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商店街店主たちの間でくすぶる助成金格差「飲食店だけ潤うのはおかしい」

日刊SPA! / 2021年2月27日 8時35分

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※写真はイメージです(以下同)

 東京都の1日の新型コロナ感染者が、昨年11月ぶりに200人を切った(2月22日・178人)。かなり減ったと思う一方で、昨年の春頃には感染者が数人出ただけで、まるでこの世の終わりが来る、といったレベルで大騒ぎしていたのだから、“慣れ”とはかくも恐ろしいものかと感じずにはいられない。そして、すっかりコロナ禍に慣れてしまった人たちが、つい先日の「春のような陽気」に誘われ外出した。

◆観光地に“コロナ慣れ”した人たちが戻りつつある

 観光地を取材したという民放社会部記者が言う。

「神奈川県内のいくつかの観光スポットを回りましたが、どこも人だらけ。緊急事態宣言下とはとても思えないほどで、飲食店も土産店も大盛況。コロナ感染者が右肩下がりになってきたこともあり、市民も商店主も、かなり楽天的になりつつある。もちろん、マスクをして消毒をして、それなりの対策は取っているんでしょうけど、もはや“外出自粛を”という政治家の話は、あまり響いていないのです」(民放社会部記者)

 この記者は「楽天的」と話すが、それは観光地や繁華街を訪れる客だけかもしれない。横浜市内の雑貨店経営、坂口加奈子さん(仮名・40代)は、久々に人通りが戻った街を眺めながらも、目は鋭いままだ。

「人が戻ってきたことは素直に嬉しいが、飲食店には1日あたり6万円の補償金が出ているでしょう? それ以外の商売、私のような雑貨店やアパレル店にはほぼ何もない。貸付はしてくれますが、それは借金だから、簡単には手を出せない。繁華街や観光地でも、潤っているのは飲食店と一部の土産店だけで、私たちには今のところなんの恩恵もない」(坂口さん)

◆業種で分かれたコロナ復興格差「飲食店だけ救済されるのはおかしい」

 坂口さんたちが感じる「飲食店との差」が、あるトラブルの引き金となっている。

「暖かい週末で、久々にお客さんがたくさんきてくれましたが、以前と違っていちいち手を出す消毒をしなければならず、接客が追いつかない。店に入りきれないお客さんには外で待ってもらっていたのですが、しばらくして怒号が聞こえてきました」

 南関東某所の観光地でカフェを営む城島一樹さん(仮名・30代)の店を訪れ、並んでいた客に「帰れ」と怒鳴りつけていたのは、近くの宿泊施設経営者など商店街関係者だ。

 喧嘩が起きたのか、そう思い仲裁に入ろうとしたが、商店街関係者は今度は城島さんを責め立てたという。

「コロナが収束していないのに、こんなに人を入れてはダメだ、ということを言っていました。街にコロナ感染者が増えたらどうするのか、責任は取れるのか。じつは以前から、商店街の集まりなどでも、飲食店だけ救済されるのはおかしいと言われ、我々は針のむしろ状態でした。補償金の何割かを商店街に納めるように言われた同業者もいました。そうした怨恨が、今なお尾を引いているのです」(城島さん)

◆以前とは180度異なる対応

 北関東某所の観光地でも、同じようなことが起きていた。観光農園を経営する富岡良子さん(仮名・40代)が唇を噛み締める。

「農園の前には建設系の会社があって、土日祝日など、お客さんがたくさん来る時は駐車場を使わせてもらっていたんです。ただでは気が引けるので、農園で採れた作物を定期的にお分けもしていました。先日の土日は、春の訪れを感じたいというお客さんがたくさんきてくれて、久々に駐車場を使わせていただいたんです」(富岡さん、以下同)

 ひっきりなしに訪れる客に対応をしていると、農園で遊び、ついさっき帰路についたはずの客が、血相を変えて戻ってきた。

「そのお客さん、私がお電話で案内し、農園の前の会社の駐車場に車を駐めていたんです。車に戻ってみると“無断駐車”の張り紙が貼られ、近くにいた男から罰金を請求されたと言うんです。間違って別のところに駐めてませんでしたか? と駐車場に行ってみると、そこには会社の代表の男性が立っていました。私が定期的に作物をお持ちする、駐車場を貸してくれていた男性です」(富岡さん)

 以前までは気前よく貸してくれていた駐車場で、今回もいつも通り使わせてもらっただけだったが、男性の主張は以前と180度違っていた。

「無断で使用したのだから、客がカネを払わないなら私が払えと……。そんな無茶なと思いましたが、たんなる口約束だし、契約をしているわけでもない。確かに、これだけお客さんが来て駐車場をお借りしたのも半年以上ぶり。事前に説明していなかったことは落ち度ですが」

◆コロナ禍でともに喘いでいたはずなのに…

 富岡さんが思い出したのは、昨年秋のこと。ちょうどその時も、感染者数が横ばいになり、農園を訪れる客が増え始めていた。そこで、駐車場を貸りるかもしれないと男性の事務所、そして家を訪ねたが、不在だった。いや、不在ではない。家の中からはテレビの音が聞こえていて、明らかな「居留守」を使われていたのである。

「あの時はおかしいな、と思うくらいでしたが、農園に客が来ている様子を見て、やりきれない気持ちになられたのだろうと思います。後から男性の奥さんが来て、謝って下さいました。男性の会社は仕事が急激に減り、従業員もクビにしてなんとか会社を存続させようと必死……なのに、私は……」

 もちろん、先の坂口さんも今回の富岡さんも、客が戻ったことについて、誰かに自慢したり、見せつけているということは全くない。だが、つい先日まで、コロナ禍でともに喘いでいたはずなのに、坂口さんや富岡さんだけがおいしい思いをするのは許せない、そんな気持ちを抱く人がいたのかもしれない。

 隣の芝生は青く見えるし、誰かが笑えば誰かは泣いている……コロナ禍から復興を目指すなかで、必ずどこかに出現するだろうこうしたトラブルを乗り越えない限り、以前の生活は取り戻せないのだ。<取材・文/森原ドンタコス>

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