめしい

日刊SPA! / 2020年11月7日 8時51分

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パンダのロゴマークの入ったピンクのバッグは街中でかなり目立つ

―[40代日雇い男「Uber Eats」自転車出稼ぎ旅【東京発沖縄行】]―

 僕は普段、日雇い派遣などの仕事で稼ぎつつ、時間を見つけてはタイなどの東南アジアを中心に旅してきた。この状況では海外旅行には行けそうにないが、日本国内ならば比較的自由に動けるようになってきている。旅がしたい。でも、社会の底辺で生きる僕にはお金がない。そこで「Uber Eats」の配達で稼ぎながら国内を自転車で旅するという方法をとることにしたのである。

◆いまだに付与されないプロモーション

 旅に出て23日目、僕は名古屋にいた。ここでもあまり稼げない日々が続いていたのだが、この日は特にひどかった。午前9時から日暮れまで稼働して収入はたったの2406円。時給換算するのがおそろしい金額である。

 翌日の24日目も同様に配達リクエストは少なかった。さすがに連日でこれはまずいと感じ、この日は夜9時頃まで粘ってなんとか4790円稼ぐことができた。

 平日の名古屋で配達リクエストの入るパターンがなんとなく見えてきた。午前9時頃から4、5件くらいは途切れることなく入り続ける。が、その後は1時間に1件入るかどうかという感じになってしまう。要するに、稼ぎどきは午前中のみなのである。

 それにしても、いったいいつになったらプロモーション(通常報酬にプラスされるボーナス)はこの名古屋で適用されるのだろう。Uber Eatsのサポートによると、登録の都市を東京から名古屋に変更してから約2週間後に適用されるというのだが、もうすでにその2週間は経っていた。わかっている。サポートは「約2週間後」と言ったのだ。「きっちり2週間後」と言ったわけではないのである。

◆無駄に待機するよりも観光

 25日目。午前中に4、5件の配達をこなすと、配達アプリをオフにして名古屋城に向かって自転車を走らせた。どうせここから配達リクエストはほとんど入らなくなる。ならば、無駄に待機するよりも観光でもしたほうがよほど有意義な時間を過ごすことができる。

 観覧料の500円を払って名古屋城の敷地内に入場する。あいにく天守閣には耐震性の問題で入場できなかったのだが、その頂で輝く金の鯱を仰ぎながら広い敷地内をゆっくりと散策した。

◆酔っ払いのおっちゃんに絡まれる

 久しぶりののんびりとした時間をしばし楽しんだところで配達アプリをオンにして配達を再開。巨大招き猫の設置された大須商店街のふれあい広場で待機した。が、配達リクエストは入らない。ふわッと大きなあくびが出る。

 しばらくしてストロングゼロのロング缶を片手にひどく泥酔した様子のおっちゃんが僕に絡んできた。僕の足元に置かれたウーバーのバッグを見てこう訊いてくる。

「なんだ、おにいちゃん、ウーバーの配達やってんのか」
「そうです」

「これでどのくらいお金もらえるんだ?」
「めちゃくちゃ安いですよ」
「そうだろう。こんな仕事をやってちゃダメだ。おにいちゃんはまだ20代だろう?」
「そうです(本当は40代なのだが)」

「ウーバーの配達なんてやってたら結婚できないぞ。なんでこんな仕事やってるんだ?」
「うーん……」

 そう訊かれると僕は答えに窮してしまう。いったいどうして僕はウーバーの配達をやっているのだろう……。

◆名古屋で配達するならUber Eatsよりfoodpanda(フードパンダ)?

 おっちゃんがいなくなってしばらくしてからピンクの四角いバッグを背負った男が自転車で僕の目の前を通り過ぎていった。Uber Eatsと同じフードデリバリーサービスの「foodpanda(フードパンダ)」の配達員である。この名古屋で彼らの姿はUber Eatsの配達員と同じくらいの比率で目にした。

 僕が宿泊しているゲストハウスの主人は宿泊業の合間にUber Eatsの他にフードパンダの配達もしていると話していた。フードパンダの報酬もUber Eatsと同じく配達の距離などによって決まるのだが、ひとつ大きく異なる点がある。それは1時間あたり1000円の時給保証がされているということ。1時間まったく配達リクエストがなくても1000円は支払われるのである。シフト制なのでUber Eatsほどは自由に働けないというデメリットはある。が、この名古屋で1000円の時給保証はそれを遥かに凌ぐメリットに思えた。

 しかし、だからといって、Uber Eatsからフードパンダに乗り換えようとは思わなかった。この旅はウーバーの配達だけで旅費を賄うと決めていた。誰かにそうしろと言われたわけではなく、自分でそうすると決めたのだ。だから、その理由なんてよくわからなくても、沖縄にゴールするまではウーバーの配達を続けるしかないのである。

【23日目】
<支出>
食費:1645円

<収入>
2406円

残金:7193円

【24日目】
<支出>
食費:1255円

<収入>
4790円

残金:1万728円 

【25日目】
<支出>
食費:2037円
名古屋城の観覧料:500円
合計:2537円

<収入>
2697円

残金:1万888円

<取材・文/小林ていじ>

【小林ていじ】
バイオレンスものや歴史ものの小説を書いてます。詳しくはTwitterのアカウント@kobayashiteijiで。趣味でYouTuberもやってます。YouTubeで「ていじの世界散歩」を検索。

―[40代日雇い男「Uber Eats」自転車出稼ぎ旅【東京発沖縄行】]―

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