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「町のケーキ屋に転職できない」コロナで苦境の高級ホテル…パティシエのプライド

日刊SPA! / 2021年2月5日 15時51分

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 新型コロナウイルスが猛威を振るった2020年。飲食店やエンタメ業界は、予想だにしなかった経済的ダメージを受けたが、東京オリンピックの開催で活況を見せるはずだった観光業やホテルも別ではない。

 本来ならば非日常体験ができるラグジュアリーな空間である、高級ホテル。そこで働いている人たちも今、仕事が激減しているという。

◆平日の仕事がほぼ消滅…ウエディングカメラマン
 
 埼玉県在住の小沢芳樹さん(仮名・40代)は、大学卒業後、写真スタジオで8年ほど修業したのち、都内にあるホテルの専属カメラマンとなった。

「本当はフリーランスのカメラマンを目指していたのですが、結婚をしたんです。収入が不安定なのが嫌だったので、固定給が貰えるホテルのスタジオに就職しました。ホテル内にある式場で挙式や披露宴を行えるため、ウエディングをメインにやっていましたが、ホテルのスタジオで貸衣装やヘアメイクもできるので、七五三や成人式の撮影も行っていましたね」

 繁忙期には、土日祝日はすべて出勤していたそうだ。

「土日に披露宴や挙式を行うため、ほぼ毎週、土日は出勤していました。それ以外にも、ウエディングは前撮りや、家族写真を撮影したいという要望もあるため、平日も撮影を行っていました」

 しかし、去年のコロナウイルスの感染拡大をきっかけに、挙式の中止や延期が相次いだ。

「式場の予約は、通常半年以上前から予定されているので、春先まではまだ規模を縮小した挙式や披露宴が行われていました。しかし、ウエディングの繁忙期と言われる11月なのに、ほとんど予約が入らず、平日はほぼ休みの状態になりました」

◆給与の半分がカット

 そして、給与にも影響があったという。

「最初の緊急事態宣言時は、給与の8割くらいは保証されていたのですが、その後も挙式数だけではなく、七五三、成人式の撮影も激減しました。ただ、まったく仕事がゼロになったわけではなく『挙式は無理でも、家族写真は撮りたい』というようなニーズがあるため、今回の緊急事態宣言では給与は5割ほど支給されています」

 しかし、フリーランスではないため持続化給付金などの支給が受けられないという。

「副業が認められているので、カメラマン向けのクラウドワークスに登録して、出張で家族写真の撮影などを行っていますが、それも依頼が多いわけではないので一時しのぎですよね」

 カメラは技術職だが、それだけで生計を立てるのは難しくなっていると小沢さんは話す。

「周りは、スチールだけではなく個人向けの動画撮影を始めたりしています。もちろん、カメラ以外の仕事を探している人も…。僕は動画用の機材を揃える気力もないですし、再就職もないためこのままホテルに残るか悩んでいます」

◆パティシエも苦境

 小沢さん以外にも、専門職としてホテルで働きながら給与の減収に頭を悩ませている人がいる。駒澤真一さん(仮名・40代)は、都内でも有数の老舗高級ホテルのパティシエだ。しかし、コロナウイルスの影響でウエディング需要もインバウンド客も激減している。

「僕は館内にあるラウンジやパティスリーのスイーツを手掛けています。宿泊客以外にも、観光客やホテル内の宴会場を使った企業の懇親会、発表会などもすべて中止になったため、利用者自体が減っています。ホテルの顔ともいえるメインラウンジも、利用者が減りました」

 まさに、ハレの日を飾る華やかな場所にふさわしい料理やスイーツを提供していた小沢さん。しかし、感染予防のため密を避けなければならない現況では、苦境を強いられている。

◆有名ホテルのパティシエのプライド。「町のケーキ屋に転職できない」

「コロナ以降、手当などがなくなった分、給与が減給されています。でももし、希望退職を募ることがあってもホテルに残り続けるのが良いかな、と考えています。パティシエは専門職ですが、今は飲食店全体が不況のため転職もできませんし、僕のような経歴だと、町のケーキ屋で働くという訳もいかないですしね」
 
 カメラマンもパティシエも、どちらも技術を身に着けるのに年数が掛かる職業だ。しかし、業界全体が先の見通しが立たないため、転職先が見つかりづらいという。コロナ禍以降もそういった職業が続けられるような、支援策も必要なのかもしれない。<取材・文/阿佐ヶ谷蘭子>

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