年末に急増する荷物の誤配…宅配便の現場では何が起きている?

日刊SPA! / 2020年12月30日 15時51分

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「確か、今日配達予定なのにおかしい……」

 待てど暮らせど荷物が届かない。そのようなことを経験したことはないだろうか。

 宅配便業界、この12月は例年以上に巣ごもり需要にお歳暮とECの期間セールが加わり荷物の増量に拍車がかかってきた。そんな中、どうしても発生してしまうのが荷物の誤配。元大手運送会社ドライバーの経験を持つ筆者が、この時期に起こりがちな誤配について解説したい。

◆あれ? 荷物が届かない

 今や伝票番号で荷物の所在場所を追える。したがって発送側も受取側も伝票番号の保存や管理が大事となる。

 パソコンなどで伝票番号を入力すると発送、配達中、配達完了と案内されると思うが、発送の情報データのままで止まり、いくら経っても荷物が届かない時がある。いったいその時何が起こっているのか?

 いわゆる『未着』である。荷物が未だ届かないという業界用語である。まず、理由としてひとつあげられるのがデータの入力漏れ。

 よく街中でセールスドライバーが小型の端末を荷物にあてる光景を目にすることがあると思うが、自宅近く営業所に届いてからはすべて手作業でのデータ入力となる。手作業ゆえに、データ入力漏れの荷物が出ることがよくあり、実際荷物が最寄りの営業所に届いているにも関わらず入力漏れでデータが更新されないことがある。

◆業界用語「テレコ」と「ボウズ」とは

 上記の場合はデータ上の未着だが、物理的な未着としてあげられるのは、伝票やコードシールの貼り違い。業界用語で言う『テレコ』。

 コードシールとは、荷物に伝票の他に6桁くらいの番号とバーコードを記した小さいシールのことをさす。そのシールの番号は行き先を示すものであり、荷物を仕分ける際は伝票の住所ではなくそのシールの番号を見て仕分けられる。コード入力のミスがあると北海道の荷物が沖縄に行ったりすることもあり、そういった遠距離での間違えにより、またデータ入力漏れが重なり、いつまで経っても発送の情報のままということもある。

 他にも、荷物から伝票が剥がれてしまい行き先不明の迷子になった荷物、『ボウズ』というのもがあり、こうなると荷姿に特徴がない限りなかなか見つけることはできない。このような行く宛のなくなった荷物はベース(ターミナル)に無数に眠っている。

◆年末年始は人的ミスも増える

 配達完了の情報が更新したにも関わらず、荷物が届いてないケースがある。一体、その荷物はどこに行ってしまったのか?真っ先に考えられるのが、『誤配』である。

 読んで字の如く、セールスドライバーが本来届ける場所ではなく誤った場所に届けてしまった場合である。特に年末年始のこの時期、セールスドライバーは、異常な物量にいつも以上に余裕がなくなり、精神的にも追い込まれ誤配の数は増える。

 AmazonやZOZOTOWNのEC業界は独自のパッケージデザインであり荷姿も一緒。見た目だけで判断してしまい、伝票の記載を確認せず思い込みによる配達が多発している。荷物受け取った人も同様に気付かず開けてしまうこともしばしばあり、開封して商品違いで気づく。

 また、名前が同性の場合や同じ住所でありながら複数の住宅が健在する場所も誤配の要素が潜んでいる。同住所でのマンション、アパートの場合になるとさらに確率があがる。マンションやアパートの名称が記載されていればよいが、記載されていないとさらに困る。マンションやアパートはそもそも表札を掲げている部屋は少ない。その上に宅配BOXへの配達指定があるとどうしようもない。宅配BOXの入れ間違いによる誤配も増えている。

◆人間関係だって破綻する

 その他の要因として、またここでもセールスドライバーによる情報入力ミスがあげられる。持ち戻っている不在の荷物に対して配達完了と入力してしまい、荷物があるにもかかわらず配達が完了という情報が流れ、問い合わせにより発覚した事例もある。

 このような誤配や情報入力のミスが原因で人間関係が、破綻してしまうことさえある。

「送ったお歳暮に関しての何の連絡もない。礼のひとつも言えないのか」

 受け取っているはずなのに何の連絡もないと憤る送り主。受取人にしてみれば、届いていない荷物に対してお礼など言えるはずもない。受取人にしてみれば、「毎年お歳暮が届くのに今年は来なかったわね。うちも来年から送るのをやめようかしら」となってしまう。

 お歳暮も慣習化された面はあるが、荷物の往来だけの付き合いという人もいる。誤配は唯一の絆を切ってしまうこともある。

「荷物が届くかもしれない」

 荷物を出した際には、受取人に声をかけておくとよいかもしれない。また、地域担当のセールスドライバーにも宣言しておくとよいかもしれない。そのようにすれば、受取人もセールスドライバーも気に掛けるようになる。日頃からのコミュニケーションが、未着や誤配を未然に防げるかもしれない。

【二階堂運人】
物流ライター。ライター業の傍らタクシードライバーとして東京23区内を走り回り、さまざまな人との出会いの中から、世の中の動向や世間のつぶやきなど情報収集し発信する。また、最大手宅配会社に長年宅配ドライバーとして勤務した経験とネットワークを活かし、大手経済誌のWEB版などで宅配関連の記事も執筆する。タクシー・宅配業界の現場視点から、「物」・「人」・「運ぶ」・「届ける」をそれぞれハード(荷物・人)だけではなく、ソフト(心と気持ち)の面を中心に記事を執筆中。ブログ「吾は巷のインタビュアー!」

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