『半沢直樹』『天国と地獄 ~サイコな2人~』…TBSドラマが独り勝ちするワケ

日刊SPA! / 2021年2月13日 8時54分

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画像:天国と地獄 ~サイコな2人~(TBS)

 ドラマの低迷が叫ばれ続けるなか、ここ数年ヒットドラマを量産し続けている局がある。そう、TBSである――。昨年でいえば、最終回の平均視聴率が32.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)をマークした『半沢直樹』をはじめ、『テセウスの船』『恋はつづくよどこまで』『私の家政夫ナギサさん』『MIU404』など、高視聴率だけでなくネットでの話題もかっさらうドラマをたくさん生み出した。今クールにおいても『天国と地獄 ~サイコな2人~』(日曜午後21時~)が4話連続で視聴率13%超えを記録するなど、ほぼ独り勝ちの状況だ。

 ’80年後半から’90年代にかけて『金曜日の妻たちへ』『ふぞろいの林檎たち』『高校教師』『愛していると言ってくれ』などの名作を生み出し、“ドラマのTBS”と言われた時代に戻ったかのような勢いがある同局だが、現在の“TBSドラマの強さ”の理由はどこにあるのか……? 業界関係者やスタッフ、脚本家たちにその理由について匿名取材を行なった。

◆圧倒的なチーム力。プロデューサーと監督・演出家の存在

 まずは、テレビ朝日のドラマを手掛けることが多い制作会社のプロデューサー・A氏に質問をぶつけた。

「私に聞きます?(笑) まず、ドラマ作りをするうえでのチーム力が違いますよね。脚本家・宮藤官九郎さん、彼を見出したことでも有名な磯山晶プロデューサー、演出の金子文紀さん。この3人の意思疎通がしっかり取れているから、周りのスタッフの熱量もとにかく高い。今クールの『俺の家の話』(金曜午後22時~)も同じ座組ですよね。

 他でいえば、『MIU404』『アンナチュラル』の野木亜紀子さん(脚本)、プロデューサーの新井順子さん、演出の塚原あゆ子さんの座組も同じ。女性スタッフならでは視点を生かして、今の時代に合ったテンポのよいドラマを作っている印象。そういった制作チームがしっかりしていると、俳優さんもオファーを受けやすいしモチベーションも保ちやすい。長瀬智也さん、戸田恵梨香さん、綾瀬はるかさん、星野源さん、綾野剛さんあたりのハートをガッチリ掴んでいるのもスタッフのチーム力だと思います。

 その点、正直言うとウチは力を入れているドラマ以外はそういうチーム体制がなかなか取れていない。とはいえ結果も残さないといけないので、難しいところですが……。

◆男性視聴者とF2層に絞ったドラマ作り

 次に話を聞いたのは日テレ系列の放送局でドラマ作りに携わっていた40代の元プロデューサーのB氏だ。

「日曜劇場で『半沢直樹』という中高年男性が見ても面白いドラマという鉱脈を見つけたことは大きかったでしょうね。その後、『下町ロケット』『陸王』『ノーサイド・ゲーム』といった企業をテーマにした重厚なドラマといった新ジャンルを開拓できたんですから。それには映画ばりの映像美やカット割りにこだわり抜いた監督の福澤克雄さんの手腕もあると思います。

 もう一つは、『世界の中心で愛を叫ぶ』『花より男子』『ROOKIES』といった若者向けのドラマを捨てて、F2層(35~49歳の女性)をターゲットにした『逃げるは恥だが役に立つ』『義母と娘のブルース』『私の家政夫ナギサさん』のような社会人を主役に、時事性を織り交ぜたドラマにシフトチェンジした点もあると思います。やはり、今の時代にドラマを熱心に見ているのはF2層。それをいち早く理解し、しっかりとリアリティも追及した。結果的にF1層やティーンにも視聴される作品になりましたしね」

◆キャストは作品優先! 新人の起用もお見事

 キャスティングやドラマ制作全般に関わる会社の代表・C氏に聞いた。

「他局は主演クラスのキャストが先に決まっていて、それから作品作り、脚本作りが動くことが多い一方で、TBSは作品自体を大切にしている。作品に合わなければ、大物俳優であっても使わない姿勢はさすがの一言です。

 逆に、若手の抜擢は積極的に行なっており、過去には上白石萌音さんや岡田健史さん、森七菜さんをメインどころで起用した。また、舞台役者や歌舞伎役者、落語家、芸人などをバイプレーヤーとしてうまく起用するあたりもうまい。今クールの『オー!マイ・ボス! 恋は別冊で』(火曜22時~)でも売れっ子の上白石萌音さんをすんなり起用できたのも、新人時代の大抜擢があったからだと思います」

◆世界観よりもセリフや脚本の妙を重視

 脚本家にも“TBSドラマの強さ”について聞いた。刑事ドラマや2時間サスペンスなどを手掛けてきた女性脚本家D氏はこう語る。

「クドカンさん以外は世界観を持っているタイプの脚本家はほぼ使わないのが成功の秘訣なのでは? 最近のTBSは野木亜紀子さんや大石静さん、森下佳子さんに徳尾浩司さんなど、テンポのよさと巧みなセリフ回しを得意としていて、なおかつ柔軟な脚本家が多い。“私の脚本通りにしないと許さない”といったタイプの脚本家を使わなくなったのは英断だったと思います」

 各局でドラマ制作に関わる誰しもが認めた“ドラマのTBS”の実力。そこにはさまざまな要因が秘められていた。2021年もあの話題作の続編が放送されるほか、注目作がめじろ押しということでまだまだ一強は続きそうだ――。<取材・文/木田トウセイ>

【木田トウセイ】
テレビドラマとお笑い、野球をこよなく愛するアラサーライター。

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